Genesis(ジェネシス)をLPで聴くべき理由とコレクション完全ガイド:初版・リイシュー・保存法
Genesis — レコードで聴くべき理由とコレクションガイド
Genesisはプログレッシブ・ロックからポップ寄りのサウンドへ変遷した英国のバンドで、その長いキャリアはレコード(以下レコード、LP)というフォーマットと非常に相性が良いです。本稿ではバンドの歴史を簡潔に整理した上で、特にレコードに焦点を当ててオリジナル・プレスの特徴、リイシューとマスタリングの違い、コレクター向けの注目盤と保存・再生のポイントまで、できる限りファクトに基づいて詳述します。
Genesisの結成と主要メンバーの変遷(簡潔に)
Genesisは1967年にチャーターハウス(Charterhouse School)出身の学生たちを中心に結成されました。初期メンバーにはピーター・ガブリエル(ボーカル)、トニー・バンクス(キーボード)、マイク・ラザフォード(ギター/ベース)、アンソニー・フィリップス(ギター)、ドラムのクリス・スチュワートらがいます。1969年にアルバム『From Genesis to Revelation』でデビュー。その後ギタリストやドラマーの入れ替わりがあり、1970年代初頭にはスティーヴ・ハケット(ギター)とフィル・コリンズ(ドラム)が加入。1975年にピーター・ガブリエルが脱退し、フィル・コリンズがフロントマンを務めるようになってからはサウンドが徐々にポップ路線へと変化しました。スティーヴ・ハケットは1977年頃に脱退し、以降はトニー・バンクス、マイク・ラザフォード、フィル・コリンズの3人が核となって活動しました。
レコード時代の主要アルバムとその特徴(LPに注目)
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From Genesis to Revelation(1969) — デビュー作。ジョナサン・キングがプロデュースしたポップ寄りの作品で、深刻なプレス不足や版権問題のためオリジナルUK初回盤はコレクターズアイテムとなることがあります。ジャケットやラベルのバリエーションに注目。
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Trespass(1970)〜Nursery Cryme(1971)〜Foxtrot(1972)〜Selling England by the Pound(1973) — いわゆる初期プログレ期。Charismaレーベル(UK)からのリリースが中心で、アートワークの凝ったゲートフォールド仕様や歌詞インサートが付くことが多い。特に『Foxtrot』『Selling England』の初版はアナログでの評価が高い。
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Foxtrot / Selling England / The Lamb Lies Down on Broadway(1974) — 『The Lamb…』はダブルLPでコンセプト作品。初回盤は重量盤ではないものの、ダブルジャケット/内袋/ライナーノーツの充実した仕様が見所。LPならではのサイド割り(1〜4)での曲の流れが意図的で、曲間の余韻やフェードの印象がCDと違う点が多い。
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A Trick of the Tail(1976)〜Wind & Wuthering(1976) — ガブリエル脱退後初の作品群。フィル・コリンズがボーカリストを務めることになり、サウンドに新たな方向性が見られる。LPでは初版のマトリクスやプレス国(UK, US, 日本)で音質差が出ることが知られる。
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…And Then There Were Three…(1978)〜Duke(1980)〜Abacab(1981)〜Genesis(1983)〜Invisible Touch(1986) — 70年代後半から80年代にかけて商業的成功を収めた時期。シングルヒットが多く、LPはアルバムとしての連続再生よりもA面/B面ごとの聴き方、あるいはジャケット写真・組版(特にアートワークの違い)を楽しむコレクション対象となります。
レコード(LP)コレクションの注目ポイント
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レーベルとカタログ番号 — 初期はUKではCharisma(“Mad Hatter”ロゴ等)が主要レーベル。米国ではAtcoやAtlanticなどから出ているものがあるので、同じアルバムでもUK盤/US盤でラベルやカタログ番号が異なる。オリジナル・プレスを判別する第一歩です。
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ジャケット仕様 — ゲートフォールド、インナースリーブ、歌詞カードや折り込みポスターなどの有無。初回盤はこれらの付属物が揃っていることが多く、コレクターズバリューに直結します。『The Lamb…』のようなダブルLPは付属物の充実度をチェック。
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マトリクス/ランアウト溝 — レーベルのカタログ番号だけでなく、マトリクス番号(ランアウトの刻印)でプレスの版を特定できます。再プレスやマスター違いがある場合、音質や曲間の編集に差が出ることがあります。
