Duravit徹底解説:歴史・技術・デザイン・サステナビリティから現場導入のポイントまで
導入:Duravitとは何か
Duravit(デュラビット)は、主に衛生陶器(洗面器・便器)、バス・浴槽、シャワートレイ、そしてバスルーム用家具やアクセサリーを手がけるドイツ発の総合バスルームメーカーです。住宅から商業施設、公共空間まで幅広いプロジェクトで採用されており、機能性と意匠性を両立させた製品群と、著名デザイナーとのコラボレーションで知られています。本コラムでは、Duravitの歴史的背景、主要製品と材料、設計・製造の特徴、施工・維持管理上の注意点、そして最新のサステナビリティ動向までを解説します。
歴史とブランドの位置づけ
Duravitはドイツの黒い森(Black Forest)地域を拠点に活動する企業で、長年にわたり陶磁器製の衛生設備を中心に事業を展開してきました。欧州を中心とした国際的なマーケットでの存在感が強く、機能と美学を重視する設計思想が評価されています。特に著名デザイナー(例:Philippe Starck)との継続的な協業は、Duravitブランドを単なる製造業者からデザイン主導のメーカーへと高める役割を果たしました。
主要製品カテゴリーと材料・製造プロセス
Duravitの製品は大きく次のカテゴリに分かれます。
- 衛生陶器(便器、洗面器)
- 浴槽・シャワートレイ
- バスルーム家具(鏡、キャビネット、収納)
- アクセサリー・システム製品(混合栓との組合せを含む)
材料面では、従来の「衛生陶磁器(vitreous china)」が主力であり、これをベースに高品位のグレーズ処理を施して衛生性・耐久性・意匠性を確保します。浴槽は鋳造アクリルや複合素材(強化樹脂系)、あるいは特定の耐久性を高めたソリッドサーフェス系素材を採用する場合があります。家具部は木質系(MDF含む)に防湿処理やラッカー塗装を施し、水回り環境に耐える仕上げを行うのが一般的です。
製造プロセスとしては、陶器のスリップキャスティング(流し込み成形)、乾燥、施釉(しよう)、高温焼成、そして検査・仕上げ工程が標準です。浴槽やトレイは型成形・強化といった別工程を経ます。品質管理は寸法精度、表面仕上げ、排水口や取付け穴の整合性が重要なチェックポイントです。
デザイン戦略:機能と美の融合
Duravitは単体製品の美しさだけでなく、バスルーム全体を見据えたシリーズ展開で統一感を提案します。洗面カウンターとキャビネット、ミラーキャビネット、便器が視覚的・寸法的に整合することで設計・施工の効率が上がり、維持管理もしやすくなります。また、アクセシビリティ対応の製品や、ホテルなど商業施設向けに堅牢性を高めたラインナップも提供しており、用途に応じた選択肢が豊富です。
現場で押さえる施工上のポイント
Duravit製品を建築・土木の現場で扱う際の注意点をまとめます。
- 設計段階で製品の仕様書(取り付け寸法、排水位置、固定金具の仕様)を確定する。特に埋め込み型の洗面器やキャビネットは寸法許容がシビア。
- 壁掛け便器や壁掛け洗面器は、下地(壁の補強)と取付け金具の荷重能力を事前に確認する。
- 陶器は割れ物であるため、搬入・取り扱い時に保護材を十分に用いる。現場での切削や穴開けは原則避け、設計段階で加工位置を決める。
- 浴槽の据付けでは水平出し、支持部の面圧分散、排水の勾配確保が重要。強化樹脂系浴槽は支持方法が異なるため、メーカー指示に従う。
- 家具は水濡れに弱い材料があるため、シーリングやバックパネル処理、換気計画を検討する。
メンテナンス性と長寿命化のポイント
Duravit製品に限らず、衛生陶器やバスルーム家具を長持ちさせるための基本は日常的なメンテナンスと適切な洗浄剤の選択です。研磨剤や強アルカリ性・強酸性の洗剤は表面を傷める原因となるため避けることが重要です。便器内部の形状によっては洗浄のしやすさに差が出るため、清掃性を重視する現場では rimless(リムレス)形状やウォッシュアウト形状などの設計を採用すると効果的です。
サステナビリティと規制対応
近年、バスルーム製品にも環境負荷低減の要請が強まっています。Duravitを含む主要メーカーは以下のような方向で取り組んでいます。
- 節水設計(低流量・二段式洗浄など)の普及
- 長寿命化による廃棄物削減と、修理・交換用部品の供給体制の確保
- 製造工程におけるエネルギー効率改善や排水・廃棄物管理の最適化
- 製品のLCA(ライフサイクルアセスメント)を踏まえた設計
また、建築物の環境認証(LEED、BREEAMなど)を目指すプロジェクトでは、器具の水使用量や製造時の環境影響が評価対象となるため、製品選定時にそれらのデータを確認しておくことが重要です。
商業案件での採用実務:設計からアフターまで
ホテルやオフィスビル、医療施設など商業案件でDuravit製品を採用する場合、設計段階で以下を検討してください。
- 耐久性とメンテナンス頻度のバランス(清掃作業の容易さ)
- ユニバーサルデザインやバリアフリー要件への適合
- スペアパーツと保証内容の確認(大量導入時の将来コスト抑制)
- インテグレーション(既存配管や間仕切りとの整合性)
施工前にメーカーの技術資料や取り付けマニュアル、CADデータを入手し、現場での確認を徹底することがトラブル防止に直結します。
まとめ:Duravit製品を活かすためのポイント
Duravitはデザイン性と機能性を兼ね備えた総合バスルームメーカーであり、適切な製品選定と現場での配慮があれば、設計の質を高めつつ維持管理性にも優れた空間を実現できます。設計段階での寸法・固定方法の確認、搬入・据付け時の取り扱い注意、日常メンテナンス計画、そしてサステナビリティ面の情報確認が、Duravit製品を長く安心して使うための鍵です。
参考文献
Dezeen - Duravit関連記事(デザイン系ニュース)
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