DiMarzioの全貌:歴史・技術・代表モデルと選び方を徹底解説

イントロダクション — DiMarzioとは何か

DiMarzio(ディマジオ)は、エレキギター用ピックアップの分野で世界的に知られるブランドです。創業者スティーブ・ディマジオ(Steve DiMarzio)が手作業で始めたアフターマーケットのピックアップ製作から始まり、現在では豊富なラインナップと多くのアーティスト・メーカーとの協業によってギターサウンドの多様化を支えてきました。本稿ではDiMarzioの歴史、代表的な技術、主要モデル、セッティングや選び方の観点までを深掘りします。

歴史と発展の経緯

DiMarzioの起源は、1970年代にスティーブ・ディマジオが既成のピックアップに満足できず、自作のピックアップを制作・改良していったことにあります。アフターマーケットの高出力ハムバッカーを求めるプレイヤーが増える中で、DiMarzioは既存のギターの音を拡張する選択肢として急速に注目を集めました。特に高出力のハムバッカーはアンプ歪みを稼ぎ、モダンなロック・ヘヴィなサウンドを実現するための手段として広まりました。

主要な技術的特徴

DiMarzioのピックアップが支持される理由には、いくつかの技術的特徴が挙げられます。

  • 高出力設計:特定のモデルは磁気出力を強化し、アンプをより強くドライブさせることを意図しています。これにより太く密度の高いサウンドが得られます。
  • 磁石の種類とワインディング:アルニコ磁石やセラミック磁石を使い分け、巻線のターン数やワイヤーの太さ・ワインディング密度を変えることで、モデルごとの個性(レスポンス、トーン、出力)を作り分けています。例えば、高出力系モデルにはセラミック磁石が使われることが一般的です。
  • ノイズ対策:シングルコイル由来のハムノイズを抑える技術(ノイズリダクションや“Area”シリーズのような設計)があり、シングルコイルの明るさを保ちつつノイズを低減する試みが続けられています。
  • シグネチャ/カスタム設計:アーティストの要望に応じたカスタム特性(出力バランス、トーンのフォーカス、ハムキャンセルの有無など)で設計・供給する体制があります。

代表的モデルとその特徴

DiMarzioは多彩なモデルを揃えていますが、代表的なものをいくつか紹介します。

  • Super Distortion:高出力ハムバッカーの代表格。アンプを積極的にドライブさせる特性があり、太く前に出る中低域が特徴。ロックやハードロック系に人気です。
  • Tone Zone / The Tone Zone:太くパワフルな中低域と粘りのあるミッドが特徴で、ブリッジ配置でリードを力強く支えます。
  • Air Norton:クリーン〜クランチでの分離感や立ち上がりの良さを重視したネック側のハムバッカー。ハーモニクスの表現力に優れます。
  • Evolution:スティーブ・ヴァイ(Steve Vai)との共同設計による高出力かつレンジの広いモデルとして知られ、シグネチャモデルの代表例です。
  • Areaシリーズ:ノイズ低減を図りながらシングルコイルらしさを残す一連のモデル。シールドや構造の工夫でハムを抑えています。

サウンド面での特徴とジャンル適性

DiMarzioのピックアップは、一般に以下のような用途・ジャンルにマッチします。

  • ロック・ハードロック・メタル:高出力モデルは歪ませた際に密度の高いサウンドを生み、カッティングからリードまで幅広く対応できます。
  • ブルース・オルタナ・モダンロック:中低域の厚みとミッドの粘りを活かして、暖かさと攻撃性のバランスをとることが可能です。
  • クリーン〜ジャズ寄り:一部のヴィンテージ志向モデルやP.A.F.タイプのリリースもあり、暖かく丸いトーンを求める用途にも対応します。

取り付け・セッティングの実務ポイント

DiMarzioのピックアップに交換する際、音質を最大限に引き出すために注意すべき点は次の通りです。

  • ポールピースと弦高の関係:ピックアップ高さは出力とサウンドバランスに直結します。弦ごとに出力差が出る場合、ポールピースの高さを微調整します。
  • 配線と位相:ハムバッカー間、またはシングルコイルとハムバッカーの組み合わせでは位相が重要です。位相の逆転は音を薄くするため、配線色とDiMarzioの配線図を確認して正しく接続してください。
  • トーン回路との相性:高出力ピックアップはトーンによる変化が大きく、ポット値の選択(250kΩ、500kΩなど)でキャラクターが変わります。目的のトーンに合わせてポットやコンデンサを検討しましょう。

DiMarzioを選ぶ際の指標

モデル選びでは次のポイントを参考にしてください。

  • 用途(クリーン主体か歪み主体か):歪み主体なら高出力系、クリーン主体やシングルコイル感を残したい場合はArea系やヴィンテージ系。
  • ギターの構造:シングルコイルサイズのハムバッカー(“humbucker-sized single”)やアクティブ回路など、ギターの空間や電装に合うモデルを選ぶ。
  • 試奏の重要性:同じモデルでもギターや弦、弾き手のタッチで受ける印象は変わります。できるだけ実機でチェックすることを推奨します。

代表的なアーティスト/導入事例

DiMarzioは多くのプロ奏者と協業しており、アーティスト向けのシグネチャモデルも多数存在します。中でもスティーブ・ヴァイのために開発された"Evolution"などは有名です。その他にも多ジャンルのプレイヤーがDiMarzioを採用しており、サウンドの多様化に寄与しています。

メンテナンスと長期使用の注意点

基本的には通常のエレクトリック機器同様に取り扱えば問題は少ないですが、以下を意識してください。湿気や極端な温度変化は避け、配線やはんだ付け部の接触不良がないか定期的にチェックしましょう。改造や再配線を行う際は、元の配線図を残しておくとトラブルシュートが容易になります。

まとめ

DiMarzioは、ピックアップの設計哲学と製品の多様性で長年にわたりギタリストの需要に応えてきました。高出力モデルによる攻めのサウンドから、ノイズ対策を兼ねたシングル系モデル、アーティストとの共同開発モデルまで、選択肢は豊富です。実際のセッティングやギターとの相性で結果が大きく変わるため、目的とする音像を明確にしてからモデル選定・試奏・セッティングを行うことをおすすめします。

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参考文献