レコード回転数の完全ガイド:種類・歴史・見分け方まで徹底解説
レコードの回転数には主に33 1/3 RPM、45 RPM、78 RPMの3種類があり、それぞれ発祥の背景や音質特性、再生時間が大きく異なります。
33 1/3 RPM(LP盤)はコロンビアが1948年に世界初のマイクログルーヴLPとして発表し、1面あたり20〜30分の長時間再生と高音質を実現しました。
翌1949年にRCAビクターが発表した7インチ45 RPM(シングル盤)は1曲ごとに高いS/N比を確保し、EPや12インチシングルなど多様なフォーマットでも使われています。
78 RPM(SP盤)は19世紀末のベルリナー発明以来1930年代まで標準的に用いられ、シェラック製の太溝と短時間再生、そして高い表面ノイズが特徴です。
また、16 2/3 RPMといった特殊速度も存在し、図書館向けのトーキングブックなどに用いられました。本稿では各回転数の起源から技術的特徴、判別方法、さらに再生時の注意点まで詳しく解説します。
1. 回転数の種類と起源
1.1 78 RPM(SP盤)
19世紀末にエミール・ベルリナーが発明したディスクレコードが78 RPMの原型で、1920年代末まで業界標準でした。シェラック樹脂製で耐久性はあるものの、1面あたり約3分程度の再生時間に限られ、表面ノイズも多いのが特徴です。
1.2 33 1/3 RPM(LP盤)
1939年に開発が始まり、1948年6月21日にコロンビアが世界初のマイクログルーヴLP(12インチ、33 1/3 RPM)を市場導入。1面あたり最大30分前後の長時間再生を実現し、アルバム単位の鑑賞を可能にした革新的フォーマットです。
1.3 45 RPM(シングル盤)
1949年1月10日、RCAビクターが7インチ45 RPM盤を発表。1曲ずつ高音質で収録できるシングルフォーマットとして大ヒットし、EP(Extended Play)や12インチシングルにも応用されました。
1.4 その他の特殊速度
16 2/3 RPMは1960年代以降、図書館向けトーキングブックなどに採用され、片面約45分の収録時間を確保しました。かつてはEP盤用の33 1/3 RPM以外にも60~75 RPM、80 RPMなどが試みられましたが、広く残ったのは上述の主要3種です。
2. 各速度の技術的特徴と音質
2.1 溝幅と再生時間
- マイクログルーヴ(33 1/3・45 RPM):幅0.04~0.08 mm程度の細溝により振幅を小さく刻み、LPは20~30分、シングル盤は3~5分の収録を可能にします。
- 太溝(78 RPM):0.1 mm以上の深い溝で大きな振幅を再生するため力強い音ながら、収録時間は約3分と短く、ノイズも目立ちます。
2.2 S/N比と周波数特性
回転数が速いほどスタイラスと溝の接触速度が速まり、高周波成分の解像度が向上します。45 RPMは33 1/3 RPMに比べ約35%高速回転するため、ダイナミックレンジとS/N比が優れ、シングルフォーマットに最適です。78 RPMはさらに高速ですが、素材特性上ノイズが大きく、ビニール盤には及びません。
2.3 素材と耐久性
- シェラック(78 RPM):硬度は高いものの割れやすく、表面ノイズも大きい。
- ビニール(33 1/3・45 RPM):柔軟性がありノイズを低減、割れにくく、長寿命です。
3. 回転数の判別方法
3.1 ラベル表記の確認
盤面ラベルやジャケットに「33 1/3 RPM」「45 RPM」「78 RPM」と明記されているのが最も確実です。
3.2 盤サイズとセンターホール
- サイズ:7インチは主に45 RPM、12インチは33 1/3 RPMですが、例外もあるためサイズだけで判断せず表記を優先。
- ホール形状:45 RPM盤は大径(約30 mm)のセンターホール、LPは小径(約7 mm)のため、アダプターの有無で見分けられます。
3.3 実践での確認
再生機の回転数を切り替え、聴覚で音程やテンポが自然に聞こえるか試す方法も有効です。誤った速度では曲が速すぎたり遅すぎたりします。
4. 歴史的変遷と規格化
78 RPMが1925年頃に標準化されて以降、1948年のLP導入、1949年のシングル盤発売により33 1/3と45 RPMが急速に普及。1950年代末にはほぼ78 RPMの製造が終了し、現在の主流フォーマットが確立しました。
5. 再生時の注意点とおすすめ機材
- 78 RPM再生:専用のシェラック用スタイラスやカートリッジを使用し、トーンアームの調整を入念に行う。
- LP・シングル再生:高トルクモーター搭載モデルや安定したプラッターを選び、ピッチ調整機能で正確な回転数を固定すると揺らぎを低減し最適な音質が得られます。
- 45 RPMアダプター:大径ホール対応のスナップイン式アダプターを用意すると便利です。
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