クリス・クリストファーソン『悪魔と俺』を読み解く

『悪魔と俺』は、1971年7月にモニュメント・レコードからリリースされたクリス・クリストファーソンの2ndスタジオ・アルバムです。プロデューサーにはフレッド・フォスターが起用され、ナッシュビルのモニュメント・スタジオで録音が行われました。
ビルボードのTop LPs & Tapesチャートで21位、Hot Country LPsチャートで4位を記録し、1973年にはRIAAからゴールド認定を受けるなど、前作を上回る商業的成功を収めています。
収録曲の多くはクリストファーソン自身の自作であり、シンプルなギター&ボーカルに加えてストリングスやホーンセクションを導入した豊かなアレンジが特徴です。
自伝的要素や社会的テーマを織り交ぜた歌詞は、フォーク、カントリー、ロックを融合させた独自の世界観を形作っています。
概要
『悪魔と俺』は、クリストファーソンにとって初のゴールド認定アルバムとなり、前作『Kristofferson』の批評的評価を商業的成功へとつなげました。アルバム全体のランタイムは約32分で、10曲のバランスの良い構成が魅力です。
リリースと背景
クリストファーソンは1969年にモニュメント・レコードと契約し、デビュー後のツアー中に肺炎を患いながらも創作を続けました。1971年初頭にナッシュビルへ戻り、ジャニス・ジョプリンの死後リリースされた未発表アルバム『Pearl』に触発されるかたちで、本作の制作がスタートしました。
レコーディングとプロダクション
モニュメント・スタジオで行われたセッションでは、フォスターの意向でヴァイオリンやホーンセクションを大胆に導入。Ken KimのアートディレクションのもとBaron Wolmanが撮影したジャケット写真は、クリストファーソンと“悪魔”の二面性を象徴しています。
音楽性とテーマ
フォーク/カントリーの土台にロック的なダイナミズムを加え、シンプルながらも深みのあるサウンドを実現。歌詞では個人的体験や戦争、愛憎など多岐にわたるテーマを扱い、Kristoffersonのストーリーテリング能力が遺憾なく発揮されています。
収録曲解説
- The Silver Tongued Devil and I:酒場を舞台に、自己破壊的魅力を放つ“悪魔”を描くオープニング曲。
- Jody and the Kid:娘との思い出を織り交ぜ、成長と喪失を繊細に歌い上げるフォーク風ナンバー。
- Good Christian Soldier:反戦歌としての側面を持ち、宗教的イメージと戦争体験が交錯する。
- Loving Her Was Easier (Than Anything I’ll Ever Do Again):旅先で生まれたメロウなラブソングで、シングルヒットを記録。
- The Pilgrim, Chapter 33:自らの苦難と友情を綴る自伝的エピソード曲。
- Epitaph (Black and Blue):ジャニス・ジョプリンの死に触発され、一夜で書き上げた哀愁の叙情詩。
パーソネル
- ギター/ヴォーカル:クリス・クリストファーソン
- ギター:Jerry Kennedy、Jerry Shook、Chris Gantry
- ベース:Norbert Putnam、Bobby Dyson、Billy Swan
- ドラム:Jerry Carrigan
- キーボード:David Briggs、Donnie Fritts
- コーラス:Rita Coolidge ほか
- ストリングス/ホーン:Byron Bach 以下多数
- プロデューサー:Fred Foster
- エンジニア:Gene Eichelberger ほか
- アートディレクション:Ken Kim
- ジャケット写真:Baron Wolman
評価と遺産
当時、批評家からは作詞技術や表現力への賛辞が多数寄せられ、一方で賛否両論もありました。1976年の映画『タクシー・ドライバー』では劇中小道具としてアルバムが登場し、世代を超えた支持を獲得しています。
再評価とリイシュー
Discogsには複数の再プレスやCD版が登録され、コレクター間で根強い人気を誇ります。2016年にはNPRでEmmylou Harrisとの共演映像が公開され、今なお楽曲の普遍性が再確認されました。
クリストファーソンの遺産
2024年9月28日に88歳で逝去したクリストファーソンは、その後も俳優・作家として活躍し、彼のストーリーテリングとメッセージ性は今日のアーティストにも大きな影響を与え続けています。
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