Björk『Post』―テクノロジーと実験が響き合うアートポップの金字塔
Björkの2作目のスタジオアルバム『Post』は、1995年6月13日にOne Little Indian Recordsからリリースされました。前作『Debut』で築いたポップとダンスの融合をさらに推し進め、テクノ、トリップホップ、IDM、ハウス、アンビエント、ジャズ、インダストリアル、実験音楽など多彩な要素を大胆にミックスし、アートポップの新たな地平を切り拓いた意欲作です。
背景と制作
1994年末から1995年4月にかけてロンドンで録音が行われ、Björk自身に加え、Nellee Hooper、808 StateのGraham Massey、元Massive AttackのTricky、Howie Bがプロデューサーとして参加。アイスランドからの移住生活やクラブ文化への没入が楽曲制作に大きな影響を与え、前作以上に実験的かつ多様なサウンドコラボレーションが展開されました。アルバムタイトルには「Debutを経てさらに進化する」という意味と、「手紙」を連想させる二重の語呂が込められています。
音楽性と収録曲
アルバムの冒頭を飾る「Army of Me」はインダストリアルなビートが支配的で、パワフルなサウンドスケープを構築。ミニマルなビートと幻想的なストリングスが交錯する「Hyper-Ballad」、静謐なハープシコードと大編成ビッグバンド・ジャズを大胆に融合させた「It’s Oh So Quiet」、幻想的なストリングスとトリップホップ的なリズムが印象的な「Isobel」など、各トラックが互いに対比を成しつつ統一感を保っています。
トラックリスト
- Army of Me
- Hyper-Ballad
- The Modern Things
- It’s Oh So Quiet
- Enjoy
- You’ve Been Flirting Again
- Isobel
- Possibly Maybe
- I Miss You
- Cover Me
- Headphones
パッケージとプレス
オリジナルのブラック盤(12インチ/180gヘヴィウェイト)にはMP3ダウンロードクーポンが付属。さらに世界5,000枚限定の140gピンク・カラーヴァイナルもプレスされ、インナー・スリーヴには歌詞印刷と特製ピンクステッカーが同梱されています。後年にはトランスルーセント・ピンク盤を含む多彩なカラーヴァイナル再発も行われ、コレクターズアイテムとして高い人気を誇ります。
リリースと反響
発売直後、『Post』はアイスランドで初登場1位、イギリスで3位、アメリカで32位を記録。オーストラリア、カナダ、アメリカ、イギリスでプラチナ認定、ニュージーランドとスウェーデンでゴールド認定を受けるなど、商業的にも大成功を収めました。シングル「Army of Me」「Isobel」「It’s Oh So Quiet」「Hyper-Ballad」「Possibly Maybe」「I Miss You」のうち三曲が英国シングルチャートTOP10入りを果たし、アルバム全体の訴求力をさらに高めました。
評価とレガシー
批評家からはその野心的かつ革新的なサウンドが高く評価され、複数の音楽メディアが1995年のベストアルバムに選出。Rolling Stone誌の“500 Greatest Albums of All Time”では、2020年版で289位にランクインし、アートポップ/実験ポップの金字塔として不動の地位を築いています。発売から30年近くを経ても、その独創的なアプローチと幅広い音響実験は、現代の多くのアーティストに影響を与え続けています。
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