ザ・スモール・フェイセズ名曲解説とレコード盤の魅力|60年代ロックの真髄を紐解く

The Small Faces 名曲解説コラム:レコード時代の輝き

1960年代のイギリスのロックシーンにおいて、ザ・スモール・フェイセズ(The Small Faces)は、その独自のサウンドとスタイルで大きな影響を与えたバンドの一つです。特にレコード時代の彼らの作品は、現在でも高い評価を得ており、音楽史における重要な位置を占めています。本コラムでは、ザ・スモール・フェイセズの名曲を中心に、当時のレコードに関する情報も交えながら詳細に解説します。

ザ・スモール・フェイセズとは

ザ・スモール・フェイセズは1965年にロンドンで結成され、スティーヴ・マリオット(ヴォーカル・ギター)、ロン・ウッド(ギター)、ケニー・ジョーンズ(ドラムス)、およびロニー・レイン(ベース)がメンバーでした。彼らはモッズ・カルチャーの象徴的存在となり、モータウンやR&Bの影響を受けたアップテンポでリズミカルな楽曲を多数制作しました。彼らのレコードは主にデッカ・レコードと後にはファンタジー・レコードからリリースされましたが、イギリス国内のみならずアメリカのディープなロックファンからも支持を集めました。

代表的な名曲とそのレコードリリース

  • "All or Nothing" (1966年)

    ザ・スモール・フェイセズの中でも特に有名なシングル曲であり、彼らの特徴的なソウルフルなヴォーカルとエモーショナルなギターが印象的です。オリジナルの7インチシングルはデッカ・レコードからリリースされ、UKシングルチャートで最高1位を記録しました。収集価値の高いオリジナル盤は、ラベルがデッカのブラック&グリーン仕様で、フェイセズのロゴがあしらわれ、ジャケットはシンプルながらもモッズファッションを反映したアートワークとなっています。

  • "Here Come the Nice" (1967年)

    1967年のヒットシングル。プロデューサーとしてモッズ時代に名を馳せたトニー・クラークが関わり、リリカルでサイケデリックさも感じさせる曲調が特徴的です。オリジナル7インチのアセテートは多くのコレクターが求める逸品で、ジャケットは当時流行したカラフルな幾何学模様が用いられています。また、オリジナル盤のB面は「Talking to You」で、こちらもファンの間で評価が高い名曲です。

  • "Itchycoo Park" (1967年)

    ザ・スモール・フェイセズの代表曲として必ず名前が挙がる一曲。プロデューサーのジョニー・バロンによるファズドアウトのギター・エフェクトと、先駆的なオートチューン的効果を用いたフランジャーの使用が話題となりました。デッカからの7インチシングルはオリジナル・プレス盤だと高値取引がされており、特にUKオリジナルは泡のような縁取りのタイトルロゴが特徴的なジャケットで、多くのマニアを魅了しています。B面は「I'm Only Dreaming」で、こちらも彼らのソングライティングの深さを示しています。

  • "Lazy Sunday" (1968年)

    ユーモラスかつ軽やかなメロディにのせた楽曲で、英国らしい歌詞とコミカルなヴォーカルが印象的な一曲。これはデッカ最後のシングルとしても知られ、ジャケットにはモッズスタイルとはまた違ったポップアート調のデザインが使われています。オリジナルの7インチ盤はコレクター間で貴重とされており、ジャケットの状態が保存状態に大きく影響します。

アルバム作品のレコード盤について

ザ・スモール・フェイセズのアルバムは、デビューアルバム「Small Faces」(1966年)、および「There Are But Four Small Faces」(1967年)が特に高く評価されています。これらのアナログLPは、当時のUK盤はしばしばアナログ特有の温かみのある音質と、オリジナル・ジャケットのアートワークでファンを引きつけました。

  • デビューアルバム『Small Faces』(1966年)

    イギリス・デッカからリリースされたLPは、オリジナルプレス盤だとジャケットの印刷が色あせやすく、その状態が音質に影響することもあります。内部のロンサムかつリズミカルなサウンドがコンパクトながら圧倒的な存在感を放ち、当時モッズたちの間で絶大な支持を得ました。オリジナル盤のラベルはブラック&グリーンのデッカ仕様で、音圧も現代盤より高いと言われています。

  • 『There Are But Four Small Faces』(1967年)

    アメリカ市場向けにリリースされたこのアルバムは、シングル曲を多く収録したベスト的な内容で、デッカ・レーベルのアメリカプレスは英国盤とは異なるラベルデザインが特徴です。アメリカ盤のオリジナルLPは、コレクターズアイテムとして知られ、ジャケットはやや厚めの紙質で、内側にはバンドの写真とクレジットが細かく記載されています。

レコード盤の音質と人気

当時のザ・スモール・フェイセズのレコードは、モノクロ・モノラル盤が主体で、これらは往年のロックの躍動感をストレートに伝えるために、密度の高いミックスがなされていました。特に「Itchycoo Park」などはステレオ盤よりもモノラル盤の方が音圧が強く、ファズギターの味わいが深まるとしてレコード愛好家の間で熱烈な支持を受けています。

また、彼らのレコードはジャケットのヴィンテージ感も魅力の一つで、プレスごとに微妙に異なる印刷の色味やラベルのデザインがコレクターの間で多くの話題を呼んでいます。中でもオリジナルの英国盤やアメリカ盤は入手困難かつ高価であり、当時のモッズやサイケデリック・ロックのファンには永遠の宝物となっています。

まとめ

ザ・スモール・フェイセズは単なる60年代のロックバンドではなく、そのレコード作品一つひとつが当時の文化背景や音楽的実験心を反映しています。特にオリジナルの7インチシングル盤やLPは、彼らの音楽のエネルギーと時代の空気感をそのまま伝える貴重なメディアです。これらのレコード盤は今なおコレクターズアイテムとして価値が高く、名曲の数々はアナログレコードだからこその味わい深さでファンの心を掴み続けています。

これからザ・スモール・フェイセズの音楽に触れる方や、既にファンの方にとっても、レコードのディテールに注目しながら聴くことで、より深い音楽体験と当時の空気を追体験できるに違いありません。