ジャズ初心者ガイド — 聴いておきたい歌手と名曲8選

はじめに

Jazzはアフリカ系アメリカ人によりニューオーリンズで生まれた即興性の高い音楽で、ブルースやラグタイムの影響を受けながら多彩なリズムとハーモニーを特徴とします。
本コラムでは、歴史的に重要なクラシック世代の歌手5名と、現代を代表するモダン世代の歌手3名を取り上げ、それぞれの代表曲とその魅力を詳しく解説します。

クラシック・ジャズの巨匠たち

ビリー・ホリデイ(Billie Holiday) — 「Strange Fruit」

ビリー・ホリデイは1915年生まれ、本名エレオノラ・フェイガンとしてフィラデルフィアで誕生し、繊細かつ深い感情表現を持つ歌声で知られます。
「Strange Fruit」はアベル・ミーロポール(Lewis Allan)の詩を反人種差別の抗議歌として作曲した楽曲で、ビリーが1939年に初めて歌唱し世間に衝撃を与えました。​
発表当時、レコード会社による録音拒否やラジオ放送の禁止措置が取られるほど過激な内容でしたが、その歌詞の象徴性とHolidayの表現力により歴史的意義を持つアンセムとなりました。

エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald) — 「Summertime」

エラ・フィッツジェラルド(1917–1996)は“First Lady of Song”の異名を持ち、澄んだ声と抜群のリズム感、そして卓越したスキャット唱法でジャズ界を牽引しました。​
「Summertime」はジョージ&アイラ・ガーシュウィン、デュボーズ・ヘイワードによる1935年のオペラ『ポーギーとベス』から生まれたナンバーで、ブルース調の旋律と情感あふれる歌詞が魅力です。​
シンプルな伴奏にもかかわらず、Fitzgeraldのアレンジと歌唱力により何度もカバーされるジャズ・スタンダードとなりました。​

サラ・ヴォーン(Sarah Vaughan) — 「Misty」

サラ・ヴォーン(1924–1990)は“ザ・サース”の愛称で親しまれ、豊かな音域と創造的なインプロヴィゼーションで評価されるジャズ・シンガー兼ピアニストです。​
「Misty」はエロール・ガーナーが1954年に作曲したスタンダードで、Vaughanはクインシー・ジョーンズのオーケストラ・アレンジを得て再解釈しました。​
2017年のアルバム『Misty』での録音は、Vaughanの抒情的な表現力とJonesの洗練されたアレンジが高く評価されています。​

フランク・シナトラ(Frank Sinatra) — 「Fly Me to the Moon」

Frank Sinatra(1915–1998)は20世紀ポピュラー音楽を代表する歌手兼俳優で、その歌声は今なお世界中で愛されています。​
「Fly Me to the Moon」はバート・ハワード作の楽曲を1954年に録音したもので、Sinatraは1964年版でQuincy Jonesの編曲とCount Basieオーケストラの演奏を採用し、アポロ計画とも結び付けられる象徴的な一曲としました。​

ナット・キング・コール(Nat King Cole) — 「Unforgettable」

Nat King Cole(1919–1965)は滑らかなバリトンと卓越したピアノ演奏で知られ、ポピュラー・ソングからジャズ・スタンダードまで幅広く歌い上げました。​
「Unforgettable」はアーヴィング・ゴードン作の1951年初出のシングルで、Nelson Riddleの編曲によるColeの録音が最も有名です。​
1991年には娘のNatalie Coleがデジタル技術で父娘デュエットを再現し、グラミー賞を獲得する大ヒットとなりました。​

モダン・ジャズ・ボーカリスト

ダイアナ・クラール(Diana Krall) — 「Just The Way You Are」

カナダ出身のDiana Krall(1964–)は、深みのあるコントラルトの歌声と優雅なピアノ演奏でジャズ界に新風を吹き込んだアーティストです。​
「Just The Way You Are」はBilly Joel作の1977年ナンバーを、Krallが2002年にライブ録音した『Live in Paris』でスウィング感たっぷりにカバーした一曲です。​
Christian McBride(ベース)、Michael Brecker(テナーサックス)、Lewis Nash(ドラム)らトップミュージシャンとの即興セッションが聴きどころです。​

ノラ・ジョーンズ(Norah Jones) — 「Don’t Know Why」

Norah Jones(1979–)は2002年のデビュー作『Come Away with Me』で世界的ブレイクを果たした、ジャズとポップが融合した柔らかなサウンドの先駆者です。​
シングル「Don’t Know Why」(2002年1月28日リリース)はJesse Harris作で、米Billboard Hot 100で30位に達し、2003年の第46回グラミー賞で〈レコード・オブ・ザ・イヤー〉〈ソング・オブ・ザ・イヤー〉〈最優秀女性ポップ・ボーカル・パフォーマンス〉の3冠に輝きました。​
デビュー作『Come Away with Me』は全世界で1800万枚以上を売り上げる大ヒットとなっています。

ライフェイ(Laufey) — 「Goddess」

Laufey Lín Bīng Jónsdóttir(1999–)はアイスランドと中国の血を引くシンガーソングライターで、ジャズとクラシックの要素をポップに融合させた「ジャズ・ポップ」で注目を集めています。​
シングル「Goddess」は2024年3月6日にリリースされ、ピアノを軸としたシンプルな編成にストリングスが絡むアレンジで、彼女のクラシカルなルーツと現代的感覚が融合しています。​

まとめ

まずはクラシック世代の深い情感と歴史的背景を持つ楽曲から聴き始め、次にモダン世代の新鮮な解釈や融合サウンドへとステップを進めてみてください。各アーティストのディスコグラフィーや関連曲にもぜひ目を向け、自分だけのお気に入りを見つける旅を楽しみましょう。

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