Analog Lab徹底解説:プリセットで広がるサウンド制作の実践ガイド
はじめに — Analog Labとは何か
Analog Lab(アナログ・ラボ)は、Arturiaが提供するソフト音源/プリセット・ブラウザで、同社の名高いアナログ・モデリング音源群(V Collection)から厳選されたサウンドを手軽に呼び出し、演奏・制作に即座に活かせるように設計されています。単体のインストゥルメントを深掘りするのではなく、膨大なプリセット群を素早く検索・演奏・加工するワークフローを重視しており、ライブ・パフォーマンス、デモ制作、サウンドデザインの初期段階など幅広い場面で重宝されます。
コアコンセプトと構成
Analog Labのコアは「プリセットの高速アクセス」と「必要十分な即時編集性」です。Arturiaの各種モデリング音源(ミニモーグ系、ローランド系、ヤマハ系、フェンダー系の名器を模したものなど)のサウンドを集約し、キーボード(およびDAW)からワンクリックで呼び出せるように整理されています。
- プリセットの集約:様々なエレクトリック・ピアノ、シンセ、オルガン、ストリング、パッド、ベースなどをカテゴリ/タグで検索可能。
- クイックコントロール:各プリセットに対して主要なパラメータがマクロ化され、直感的に音色を調整できる。
- 演奏・パフォーマンス機能:ライブ用のプリセット切替やスプリット/レイヤリングが容易。
- ホスト互換性:スタンドアロンで動作するほか、一般的なDAWでプラグイン(VST/VST3/AU/AAX)として使用可能。
ユーザーインターフェイスとワークフロー
UIはプリセットブラウザ、パフォーマンスコントロール、エフェクト/マクロ周りに分かれています。ブラウザはタグ/キーワード/楽器カテゴリでの絞り込みが可能で、「お気に入り」やユーザーコレクションを作って整理できるため、大量のプリセットの海から目的の音を見つけやすい設計です。
プリセットを選択すると、右側または下部に簡易編集パネルが表示され、フィルター、エンベロープ、モジュレーション程度の主要パラメータを素早く変更できます。より深い編集が必要な場合は、選択したプリセットの元になっている個別インストゥルメント(V Collection内の該当プラグイン)を開いて詳細なサウンドデザインを続けることもできます。
サウンドデザインの実践テクニック
Analog Labを単なるプリセット集として使うのはもったいないです。以下は実務で役立つ使い方の例です。
- プリセットを出発点にする:好みのテクスチャやトーンがあれば、マクロで形を整え、必要に応じて元のインストゥルメントを開いて詳細調整する。
- レイヤーとスプリット:2つ以上のプリセットをレイヤーして厚みを出したり、鍵盤をスプリットして別々の音色を割り当てることで、演奏表現を拡張する。
- パフォーマンス用マクロ:ライブでは面倒な細かい調整をプリセット側でマクロ化しておき、ノブ1つで大きく変化させられるようにしておくと便利。
- エフェクト活用:内蔵のエフェクトでサウンドの空間表現や色付けを行い、DAW側ではリバーブやコンプで最終調整するワークフローが効率的。
DAW・ハードウェアとの統合
Analog Labは主要なDAWでプラグインとして使え、スタンドアロンでも動作するため、制作開始時の核として便利です。また、Arturia製のキーボード(KeyLab等)とは深いハードウェア統合があり、プリセット選択やパラメータのリアルタイム操作がハードウェアから直接行えます。MIDIマッピングもサポートしているため、他社コントローラやDAWのオートメーションとも連携可能です。
プリセット管理とカスタマイズ
プリセットはカテゴリ、スタイル、楽器タイプ、タグにより管理されます。ユーザーはお気に入り登録、独自のコレクション作成、プリセットのエクスポート/インポート(製品のバージョンに依存)などでライブラリを整理できます。大量のプリセットを扱う際は、タグ付けとコレクションの活用が検索時間を大幅に短縮します。
長所と短所(導入前のポイント)
Analog Labは非常に速くアイディアを形にできる一方で、留意すべき点もあります。
- 長所:プリセット数の豊富さと即応性、ハードウェア統合、軽快なブラウズ性能により、作曲やライブに最適。
- 短所:深い音作りは元となる個別インストゥルメントで行う必要がある場合があること、プリセットの膨大さゆえに管理が煩雑になりやすい点。
実際の制作での活用例
・デモ曲作成:短時間で多彩な音色を試せるため、アレンジの初期段階で役立ちます。 ・サウンドトラック:特定の雰囲気(レトロシンセ、フィルム的パッドなど)を即座に呼び出して曲のコンセプトを固めるのに便利。 ・ライブ:プリセット切替の操作性やハードウェア連携により、現場での信頼性が高い。ただし大きなサンプルライブラリ系音源に比べてCPU挙動やレイテンシの確認は必要です。
ライセンスと動作環境(注意点)
Analog LabはArturiaのソフトウェア・エコシステムに組み込まれており、アクティベーションや管理はArturiaのアカウントおよび専用ソフト(Arturia Software Center)を通して行うのが基本です。インストールや認証方法、対応OSやプラグインフォーマットはバージョンにより変わるため、導入前に公式情報を確認してください。
まとめ — どんなユーザーに向いているか
Analog Labは「速さ」と「音色の幅」を重視するユーザーに非常に向いています。サウンドのアイディア出し、デモ制作、ライブでの即戦力、そしてV Collectionを既に所有している制作者にとっては、手早く高品質な音色へアクセスできる強力なツールです。一方で、波形レベルでの細かな合成や非常に独自性の高いサウンドをゼロから作る用途では、元となる個別インストゥルメントを併用することをおすすめします。
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参考文献
- Arturia - Analog Lab(製品ページ)
- Sound On Sound - Review: Arturia Analog Lab 3
- Ask.Audio - Review: Arturia Analog Lab 3
- MusicRadar - Arturia Analog Lab 3 review
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