RCサクセション『シングル・マン』──秘蔵録音から伝説へ
『シングル・マン』は、1976年4月21日にRCサクセションが発表した3枚目のスタジオ・アルバムで、フォーク期からエレキ編成期へと移行する過渡期を象徴する作品です。発売直後には一度廃盤となりましたが、1979年にファン主導の再発売運動を経て1980年に正式再発が実現し、現在では初期RCサクセションの代表作として高く評価されています。
発売・制作データ
- リリース日:1976年4月21日
- 録音期間:1974年12月〜1975年3月
- ジャンル:R&B、ロック
- レーベル:ポリドール・レコード
- プロデュース:多賀英典
- オリコン最高順位:79位
背景と制作秘話
当時RCサクセションは、マネージャー・奥田義行の独立騒動によるホリプロとの契約問題で“飼い殺し”状態に置かれていました。そのため録音は秘密裏に進められ、アレンジャーに星勝を迎え、タワー・オブ・パワーのホーン・セクションやシンセサイザーを取り入れた豪華なサウンドが試みられています。忌野清志郎自身は「音が整理されすぎて聴きやすい」と評し、制作中にはディレクターの多賀とも衝突があったと伝えられています。
収録曲とアレンジの特徴
- ファンからの贈り物
タワー・オブ・パワーのリズム&ホーン・セクションが参加し、ファンキーなリズムが炸裂するオープナー。 - 甲州街道はもう秋なのさ
当初録音されたストリングス・パートがカットされ、メンバーのみのシンプルな演奏が最終版に。 - スローバラード
1976年1月21日に先行シングルとしてリリースされた哀愁の名バラードで、現在でもRCサクセションの代表曲とされています。 - レコーディング・マン/ぼくはぼくの為に など
フリージャズ的要素やステージ感を再現した演奏が随所に光る、多彩なアレンジが魅力です。
廃盤から再発売までの軌跡
発売から1年足らずで廃盤となった本作ですが、1979年に音楽評論家・吉見佑子を中心とする「シングル・マン再発売実行委員会」が結成され、自主制作限定300枚の再発運動が展開されました。好評を博し合計1500枚を売り切った後、1980年にはついに全国流通での正式再発売が実現。ファン主導の異例の成功事例として語り継がれています。
再発盤の変遷
- 1994年12月19日(POCH-1452):CD化再発。忌野清志郎と坂本龍一によるボーナストラックが2曲追加。
- 2015年5月2日(シングル・マン+4/UPCY-6989):シングル「スローバラード」「わかってもらえるさ」両A面など計4曲を追加収録。
- 2025年10月15日(デラックス・エディション):デビュー55周年を記念した最新リマスター音源に加え、当時の幻のMIXや1976年4月25日のスタジオ・ライブ音源を収録した豪華版がCD・LPでリリース。
音質向上とリマスター
最新のデラックス・エディションではオリジナル・マスター・テープからのリマスター音源を採用。SHM-CDや180g重量盤クリア・ヴァイナルなど、高音質・高品質プレスで当時のサウンドを現代のリスニング環境に最適化しています。
評価とレガシー
発売当初は不遇とされながら、現在では「フォーク期とロック期をつなぐ覚醒作」「デヴィッド・ボウイ『ハンキー・ドリー』に匹敵する傑作」といった高評価を獲得。リスナーからも「初期RCの最高傑作」「清志郎の原点を味わえる一枚」と絶賛され、今なお名曲「スローバラード」をはじめとする収録曲群の魅力は色褪せていません。
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