初心者から現場まで使える定番コントローラー:Numark Mixtrack Pro II徹底解説
概要と位置づけ
Numark Mixtrack Pro II は、エントリーレベルの2チャンネルDJコントローラーとして長年にわたり多くのDJに使われてきたモデルです。手頃な価格帯ながら基本的なパフォーマンス機能を一通り備え、USBバスパワーで動作するため持ち運びやすく、DJ学習用や宅録、パーティー用途まで幅広く対応します。本稿ではハードウェアの特徴、ソフトウェア互換性、パフォーマンス面での長所・短所、運用上のコツや改造・マッピングのヒント、そして購入時の注意点まで詳しく掘り下げます。
ハードウェアの概要
Mixtrack Pro II の基本的なレイアウトは、2つのジョグホイール、各チャンネルに3バンドEQとフィルター系ツマミ(モデルやファームウェアによって表記が異なる場合があります)、チャンネルフェーダー、クロスフェーダー、ピッチフェーダーおよび再生/キューのボタンで構成されています。コントローラー本体には簡易的なオーディオインターフェイスが内蔵されており、マスター出力とヘッドフォン出力を備えているため、外部のオーディオインターフェイスがなくてもすぐにプレイできます。
- 構成:2チャンネルコントローラー
- 電源:USBバスパワー(外部電源不要)
- 入出力:主にマスター出力(RCA等)とヘッドフォン出力を装備
- 付属ソフト:発売当時はSerato DJ IntroやVirtualDJの特別版とのバンドルが一般的
サウンドと入出力の実務感
内蔵オーディオ回路はエントリーモデル相応の設計ですが、クラブ仕様のマシンと比べなければ問題なく使えます。音質はソースのクオリティに依存しますが、RCAのアナログ出力からPAへ繋げば家庭や小規模会場で十分な音圧が得られます。ヘッドフォンキュー機能により、片耳で次のトラックの準備を行いながらマスター出力を維持するといった基本的なDJワークフローをサポートします。
ソフトウェア互換性とバンドル
Mixtrack Pro II は、製造元がバンドルしてきたDJソフト(Serato DJ IntroやVirtualDJのLE版など)での互換性を持つよう設計されています。メーカーが提供する公式マッピングがあるため、買ってすぐに標準的な操作で使用可能です。ただし、最新の有料版ソフト(Serato DJ Proなど)との完全互換や公式サポートはモデルや時期によって異なるため、導入前に使用したいソフトの対応状況を確認することが重要です。
操作性とパフォーマンス
ジョグホイールはスクラッチや微妙なテンポ調整に使える一方で、ハイエンドモデルの大型・重量感のあるプラッタと比べるとフィーリングは軽めです。パッドやエフェクト周りのインターフェイスも必要最小限にまとまっており、直感的な操作が可能。入門者がビートマッチやキューイング、基本的なホットキュー運用を覚えるのに適しています。
- 長所:軽量・携帯性、直感的な操作、コストパフォーマンス
- 短所:応答性とフィーリングはプロユース機に劣る、入出力の数が限られる
クリエイティブな使い方・テクニック
Mixtrack Pro II は基本がしっかりしていれば、ループやホットキュー、エフェクトの組み合わせで十分に表現力のあるプレイが可能です。具体的には:
- ホットキューを複数使ってメドレーを作る:イントロ/ブレイク/サビを予め登録しておくと即興で組み替えられます。
- 短いループを細かく切ってパーカッシブに重ねる:ループスライスでグルーヴを作るテクニックは有効です。
- エフェクトの”濃さ”をつまみで微調整してメリハリを出す:オン/オフだけでなくパラメータ調整が鍵。
カスタムマッピングと拡張性
標準のマッピングに物足りなさを感じた場合、VirtualDJやSeratoのMIDIマッピング機能を使ってボタンやノブに機能を再割り当てできます。例えば、フィルターノブにサイドチェイン効果を割り当てたり、パッドに複数アクションを組み合わせたスクリプトを入れることで表現の幅が広がります。外部エフェクトユニットやソフトウェアとの連携で、より高度なサウンドデザインも可能です。
メンテナンスと耐久性
エントリーモデルとしては耐久性は標準的ですが、ジョグホイールの摩耗やフェーダーのほこりによるガリ(ノイズ)は実運用で発生しやすい問題です。使用後はほこりを払う、フェーダー部に不要な衝撃を与えない、長期保管時はケースに入れるなど基本的なメンテナンスを励行してください。必要に応じてメーカーや修理店でのクリーニングやフェーダー交換も検討しましょう。
競合製品との比較
Mixtrack Pro II の後継や同価格帯のライバルには、Numarkの他モデル(Mixtrack Pro 3、Mixtrack Platinum等)やPioneer DDJシリーズのより小型エントリーモデル、Herculesのコントローラーなどがあります。大きな違いはジョグやフェーダーのフィーリング、内蔵オーディオの性能、ファンクションの豊富さです。ライブやクラブでの頻繁な使用を想定するなら、フェーダーやジョグの質が高いモデルへ投資する価値があります。
購入検討時のチェックポイント
- 使用したいDJソフトとの互換性を必ず確認する。
- 現場での用途(宅録・練習・小規模イベント・クラブ)に合わせて入出力やビルドクオリティを検討する。
- 中古購入時はフェーダーやジョグの動作、入出力端子の接触状態を確認する。
まとめ
Numark Mixtrack Pro II は、DJを始めたい人や持ち運び重視で手軽にプレイしたい人にとって優れた選択肢です。最新のプロ機と比べると限界はありますが、基本的なパフォーマンスと学習用途には十分な機能を備えています。購入後はソフトウェアの最適化やカスタムマッピング、日常的なメンテナンスで長く使える機材に育てられます。
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参考文献
Numark - Mixtrack Pro II (公式製品ページ)
Sweetwater - Numark Mixtrack Pro II 製品ページ(小売情報・仕様)
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