Yes「Roundabout」徹底ガイド:アナログ盤で聴くべき理由と初期プレスの見分け方

Yes の名曲「Roundabout」 — レコードで聴くべき理由と深掘り解説

Yes の「Roundabout」は、プログレッシブ・ロックを代表する楽曲のひとつで、1971年のアルバム『Fragile』に収録された長尺の組曲的ナンバー(アルバム版約8分29秒)です。シングル・エディット(約3分28秒)が1972年にシングルとしてカットされ、アメリカのビルボード・ホット100で13位を記録するなど商業的成功も収めました。この記事では、楽曲の成り立ちや演奏的特徴に触れつつ、特に「レコード(アナログ盤)」としてのリリース形態、パッケージ、音質、コレクション面での価値に重点を置いて詳しく解説します。

曲の背景と作曲・作詞

「Roundabout」は主にギタリストのスティーヴ・ハウとボーカリストのジョン・アンダーソンの共作としてクレジットされています。楽曲の詞世界は、アンダーソンが旅の印象(特にスコットランドや湖水地方の風景)や移動感、円環(ラウンドアバウト=ロータリー)から受けたイメージを抽象化したもので、風景描写と比喩が混じり合った詩的な表現が特徴です。ハウによるアコースティック12弦系のアルペジオとクリス・スクワイアの力強くメロディアスなベースラインが冒頭から絡み合い、楽曲全体を牽引します。

録音・編曲上の特徴

  • 録音とプロダクション:アルバム『Fragile』(1971年)はイギリスで録音され、エディ・オフォード(Eddie Offord)が共同プロデューサー/エンジニアとして深く関与しました。演奏のダイナミクスと各楽器の分離感を活かしたアナログ録音が特徴です。
  • 楽器編成:アコースティック(および12弦)ギターの繊細な指弾きと、クリス・スクワイアのピック弾きベースが低域でメロディを支える構造。さらにリック・ウェイクマンのキーボード(ハモンド、ミニモーグ、メロトロンなど)が色彩的なソロや間奏を彩ります。
  • 楽曲構造:一見するとポピュラーなヴァース/コーラス形式を下敷きにしながら、間奏やソロ、テンポの転換、モチーフの反復などプログレ的要素を統合しているため、アルバムで聴くと“組曲”的な満足感があります。

レコード(アナログ)でのリリースとパッケージ性

「Roundabout」を収めた『Fragile』のオリジナルLP(1971年)は、レコードパッケージそのものが作品体験の重要な要素でした。カバーアートはロジャー・ディーン(Roger Dean)が手がけたもので、彼の独特の浮遊する島や有機的形象はYesのイメージを象徴します。オリジナル盤の多くは印刷やスリーヴ構成に凝った仕様で、特に初期プレスではジャケットの質感や内袋の写真・解説インサートが充実しており、物としての所有欲を満たします。

シングルとしての「Roundabout」は1972年にカットされ、短縮編集版が7インチで流通しました。ラジオ向けに編集されたこのバージョンがヒットにつながったため、7インチシングルはコレクターズアイテムとしても需要があります。国ごとにラベルやスリーヴが異なるため、英国盤・米国盤・日本盤といったバリエーションを追うのもアナログ収集の楽しみです。

初期プレスとリイシュー、マスターの違い

アナログ盤で聴く際に注目したいのは「マスター」と「プレス」の違いです。オリジナル1971年プレスはアナログ・テープから直接カッティングされているため、当時の機材特有の暖かみやダイナミックさが残っています。一方、後年のリイシューやリマスターはデジタル処理を経たものが多く、音像のシャープさや低域の処理が変わることがあります。

また、日本盤オリジナルや初期東芝/ワーナー系列の国内プレスはカッティングやプレス品質が高いことで知られており、音像の密度や定位の良さから人気があります。逆にプレス品質が安定していない盤は歪みやノイズ感が出やすいため、状態(盤質=VG+/NMなど)をしっかり確認することが重要です。

マニア向けのチェックポイント(レコード購入時)

  • プレス年と国:初期米国盤/英国盤/日本盤で音色やパッケージングに差が出ます。
  • ジャケットの状態:折れ・擦れ・リングウェアの有無。オリジナルのライナーやポスター、インサートの有無は評価を左右します。
  • Runout groove(ランアウト)刻印:オリジナル・プレスにはマトリクス刻印やカッティングエンジニア名が刻まれていることがあり、識別に有効です(購入前に写真で確認しましょう)。
  • ノイズの有無:スクラッチや摩耗が少ないものを選ぶ。針飛びの有無は現物確認が必須です。

音楽的意義と文化的影響

「Roundabout」はYesの代表曲として長年にわたり愛され、プログレッシブ・ロックの教科書的存在になりました。アルバムの中での位置づけだけでなく、シングルとして米国市場で成功したことがYesの知名度拡大に貢献しました。近年ではインターネット文化やメディアで再評価され、さまざまな世代に届く楽曲となっていますが、アナログ盤で聴くと当時の録音技術やプレイの空気感、カバーデザインをまるごと体験でき、デジタル配信では得にくい立体感が味わえます。

まとめ:なぜレコードで聴くべきか

「Roundabout」は演奏の細部、音の余韻、楽曲の組み立てが重要な楽曲です。オリジナル・アナログ盤はその微細なニュアンスを余すところなく伝え、ジャケットやインサートといった物理メディア特有のアートワークと相まって、音楽体験がより豊かになります。コレクター視点では初期プレスや各国盤の違いを楽しむこともでき、再発盤でも良質なアナログ・リイシュー(アナログ・マスターからの再カッティングや高音質プレス)は魅力的です。もし購入を検討するなら、盤質・プレス国・ジャケットの保存状態を重視して選ぶのが失敗の少ない方法です。

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