ジャズ・スタイル徹底解説:演奏技法と使用楽器の魅力を探る
Jazzは20世紀初頭のアフリカ系アメリカ人コミュニティで誕生し、ラグタイムやブルース、軍楽隊の伝統を取り込んだ即興音楽として発展しました。ニューオーリンズのDixielandに始まり、1930年代の大編成ビッグバンドによるSwing、1940年代の高速で複雑なBebop、さらに抑制されたCool Jazz、黒人教会音楽の要素を融合したHard Bopなど、多彩なムーヴメントが生まれました。1950年代後半以降は、モード(旋法)を基盤とするModal Jazz、既存の構造を解体するFree Jazz、そしてエレクトリック楽器とロック的リズムを融合するJazz Fusionへと進化を遂げています。
Dixieland
歴史的背景
Dixielandは20世紀初頭のニューオーリンズで誕生し、ラグタイム、ブルース、ゴスペル、軍楽隊の影響を受けながら市民の娯楽音楽として広まったサブジャンルです。
演奏技法
Dixielandの核心は「集団即興(コレクティヴ・インプロヴィゼーション)」で、トランペットやコルネットが主旋律を奏でる一方、クラリネットやトロンボーンが装飾的カウンターメロディを同時に即興で重ね合わせます。
また、メロディ声部と装飾声部が「コール&レスポンス」的に掛け合うことで、独特のポリフォニックなテクスチャが生まれます。
使用楽器
- フロントライン:コルネット(またはトランペット)、クラリネット、トロンボーン
- リズムセクション:バンジョー(またはギター)、チューバ(またはダブルベース)、ピアノ、ドラム
Swing
歴史的背景
Swing期(1933–1947年)はビッグバンドが主流となり、アレンジと即興ソロを巧みに組み合わせたダンス音楽として大衆に支持されました。
演奏技法
スイング感は「長短のビート分割」によるリズミック・リルトと、2拍目・4拍目へのアクセント(バックビート)によって生み出されます。
また、アンサンブルの見せ場となるアレンジ部分とソリストの即興ソロを組み合わせることで、聴衆を飽きさせない構成が取られました。
使用楽器
- 管楽四重奏:サクソフォン(2アルト、2テナー、1バリトン)、トランペット×4、トロンボーン×4
- リズムセクション:ピアノ、ギター、ダブルベース、ドラム
Bebop
歴史的背景&演奏技法
Bebopは1940年代初頭、ダンス重視のSwingに反発して生まれ、200BPMを超える高速テンポ、複雑なコード進行、卓越した即興演奏技術を特徴とします。
演奏者はエクステンデッド・コードやサブスティテューション、急激な転調を駆使して和声的自由度を追求しました。
Charlie Parker、Dizzy Gillespie、Bud Powell、Kenny Clarkeらが中心で、コンサートホール向けの「演聴音楽」として確立しました。
使用楽器
- 典型編成(クインテット):トランペット、サクソフォン、ピアノ、ダブルベース、ドラム
- ドラム:ライド・シンバル主体の軽快なパターンと、スネアやバスドラムのアクセント(“ドロッピング・ボムズ”)を併用
Cool Jazz
歴史的背景&演奏技法
Cool Jazzは1940年代後半から1950年代初頭にかけて、Bebopの激烈さに対する抑制的かつ室内楽的なカウンターとして登場し、滑らかなトーン、緩やかなテンポ、形式的アレンジを重視しました。
控えめなビブラート、微細なダイナミクスの変化、クラシック的な対位法的アンサンブルで、穏やかなテクスチャを創出します。
使用楽器
- 標準的なジャズ編成に加え、フレンチホルン、フルート、オーボエ、チューバなどが用いられ、オーケストラ的色彩を実現
- ピアノレスのカルテット編成も多く、透明感のある対位法的プレイが展開
Hard Bop
歴史的背景&演奏技法
Hard Bopは1950年代中頃にBebopを基盤としつつ、R&Bやゴスペル、ブルースを強く取り入れたスタイルで、より土着的でエモーショナルな表現を追求しました。
ブルース・スケール、コール&レスポンス、2拍目・4拍目を強調するバックビートにより、ドライヴィングなグルーヴを生み出しました。
使用楽器
- クインテット編成:トランペット、テナーサックス、ピアノ、ダブルベース、ドラム
- オルガンやエレキギターがアクセントとして加わることも
Modal Jazz
歴史的背景&演奏技法
Modal Jazzは1950年代後半、Miles DavisやJohn Coltraneらが和声進行の制約から解放されるために生み出した手法で、旋法(モード)を基盤とする即興演奏を特徴とします。
和声の変化を抑えることで、スケール内の音程関係やフレージングを深く探求する表現が可能となりました。
使用楽器
- 典型編成:トランペット、テナーサックス、ピアノまたはギター、ベース、ドラム
- 一部でヴィブラフォンやストリングスが加えられ、柔らかな響きを補強
Free Jazz
歴史的背景&演奏技法
Free Jazzは1950年代末から1960年代初頭にかけてOrnette Coleman、Cecil Taylor、Albert Aylerらによって提唱され、定型的和声構造やリズムを排して即興の自由を追求しました。
アトナリティ、マイクロトーン、マルチフォニックス、トーンクラスターなどの拡張技法を駆使し、予測不可能なテクスチャと集団的相互作用を実現しました。
使用楽器
- 編成は四重奏から大規模アンサンブルまで多様で、ヴァイオリンやアコーディオン、詩の朗読、奇抜な打楽器など非伝統的楽器も導入
- 管楽器はオーバートーンやマルチフォニックスを多用し、ドラムは非メトリックなテクスチャ表現を重視
Jazz Fusion
歴史的背景&演奏技法
Jazz Fusionは1960年代後半から1970年代にかけて、ジャズ即興とロック/ファンクのリズム、エレクトリック楽器を融合させたスタイルです。
複雑な拍子、ヴァンプによる長尺ソロ、シンセサイザーやエフェクト処理を駆使したテクスチャが特色で、Bitches BrewやHeadhuntersなどが代表作です。
使用楽器
- リズムセクション:エレクトリックピアノ(Rhodes, Wurlitzer)、シンセサイザー、エレキベース、エレクトロニックドラム
- ギターはエフェクト多用のエレキギターに置き換えられ、管楽器は控えめながら一部で使用
参考文献
- Britannica.
- Wikipedia. “Jazz fusion.” https://en.wikipedia.org/wiki/Jazz_fusion Wikipedia
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