ポール・デスモンドの魅力を徹底解説|名盤レコードと代表作「テイク・ファイヴ」の魅力ガイド
ポール・デスモンドとは?—静謐なアルトサックスの詩人
ポール・デスモンド(Paul Desmond、1924年5月25日 - 1977年5月30日)は、アメリカのジャズ・アルトサックス奏者であり、特にクールジャズのサウンドを代表する重要な人物です。彼は、デイブ・ブルーベック・カルテットの一員として知られ、その透き通るような美しいトーンは多くのリスナーの心を掴みました。特にアナログレコード時代に名盤が数多くリリースされ、その繊細な演奏は今なお高い評価を得ています。
デスモンドの代表作と名曲について
ポール・デスモンドには多数の名演があり、特に彼が作曲した「テイク・ファイヴ(Take Five)」はジャズ史に燦然と輝く名曲として知られています。以下にレコード時代にリリースされた代表曲を挙げつつ、その魅力をご紹介します。
テイク・ファイヴ(Take Five)
- アルバム:『タイム・アウト(Time Out)』(1959年、Columbia Records)
- 特徴:5/4拍子という変拍子を用いた斬新なリズムと、デスモンドのクールで流麗なアルトサックスのメロディが絶妙にマッチしている。ジャズにおける不朽の名曲。
「テイク・ファイヴ」はデイブ・ブルーベック・カルテットのアルバム『タイム・アウト』収録曲の一つですが、実は作曲者はピアニストのポール・デスモンド自身です。1959年にリリースされたこのアルバムは、ジャズの世界で異色の成功を収め、レコードの売れ行きも非常に良好でした。シングル盤も発売され、当時の音楽シーンに大きな影響を与えました。
この曲の特徴は、5拍子という通常のジャズやポップスでは馴染みの薄い拍子を採用していることにありますが、デスモンドの柔らかでクールなアルトサックスのフレーズがこの異質なリズムを自然に聴かせています。 この音色はアナログLPのウォームな質感とも相まって、当時のレコード愛好家の間でカルト的な支持を獲得しました。
ブラジルのマンボ(Braziliana)
- アルバム:『サウンド・オブ・サイレンス(Desmond Blue)』(1961年、RCA Victor)
- 特徴:ブラジル音楽のエッセンスを取り入れた曲で、デスモンドの抑制の利いた演奏が印象的。
『Desmond Blue』は、ブルースやボサノヴァの影響を感じさせる曲が並び、レコード時代のジャズ・ファンの間で親しまれました。特に「Braziliana」は、南米のリズムをジャズに融合させた技巧とセンスの良さが際立つ一曲です。
ブリッジ・オブ・アズール(Bridge Over Troubled Water)
- アルバム:『ソロ・サクソフォン(Bridge Over Troubled Water)』(1970年、CTI Records)
- 特徴:ポール・サイモンの名曲をジャズにアレンジ。ヴォーカルのないアルトサックスによるメロディーが印象的。
1970年にリリースされたこのアルバムは、デスモンドの晩年の代表作の一つで、彼の奏でるアルトサックスの音色でポピュラーソングをジャズ風にカバーしています。アナログ盤の音質の良さも手伝い、より暖かく、深い味わいを醸し出しています。
ポール・デスモンドのレコードの魅力
デスモンドの録音は1950年代から1970年代の黄金期に集中しており、アナログレコードで聴く彼の音楽は、CDやデジタル音源では味わいづらい独特の“空気感”を伴っています。そのため、多くのジャズ愛好家やコレクターは、オリジナルプレスのヴィンテージLPを高く評価しています。
例えば、『タイム・アウト』のColumbiaの初回プレス盤は、ブルーベック・カルテット最高の録音として知られ、プレスの音圧やマスタリングも時代の技術を最大限に活かしたものです。ヴィンテージLPならではの暖かみと臨場感は、日常生活に溶け込むような繊細なデスモンドのアルトサックスの音を余すことなく再現します。
また、CTIレコードからリリースされた1970年の『Bridge Over Troubled Water』は、高音質録音へのこだわりが強く、ジャケットの美しさとともにコレクターズ・アイテムとされています。このように彼のレコードは音質、ジャケットデザイン、そして演奏の質の三拍子が揃っており、アナログ盤での所有・再生に価値を見出すファンが多いのです。
おすすめのレコード盤と入手のポイント
- 『タイム・アウト』Columbia CS 8163(モノラル初回プレス)
ジャズの歴史的名盤。レコードの溝の深さやラベルの状態を確認し、できるだけ良好な状態のものを選びたい。 - 『Desmond Blue』RCA Victor LPM-2350
デスモンドのソロ力を存分に感じられる作品。モノラル盤は特に音の厚みがあるためおすすめ。 - 『Bridge Over Troubled Water』CTI CTI-6001
音質に定評あるCTIの代表作。ジャケットの保存状態も重要。
これらのレコードは中古市場で入手可能ですが、特にヴィンテージ物はコンディションによって価格や音質が大きく変化します。レコードショップでの試聴や、信頼できるオークションサイトの利用がおすすめです。また、オリジナル盤とリイシュー盤の見分け方も重要で、プレス情報やレーベルの違いを確認するとよいでしょう。
まとめ
ポール・デスモンドは、その独特のアルトサックスの音色でジャズ界に多大な影響を与えただけでなく、レコード時代における数々の名盤を遺しました。特に『タイム・アウト』に収録された「テイク・ファイヴ」は、ジャズのスタンダードナンバーとして今なお愛され続けています。
CDやサブスクリプションでは味わえない、ヴィンテージLPならではの温かみと質感は、デスモンドの繊細なプレイをより豊かに伝えてくれます。彼のレコードを所有し、アナログプレーヤーで聴く体験は、真のジャズ愛好家にとってかけがえのない時間となることでしょう。


