Pentangleの名盤解説と高音質オリジナル盤レコードの選び方ガイド
Pentangleとは何か?
Pentangleは1960年代後半にイギリスで結成されたフォークロックバンドであり、特に英国トラディショナル・フォークとジャズ、ブルースを融合させた独自のサウンドで知られています。メンバーにはジャクソン・ブラウンの影響を強く受けたギターのジョン・レンボーン、女性ヴォーカリストのジャッキー・マクシー、さらにバンジョーやマンドリンを巧みに操るトニー・ライスなど、個々の高い演奏技術が特徴です。これらが一体となることで、新しいフォーク音楽の潮流を生み出しました。彼らの音楽は1960年代の英国フォークリバイバルの中心にありましたが、単なる復古調の演奏ではなく革新的なアレンジが称賛されました。
Pentangleの代表的な名盤『The Pentangle』(1968)について
Pentangleの最初のアルバム『The Pentangle』は1968年にリリースされました。レコードのフォーマットでリリースされたこの作品は、その美しいジャケットアートと共に当時のフォーク・リスナーの間で高く評価されました。アナログLPの温もりある音質は、彼らの繊細なアコースティックサウンドを最大限に引き出しています。
このアルバムの特徴的な点は、トラディショナルなフォークソング、例えば「Light Flight」や「Wedding Dress」のような楽曲を現代的なジャズ感覚で再構築していることです。加えてギターのジョン・レンボーンとバンジョーのトニー・ライスの絶妙な掛け合いがレコードの横溝から生き生きと響いてきます。ジャッキー・マクシーの透明感のあるボーカルは、まさにこのレコードの最大の魅力です。
- レーベル:Transatlantic Records
- リリース年:1968年
- オリジナル盤おすすめポイント:ヴィンテージのマスターテープを使ったプレスは特に音の鮮度が高い
『Basket of Light』(1969) – ピークの名盤
1969年リリースの『Basket of Light』はPentangleにとっての代表作であり、最も成功したアルバムの一つです。レコードで楽しむ際には、カッティングの深さやプレスの質によって音質に大きな差が出るため、特にオリジナルのTransatlantic盤がコレクターズアイテムとして人気があります。
このアルバムでは「Light Flight」がシングルカットされ、イギリスのシングルチャートにもランクインしました。ジャジーなギターのフレーズと女性ヴォーカルの絡み合いが見事で、レコードのアナログならではの空気感が漂う演奏が聴けます。「Once I Had a Sweetheart」などのトラディショナル・ナンバーも秀逸で、70年代前半のフォーク・シーンに新風を吹き込んだ名盤と称されています。
- レーベル:Transatlantic Records
- リリース年:1969年
- 注意点:オリジナルの180グラム重量盤レコードは特に音質が良い
『Cruel Sister』(1970) – トラディショナルフォークへの回帰
1970年にリリースされた『Cruel Sister』はPentangleの中でも特にフォーク色が強いアルバムです。豪華な民謡のアレンジはレコード盤のダイナミックレンジのおかげで、その物語性や叙情美を余すところなく引き出しています。ヴィニール独特の温かみのある音質は、当時のアナログマスターテープを用いたオリジナル盤で聴くと特に顕著です。
タイトル曲の「Cruel Sister」は11分にも及ぶ大作で、複雑な楽器編成とサウンドレイヤーがアナログレコードでじっくり聴くのに適しています。この作品は一部のメンバーの音楽的方向性の違いが表面化し始めた時期に作られており、録音の雰囲気にもその緊張感が漂っています。
- レーベル:Transatlantic Records
- リリース年:1970年
- アナログ盤入手のポイント:オリジナルプレスは高音質で人気が高い
Pentangleレコードの音質とプレスの選び方
Pentangleのレコードは1960年代後半から1970年代初頭のプレスが最も評価されています。アナログレコード特有の温かみのある音像が、彼らのアコースティック楽器の繊細なニュアンスをしっかり再現してくれるためです。特にオリジナルのTransatlantic Recordsプレスは、マスターテープから丁寧にカッティングされており、音の解像度が高いのが特徴です。
コレクターズ市場では、再発盤に比べてオリジナル盤の価格は高騰していますが、その価値は十分にあります。180グラム重量盤の再発も出ていますが、レコードプレイヤーの針やカートリッジの性能によっては、オリジナル盤の細かなニュアンスには及ばないこともあります。
- 音質重視ならばプレスされた年代や圧縮の少ないマスターテープを使用した盤を選ぶ
- 盤面の状態が音に直結するため、キズや変形が無いものを探すことが重要
- 音質を引き出すためのターンテーブルと針のセッティングもポイント
まとめ
Pentangleは英国フォークシーンにおける革新的なバンドであり、彼らのレコード作品はその音楽性と録音の質から「名盤」として今なお高い評価を得ています。特に『The Pentangle』『Basket of Light』『Cruel Sister』はオリジナルのレコードで聴くことが望ましく、そのアナログサウンドによって彼らの持つ独特の音楽的世界を感じ取ることができます。
愛好家やレコードコレクターにとって、Pentangleのオリジナル盤は単に音楽を聴くだけでなく、当時の音楽史の一断面を体感する貴重な音響資料でもあります。フォークミュージックの深みを味わいたい方は、ぜひレコード店やオークションで見つけて、当時の息づかいを感じながら聴いてみてください。