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日本盤(国内プレス)の特徴 — 日本盤には帯(OBI)や日本語ライナーノート、歌詞対訳が付くことが多く、海外盤よりコレクターに人気の傾向があります。初回プレスの帯付きは評価が高く、海外盤とは別の音質(RCA、東洋化成などのプレス品質差)が出ることもあります。
オリジナル・プレスとリイシューの聴き比べ(マスタリングの観点)
レコード収集では「どのマスターを聴くか」が重要です。オリジナル・アナログ・マスターを使った初回プレスは、当時のEQやダイナミクス設計が反映されており、音場感やアナログ特有の空気感が楽しめます。一方、近年のリマスターや180g重量盤再発はノイズ低減やEQの再調整でクリアに聴こえる反面、オリジナルの「温度感」が薄れることがあります。
具体的には、70年代のプログレ期アルバム(例:Foxtrot, Selling England)はオリジナル50〜70sのアナログ的処理が魅力で、欧米の初版プレス(Charisma/Decca系列)や日本の初回プレスで個性が出ます。80年代以降のポップ期アルバム(例:Genesis 1983, Invisible Touch)はリマスターで聞きやすくなる反面、ドラムやベースの音像が現代的に処理されることが多いです。
コレクター向けおすすめLP(レア盤・狙い目)
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From Genesis to Revelation(1969)初版(Charisma/UK) — デビュー作のオリジナルUKプレスは流通が限られており、状態の良い初版はコレクター需要が高いです。ジャケットの印刷や盤のラベル差で真贋を見分けられると良いでしょう。
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Foxtrot / Selling England by the Pound(1971–1973)初版 — 初期プログレ期の代表作。Charismaの初版や英国オリジナルのマトリクス違いをチェック。『Foxtrot』の7分を超える「Supper's Ready」など、LPでの曲順・サイド分けがオリジナルの意図を感じさせます。
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The Lamb Lies Down on Broadway(1974)ダブルLP初版 — 独特のコンセプトとボリュームが魅力。付属のライナーノートやシングルカット状況など、完全な付属物の有無で価値が変わります。
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日本帯付き初回プレス(各年代) — 帯・歌詞対訳の有無は日本盤の人気要素。国内盤の優れたプレス品質(東洋化成など)を好むコレクターも多いです。
購入時のチェックポイントと保存・再生のコツ
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視覚的チェック — ジャケットの角の破れ、日焼け、帯の有無、インナースリーブの状態を確認。盤面はキズやスプラッター(インクの飛び散り)をチェックし、ラベルの書き込みやスタンプの有無も確認します。
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試聴の重要性 — 中古ショップでは必ず試聴してスクラッチノイズやチャンネルバランスを確認。特に古いプレスは針飛びやチャンネルの片寄りがある場合があります。
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保管方法 — 直射日光・高温多湿を避け、立てて保存。内袋や外袋を用いて埃や酸化を防ぐ。長期保管では盤の反り(ワープ)に注意。
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クリーニングと再生環境 — 軽度の表面ノイズはアルコールフリーのクリーニング液やレコードブラシで低減可。カートリッジとアームのセッティング(針圧、アジマス)が適切だと音場感が大きく改善します。
リイシュー市場と注意点
近年、レコードのリイシューやアナログ復刻が盛んで、重量盤(180g)やリマスター盤が多く市場に出回っています。リイシューは音質や盤のコンディションが整っている利点がある一方で、マスターやEQがオリジナルと異なる場合があります。コレクターは「オリジナルの雰囲気」を重視するか「音質の向上」を重視するかで選択が分かれます。
また、限定プレスやカラー・ヴィニール、ピクチャー・ディスクなどの特殊盤は装飾性が高くポップに映りますが、音質や経年の劣化(ピクチャー盤特有のノイズ問題)を考慮して購入するのが賢明です。
まとめ
Genesisのディスコグラフィは、初期のプログレッシブな作品群から商業的に成功した80年代まで幅広く、LPというフォーマットで聴くことでアルバムごとの意図したサイド割りやジャケットの世界観をより深く体験できます。コレクションにおいてはレーベル(Charismaなど)、マトリクス、ジャケットの付属物、プレス国(UK/US/日本)を確認することが重要です。オリジナル・プレスは音質と資料的価値があり、リイシューは手頃さと音質改善が得られる場合が多い。どちらを選ぶかは「音の好み」「保存状態」「コレクションの目的」によります。
参考文献
- Genesis — Wikipedia(日本語)
- Genesis Official Site
- Genesis | AllMusic
- Genesis | Discogs(ディスコグラフィ・レコード情報)
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