Canon EOS 6D Mark II徹底レビュー:実写・機能・買い方ガイド(フルサイズ一眼)
はじめに — EOS 6D Mark II の位置づけ
Canon EOS 6D Mark II(以下:6D2)は、2017年に発表されたキヤノンのフルサイズ(35mm判)DSLRの中級機です。26.2メガピクセルのフルサイズセンサーとDIGIC 7プロセッサーを搭載し、エントリー向けフルサイズ機と上位機の中間を埋める存在として設計されています。本稿では仕様解説、画質・AF・動画性能、実写での挙動、長所・短所、購入や運用上のアドバイスを詳しく解説します。事実関係はメーカー資料や主要レビューを参照してまとめています。
主要スペックの要点
- イメージセンサー:フルサイズCMOS、有効約26.2メガピクセル
- 画像処理エンジン:DIGIC 7
- オートフォーカス:45点オールクロスタイプAF(中央は低照度-3EVまで対応)
- 連写性能:最高約6.5コマ/秒(連続撮影)
- ライブビュー/動画AF:デュアルピクセルCMOS AF搭載(Dual Pixel RAW機能あり)
- 動画記録:フルHD(1920×1080)最大60pまで、4K非対応
- 液晶モニター:可動式(バリアングル)3.0型、タッチ操作対応、約104万ドット
- 記録メディア:SD/SDHC/SDXC(UHS-I対応、シングルスロット)
- 通信機能:Wi‑Fi、Bluetooth、NFC、GPS搭載
- ファインダー:光学式一眼レフファインダー、約98%視野率、0.71倍程度の倍率
- 本体サイズ・重量:実用的なボディサイズ、重量はおおむね中級クラス(詳細はメーカー仕様参照)
画質:フルサイズ26.2MPの実力
6D2の26.2MPセンサーは高画素な部類ではないものの、フルサイズならではの高いダイナミックレンジと高感度ノイズ耐性を両立します。DIGIC 7のノイズ処理と組み合わせることで、ISO感度を上げた場面でも色再現や階調の破綻が比較的抑えられ、ポートレートや風景、スナップなど幅広い撮影に対応可能です。
RAW現像での柔軟性も健在で、ハイライトの保持やシャドウの引き出しに余裕があるため、露出に神経を使いながらも現像で微調整するワークフローに向いています。ピクセル数は大判プリントやトリミングに十分対応できます。
オートフォーカスと追従性能
6D2は45点すべてがクロスタイプという点が大きな特徴です(中央測距点は特に高感度)。位相差AFの性能は静止画撮影で信頼性が高く、光量が十分な状況やコントラストのある被写体では高速かつ正確に合焦します。低照度での中央測距点の感度は優秀で、屋内や夕方でも運用範囲が広いのが利点です。
ただし、被写体が高速で動くスポーツや動物撮影のようなシーンでは、より高密度・高性能なAFエリアや高度な被写体追尾アルゴリズムを持つ上位機と比べると追従力に差が出ます。連写速度も最高約6.5コマ/秒と、動体撮影専用機ほどではありませんが、日常のイベント撮影やポートレートでは十分に実用的です。
ライブビューと動画性能
ライブビューおよび動画撮影時はデュアルピクセルCMOS AFが強力に働き、タッチ操作と組み合わせることでスムーズなフォーカス移動が可能です。動画は4K非搭載でフルHD(最高60p)までの対応ですが、フルHDの画質はピクセルシフトや高感度ノイズ処理の恩恵を受けています。
動画撮影での利点はデュアルピクセルAFの追従性とバリアングル液晶の使い勝手で、Vlogや取材、スローシャッターを使う場面で便利です。ただし、4K撮影や高ビットレートを前提とするユーザーには物足りないため、動画重視ならミラーレスの上位機や専用機を検討すべきです。
操作性・ボディ・携行性
6D2はバリアングル液晶とタッチパネルを備え、ライブビューでの操作性やローアングル・ハイアングル撮影がしやすくなっています。グリップは握りやすく、片手での操作感も安定しています。防塵防滴の設計が施されているため、野外での使用にもある程度耐える構造ですが、プロの過酷な環境向けというほどではありません。
バッテリーは汎用性の高いLP‑E6系(互換あり)を使用するため、予備バッテリーや互換アクセサリの選択肢が多いのも実用上のメリットです。
接続性・ワイヤレス機能
Wi‑Fi、Bluetooth、NFC、GPSを搭載しており、スマートフォンやタブレットとの連携が容易です。画像転送やリモート撮影、位置情報の付与など現代のワークフローへの対応が良好で、旅行やスナップの現場での利便性が高いです。
長所(まとめ)
- フルサイズセンサーによる高画質と階調表現
- 45点オールクロスAF、低照度時の中心測距点の強さ
- デュアルピクセルAFとバリアングル液晶によるライブビュー/動画運用の快適さ
- 堅実なボディ設計と豊富な通信機能(Wi‑Fi/Bluetooth/GPS)
- 価格対性能比が高く、フルサイズ入門〜中級者に適した選択肢
短所・注意点
- 4K非対応で、動画制作を本格的に行うユーザーには物足りない
- 連写や被写体追従性能はスポーツ専用機ほど高くない
- 記録スロットがシングル(SDのみ)で、冗長性を重視するプロ用途では注意が必要
- UHS‑IIカードのフル性能は活かせない(UHS‑I準拠)
実際の運用シーン別アドバイス
- ポートレート:大きなフルサイズセンサーとボケの作りやすさが活きる。EF中望遠(85mm~135mm)との相性が良い。
- 風景:ダイナミックレンジとRAW現像の伸びがあり、三脚を使った高画質撮影に向く。
- スナップ/旅行:可動式液晶やWi‑Fi連携が便利。機材を抑えつつフルサイズ画質を得たいユーザーに最適。
- スポーツ/動物:AF密度や連写性能の面で限界があるため、被写体が非常に動く場面は上位機や専用機を検討するとよい。
購入を検討する際のチェックポイント
- 用途の優先順位を決める(静止画重視か動画重視か、動体撮影が多いかなど)。
- レンズ資産の有無(EFレンズを既に持っているユーザーは移行コストが低い)。
- バックアップ・冗長性の必要性(記録メディアがシングルスロットのため運用設計を工夫する)。
- 将来的なニーズ(4K撮影や高速連写が今後必要になるか)を見据えて選択する。
まとめ — どんなユーザーに向くか
Canon EOS 6D Mark IIは、フルサイズの画質を比較的手頃な運用で得たい中級〜ハイエンド入門者に適したカメラです。ポートレート、風景、スナップからイベント撮影まで幅広くこなせ、デュアルピクセルAFや可動式タッチ液晶は現代的な使い勝手を提供します。一方、動画における4K非対応や記録スロットの冗長性不足、動体追従性能など、用途によっては上位機や別カテゴリのカメラを検討する余地があります。
購入時は自分の撮影目的と将来的な拡張性を明確にした上で、レンズやバッテリー、バックアップ運用なども含めたトータルコストを考慮してください。
参考文献
- キヤノン公式:EOS 6D Mark II 製品情報
- DPReview:Canon EOS 6D Mark II Review
- Wikipedia:Canon EOS 6D Mark II
- Imaging Resource:Canon EOS 6D Mark II
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