ビーチ・ボーイズ『Pet Sounds』─革新が刻まれた名盤の深層
1966年5月16日にキャピトル・レコードからリリースされたビーチ・ボーイズの11作目『Pet Sounds』は、ブライアン・ウィルソンが「スタジオ」を作曲ツールと見なし、ウォーキング・クルーの名手たちと27回にも及ぶセッションを行って完成させた先駆的ポップ・アルバムです。発売当初はモノラルと疑似ステレオのみのリリースでしたが、1997年には初の真正ステレオ・ミックスを収録したボックスセット『The Pet Sounds Sessions』が登場。その後も50周年記念の180g重量盤や、Analogue Productionsによる45RPMエディション、クオリティ・レコード・プレス社のハーフ・スピード・マスター盤など、数多くのオーディオファイル向けリイシューが高く評価されています。発売当時は全米チャートで10位にとどまりましたが、イギリスでは2位を記録し、のちにローリング・ストーン誌「オールタイム・ベスト・アルバム」では常に第2位にランクイン。2004年にはアメリカ議会図書館の国家録音登録簿に選出されるなど、音楽史に燦然と輝く作品として後世に影響を与え続けています。
レコード概要
『Pet Sounds』は全13曲、35分57秒の構成で、冒頭「Wouldn’t It Be Nice」から「God Only Knows」、「Sloop John B」、「Caroline, No」まで、どれも細部に至るまで緻密に構築された名曲揃いです。品番T-2458のモノラルLPとして1966年5月16日に米国で初出荷され、同時に疑似ステレオ(デュオフォニック)版も発売されました。真正ステレオ・ミックスは長らく未発表でしたが、1997年のボックスセットで初めて日の目を見ました。
制作とスタジオ技術
制作期間は1965年7月12日から1966年4月17日までの約9ヶ月間に及び、当時としては破格の7万ドル以上の制作費が投じられました。ブライアン・ウィルソンはエンジニアのチャック・ブリッツとともに、ハーモニカ、グロッケンシュピール、エレクトロ・テルミンなど多彩な音色をスタジオに持ち込み、ロック・ミュージックの常識を覆す革新的なサウンドを生み出しました。
オリジナル盤のプレス情報
初回1966年盤はロサンゼルスのキャピトル工場でプレスされ、ランアウト領域に刻まれた「✻」や「6」が識別ポイントです。ブラックレーベルにレインボーバンドが配されたUS初版は、Cooper Black書体のキャピトル・ロゴが印象的なデザインとなっています。
主な再発エディション
- 1997年『The Pet Sounds Sessions』
初の真正ステレオ・ミックスに加え、アウトテイクや制作ノートを収録した4枚組ボックスセット。 - 2016年50周年180g重量盤
厚みのあるアナログLPとして欧州向けに再発され、音像の豊かさが再評価されました。 - Analogue Productions 45RPMエディション
180g重量盤2枚組の45回転仕様で、オリジナル・アナログテープの質感を最大限に活かしたサウンドを実現。 - クオリティ・レコード・プレス ハーフ・スピード・マスター盤
最新技術による高品質プレスで、オーディオファイルから最も支持を集めるエディションの一つです。
アートワークとパッケージ
ジャケット写真は1966年2月にサンディエゴ動物園で撮影され、バンドがヤギにリンゴを与えるユーモラスな光景を捉えています。当時は「最悪のカバーアート」と酷評されましたが、今ではアルバムの象徴的イメージとして定着しています。
チャート成績と批評
発売時、全米Billboard Top LPsで10位、イギリスのRecord Retailerチャートで2位を記録。初期の批評は賛否両論でしたが、1970年代以降に高く評価されるようになり、ローリング・ストーン誌の「オールタイム・ベスト・アルバム」では2003年から常に第2位に輝いています。
影響とレガシー
『Pet Sounds』はオーケストラティック・ポップの金字塔とされ、サイケデリアやプログレッシブ・ロック、ソフトロックなど多くの後続ジャンルに影響を与えました。2004年にはアメリカ議会図書館の国家録音登録簿に選出され、文化的・芸術的価値が国宝級に認定されています。
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