ジョニー・グリフィンの名演とレコード収集ポイント|ジャズ界の「リトル・ジャイアント」の魅力と希少盤解説
ジョニー・グリフィン:ジャズ・サックス界の「リトル・ジャイアント」
ジョニー・グリフィンは、20世紀ジャズシーンを代表するテナーサックス奏者の一人であり、その驚異的な技巧とエネルギッシュな演奏スタイルから「リトル・ジャイアント(小さな巨人)」の愛称で知られています。アフリカ系アメリカ人ジャズミュージシャンとしての彼の功績は、多くのレコード作品を通じて後世に伝えられており、特にレコードコレクターやオリジナルプレスのアナログ盤において高い評価を得ています。本稿では、ジョニー・グリフィンの生涯、特徴的な演奏スタイル、そして彼が残したレコード作品を中心に、その魅力に迫ります。
ジョニー・グリフィンの生涯と経歴
ジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)は1928年8月27日にアメリカ合衆国ジョージア州シカゴで生まれました。幼少期からクラシック音楽やジャズに親しみ、その強靭で歯切れの良い吹奏法は早くから注目されました。グリフィンは1940年代後半からプロとして活動を始め、1950年代にはデクスター・ゴードンやチャーリー・パーカーといった当時の名だたるジャズメンと共演を重ねました。
1950年代中盤にはニューヨークに拠点を移し、ブルーノートやリバーサイドなどの有名レーベルから多数のアルバムをリリース。彼の代表作とされる『A Blowin' Session』(1957年、リバーサイド)や『Johnny Griffin’s Studio Jazz Party』(1960年、Riverside)は特に有名で、レコードのオリジナル盤はコレクターの間で非常に高値で取引されています。
演奏スタイルの特徴
ジョニー・グリフィンのテナーサックスは、スピード感のあるフレーズと正確無比なアーティキュレーションで特徴づけられます。ブルースやビバップの要素を巧みに融合させることで、力強さと繊細さを兼ね備えた音色を生み出しました。トーンは明るく切れ味が鋭く、速いパッセージも難なくこなすことができたため、「リトル・ジャイアント(小さな巨人)」の異名がつきました。
また、グリフィンはインタープレイに長けており、共演者のソロに対するレスポンスも非常に生き生きとしていました。例えばアート・ブレイキーのジャズメッセンジャーズでの活動時代には、彼の吹くフレーズがバンドの躍動感を高める役割を果たしていました。
注目すべきレコード作品
ジョニー・グリフィンのレコードは、多くのジャズファンやコレクターから高い評価を受けているものが多く、特にオリジナルのアナログ盤にはその演奏の熱気と音質の豊かさが詰まっています。ここでは代表的な作品をいくつか紹介します。
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『A Blowin' Session』(1957年、Riverside、RLP 12-232)
マイルス・デイビスやジョン・コルトレーンといったジャズ界の巨匠と共演したこのレコードは、グリフィンの技術の粋が集まった名盤。LPオリジナル盤は特に市場価値が高く、1950年代のリバーサイド・プレスは音質も良好で人気が高いです。
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『Johnny Griffin Sextet』(1958年、Blue Note、BLP 1586)
ブルーノート・レーベルから発表された本作は、ハードバップの最高峰とも言われ、ハンク・ジョーンズやゲイリー・ピーコックといった優れたミュージシャンが参加。オリジナル・モノラル盤はコレクター間での人気が根強いです。
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『The Little Giant』(1959年、Riverside、RLP 12-243)
タイトル通り彼自身のニックネームを冠したアルバム。西海岸ジャズとの融合がなされた作品で、ジョニー・グリフィンの幅広い音楽性を味わうことができます。初版プレスは青いリバーサイドのレーベルデザインが特徴的です。
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『Johnny Griffin’s Studio Jazz Party』(1960年、Riverside、RLP 12-278)
ライブ感あふれるスタジオ録音が魅力的なこの作品は、ジョニー・グリフィンの生のエネルギーを強く感じ取れる一枚。アナログ盤ではオリジナル盤のプレスが特に人気で、リバーサイドのグリーンラベルが多くのコレクターに支持されています。
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『White Gardenia』(1961年、Riverside、RLP 12-307)
わずかにバラードやスタンダード曲を取り入れた本作は、彼の多彩な表現力を示しています。オリジナルLPはコンディションによって状態が大きく価格に影響しますが、良好なコンディションのものは貴重です。
ジョニー・グリフィンのレコード収集におけるポイント
ジョニー・グリフィンのレコードを収集する際に注意すべきポイントはいくつかあります。まず、LPの初回プレスは音質が優れていることが多く、リリース時期やレーベルの刻印によって音の厚みやダイナミクスが微妙に異なります。特に1950年代後半から1960年代初頭のリバーサイド盤は、オリジナルプレスであることが大きな価値を持っています。
また、モノラル/ステレオ盤の違いや、ジャケットの状態・プリントのタイプもレアリティ度や市場価格に影響を与えます。ジョニー・グリフィンのジャケットデザインはシンプルながら印象的なものが多く、そのヴィンテージ感もアナログ盤ならではの魅力と言えます。
さらに、共演者や収録曲の組み合わせによっても人気や価値は左右されます。例えばマイルス・デイビスやアート・ブレイキーといった他のジャズ界の巨匠との共演盤は特にコレクション価値が高いことが多いです。
まとめ
ジョニー・グリフィンはジャズ史において欠かせない偉大なテナーサックス奏者であり、その「リトル・ジャイアント」という愛称は彼の技術と音楽の深さをよく表しています。彼のレコード作品は、デジタル全盛の現代においてもアナログレコードの魅力を伝える重要な遺産であり、ジャズファンやレコード収集家にとっては永遠の宝物と言えるでしょう。
オリジナルプレスのレコードを手に入れ、そのプレス音やジャケットの質感に触れることは、ジョニー・グリフィンの音楽への理解と感動をより深める手段となります。ぜひ彼の代表作をアナログで聴き、その名演を体感してみてください。


