ジャズ巨匠ヴィクター・フェルドンの名盤と希少LPコレクション完全ガイド
ヴィクター・フェルドマンとその音楽的背景
ヴィクター・フェルドマン(Victor Feldman, 1934年6月7日 - 1987年2月3日)は、イギリス出身のジャズ・パーカッショニスト、ピアニスト、ビブラフォン奏者として知られています。1950年代から1980年代にかけて活躍し、マイルス・デイヴィスやフランク・シナトラなどの著名なアーティストと共演。多彩な楽器を操り、そのきめ細やかな演奏技術でジャズシーンにおいて独自の地位を築きました。
ヴィクター・フェルドマンの名曲とレコード情報
フェルドマンは多くのスタジオ録音、セッションワークを行ってきましたが、その中でも彼自身がリーダーを務めた作品は特に重要視されています。ここでは、彼の代表的な名曲を取り上げつつ、リリースされたレコードの情報も交えて紹介します。
1. “Suite Sixteen” (1955)
ヴィクター・フェルドマンが1955年にリリースしたアルバム『Suite Sixteen』は、彼の多彩な才能が詰まった作品です。このLP(レコード)は、当時のジャズファンから高い評価を受けました。収録曲の中でも特に有名な楽曲をいくつか紹介します。
- "Over and Out"
洗練されたハードバップスタイルの曲で、フェルドマンのピアノとビブラフォンの繊細な対話が聴きどころ。レコードのA面1曲目に収録されています。 - "The Hanging Tree"
壮大なムードを持つ中間テンポの曲。叙情的なテーマと緩急の効いたアレンジが特徴です。フェルドマンの感情豊かな表現力が感じられる作品です。
このアルバムはオリジナル盤が非常にコレクターズアイテム化しており、英EmArcyレーベルでの12インチLPとして発売されました。特に初版のMONO盤は良好なコンディションで高値がつくことがあります。
2. “Latinsville!” (1959)
ヴィクター・フェルドマンのラテン・ジャズへのアプローチを示した名盤『Latinsville!』は、Contemporary RecordsからリリースされたLPレコードです。彼のビブラフォンとパーカッションの巧妙なアプローチが際立つアルバムで、ラテンのリズムとジャズが見事に融合しています。
- "South of the Border"
ラテンジャズのスタンダードナンバーですが、フェルドマンはオリジナルアレンジで独特の雰囲気を作り出しています。 - "Mambo de las Brujas"
この曲はマーボのリズムが主体で、フェルドマンのパーカッションワークが際立つメインテーマ。LPレコードではB面の中盤に収録されていることが多いです。
「Latinsville!」の初版LPはContemporary Recordsの黄色いレーベルで、ビニールの質も良く当時の音響技術の高さを実感できます。ジャケットデザインも一般的に人気があり、ヴィンテージ盤としても高評価です。
3. “Victor Feldman Trio” (1956)
フェルドマンのピアノトリオ作品として名高いのが、『Victor Feldman Trio』(1956年、Mode Records)。このレコードはミニマルながらも深みのある演奏で知られ、ブロックのように整然としたピアノの構成が特徴的です。
- "Somewhere"
この楽曲は美しいバラードで、フェルドマンの繊細なタッチとドラマティックな展開に注目。レコードのA面1曲目に収録されることが多いです。 - "How Long Has This Been Going On?"
スタンダードをフェルドマンならではのアレンジで演奏。コードワークの絶妙な変化が聴きどころです。
このレコードは中古市場でも入手可能ですが、状態や盤質により価値が大きく異なります。ジャケットの状態やラベルのプリントもチェックポイントです。
ヴィクター・フェルドマンの音楽的特徴とその名作たちの意味
ヴィクター・フェルドマンの演奏は、単なる技術の巧みさだけではなく、ジャズの表現力の幅広さと深みを示すものです。彼はピアノだけでなく、コンガ、ドラム、ビブラフォンなど多くの打楽器も演奏し、繊細かつ躍動的なリズムを作り上げました。
特にレコードの音質やジャケットのヴィンテージ感も、フェルドマンの作品に対する魅力の一つ。50年代から60年代にかけてのジャズLPはアナログレコードならではのウォームな音色が楽しめ、彼の音楽の豊かさがより深く味わえます。
また、フェルドマンは日本のジャズファンにもコレクターズアイテムとして知られており、当時の英米のオリジナルジャケットのLPは希少価値が高いです。こうしたヴィンテージLPを通じて彼の名曲を聴くことは、単に音楽鑑賞という枠を超え、ジャズの歴史や文化を手元で感じる体験となるでしょう。
まとめ
ヴィクター・フェルドマンは、その多才な楽器演奏と洗練されたアレンジでジャズ界に大きな足跡を残しました。ここで紹介した「Suite Sixteen」「Latinsville!」「Victor Feldman Trio」などのレコードは、彼の音楽性が最も良く表現された名作として、今なお多くのジャズファンに愛され続けています。
特に、オリジナルLPレコードでこれらの作品を手に取ることは、デジタル環境では味わえない「音とジャケットアートを通じた時代の息吹」を感じる貴重な体験になるでしょう。ヴィクター・フェルドマンの音楽が持つ奥行きを堪能しつつ、ぜひジャズ・レコード収集の旅路も楽しんでいただきたいと思います。


