ペンシルベイト完全ガイド：使い方・選び方・テクニックとメンテナンス
エバープレイ編集部はじめに — ペンシルとは何か
釣りのルアーの中でもトップウォーターで使う「ペンシル（ペンシルベイト）」は、表層でスプラッシュやローリングを発生させ、スレた魚にも強烈なアピールを与えられるルアーです。主に海（シーバス・青物・フラットフィッシュ）や淡水（バス）で用いられ、早朝や夕まずめ、潮位の変化時に特に効果的。ここではペンシルの基礎から応用、タックルやメンテナンスまで、実戦で役立つ知識を詳しく解説します。
ペンシルの基本構造と種類
形状：細長いスティック状〜やや扁平なボディ。先端に水を切る形状を持ち、後端で水を払いながら抵抗を得るものが多い。
動き：ウォーキング（左右にスライドする"ウォーク・ザ・ドッグ"系）、ジャークでスプラッシュやダイブを伴うもの、ただ引きでローリングするタイプなど多彩。
マテリアル：木製（バルサなど）とプラスチック製（ABS等）。木製は独特の音と浮力、プラ製は耐久性と成型精度が特徴。
タイプ別：ペンシルポッパー（ポッピング音を出す凹型の先端を持つ）、シンキングぺンシル（ゆっくり沈むタイプ）、フローティングペンシル（完全表層タイプ）など。
ペンシルが効果的な理由
トップウォーターにいる魚は視覚と音に強く反応します。ペンシルは表層付近で水を割り、波紋や音、反射光を発生させるため、警戒心の高い魚に対してもスイッチを入れやすいのが特徴です。特にナブラ（ベイトの群れ）やボイルが起きているときは、魚の捕食本能を刺激してバイトを誘発します。
基本的な使い方・動かし方
ただ巻き：初心者でも試しやすい。一定速度で巻くことでローリングアクションを出すタイプに有効。
ウォーキング（ウォーク・ザ・ドッグ）：ロッド先端でリズムよくラインを弾き、ルアーを左右にスライドさせる。スレた魚にも効く定番テクニック。
ジャーク＆ポーズ：強めにジャークして大きく水を跳ね上げ、止めて食わせる。ポーズ中にバイトが出ることが多い。
ポッピング：ペンシルポッパーは先端でポップ（音）を作り出し、音で誘う。タイミングは水面の状況に合わせる。
スロー引き／リフト：あえて速度を落として波紋を小刻みに出すことで、見切られやすいときに有効。
タックルセッティング（ロッド・リール・ライン）
ペンシルは特にロッドワークが重要です。以下が基本の目安です。
ロッド：アクションはファースト〜レギュラーのミディアム〜ミディアムヘビー。ティップがやや柔らかめだとウォーキングがやりやすい。長さは6.6ft〜7.6ft程度（フィールドや狙う魚による）。
リール：PEラインを使うならスピニング・ベイトいずれも可能。瞬発的なファイトに備え、ドラグ性能の良いモデルを選ぶ。
ライン：PEライン0.6〜1.5号（対象魚により調整）。ショック吸収性を求めるならフロロカーボンリーダー20〜40lb相当を結束。
サイズ・カラーの選び方
状況別に有効な選び方を紹介します。
サイズ：小型ベイトを意識するなら90mm前後、大型ベイトや青物狙いは120mm以上の大型モデルが有効。
カラー：クリアな海や晴天時はナチュラル系（シルバー・ゴールド・半透明）、濁りや曇天、ローライト時はチャート・ブラック・派手系が視認性良し。
重さ（浮力）：速い潮流や風が強いときはやや重めのモデル（キャスト性重視）を選び、静かな表層では軽めで繊細に動くものを。
フック・スプリットリング等のセッティング
フックサイズと取り付けは釣果に直結します。標準装備のフックが軽い場合は、対象魚や障害物を考慮して強めのフックに換装するのが常套手段です。またスプリットリングは強度のあるものを使い、キャッチ時の伸びや切断に備えます。
フック：トリプルフックの＃1〜＃3/0程度。大物狙いは太軸のバーブレスやシングルフック改造も検討。
リング：#3〜#5相当の強度があるものを選ぶ。特に青物狙いでは厚肉リングが安心。
実戦テクニック（潮・時間帯・地形別）
成功率を上げるための応用テクニックです。
潮の効いている場所：潮目やカケ上がり、変化のある流れにルアーを通す。魚が表層に浮きやすい条件で強力。
時間帯：薄暗い朝夕がベスト。日中でも曇天やベイトが浮いている場合はチャンス。
地形：ストラクチャー際（テトラ、護岸、沖のブレイク）に沿ってルアーを通すと反射的に食うことが多い。
ナブラやボイルに合わせる：ナブラ発見時は積極的にキャスト。ボイル直撃はミスバイトの原因にもなるため、やや外して食わせるイメージで狙う。
トラブル対策とフッキング
表層でのバイトは乗りにくいことがあります。ラインを張ったままではフッキングが浅くなるため、バイトが出たら一度ラインテンションを少し抜いて吸い込みを待つ、あるいは逆に素早くロッドを立ててしっかり掛けるなど、状況に応じた対応が必要です。また根掛かり回避のためにラインの角度やリトリーブ速度を調整しましょう。
カスタムと自作の楽しみ方
ペンシルは改造や自作がしやすいジャンルです。フック交換、重心移動、塗装変更、シンキング化などでオリジナルのアクションを作れます。木製ボディを削ってウェイトを埋める、ラトルを入れるといった細かなチューニングで反応が変わるため、フィールドで試しながら最適化していきましょう。
メンテナンスと長持ちさせるコツ
使用後は真水で塩分や汚れを洗い流す。プラスチック製は日光で色褪せするため直射日光を避けて保管。
スプリットリングやフックは錆びやすいので定期的に交換。木製はニス剥がれやヒビ割れに注意し、必要なら補修する。
内部のウェイトやラトルが緩んだ場合は接着剤で補修。防水処理を確実にして水の浸入を防ぐ。
安全面と環境配慮
ルアー釣りでは、誤ってルアーを放置したりラインを残すと海洋ゴミや魚の被害につながります。使用済みラインや切れたフックは持ち帰り、護岸やフィールドのルールに従うこと。ヒットした魚は適切な取り扱いでリリースする場合は迅速に行い、写真撮影も短時間にするなど魚のストレスを減らす配慮をしましょう。
まとめと実戦への一言アドバイス
ペンシルは表層での攻めという単純に見えて奥深いルアーです。ロッドワーク、ルアー選択、潮や天候の読みが釣果を大きく左右します。まずは基本のウォーキングとジャーク＆ポーズをマスターし、実釣で状況に応じてカラーやサイズを変えていくこと。自作カスタムで自分だけの"切り札"を作る楽しみも大きいジャンルです。
参考文献
Topwater lure - Wikipedia (English)
How to Fish Topwater — Field & Stream
Tactical Guide to Topwater Fishing — Saltwater Sportsman
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