Yesをレコードで楽しむ完全ガイド:代表曲のオリジナル盤・リイシュー比較とコレクターズポイント
はじめに — レコードで聴くYesの代表曲の魅力
プログレッシブ・ロックの象徴的バンド、Yes。彼らの楽曲は複雑な構成、精緻な演奏、印象的なメロディが同居しており、アルバム単位での鑑賞に向いたものが多い一方で、いくつかの「代表曲」はシングル盤やアルバムのレコードジャケット、マスタリングの違いと合わせて聴くことで、新たな世界が開けます。本稿では「Roundabout」「I've Seen All Good People」「Close to the Edge」「Heart of the Sunrise」「Owner of a Lonely Heart」ほか、イエスを代表する楽曲を中心に、レコード(アナログ盤)にまつわるリリース情報、オリジナル盤とリイシューの違い、コレクターズポイントやオーディオ的な聴きどころまで深掘りして解説します。
代表曲とレコードでのポイント(概要)
- Roundabout — Fragile(1971)に収録。7インチのシングル編集盤が存在し、ラジオ用に短縮されたモノ/ステレオ編集やプロモ盤が流通。
- I've Seen All Good People — The Yes Album(1971)。シングルカットやプロモーション用盤があり、アセテートやプロモ盤の存在がコレクター的に注目。
- Close to the Edge — アルバム・タイトル曲(1972)。サイド長尺の楽曲ゆえ、LPでの収録・マスタリングが音楽体験に直結。
- Heart of the Sunrise、Starship Trooper など — 初期70年代のアルバム曲はオリジナル・アナログ盤(英米初回プレス)の音像が価値を持つ。
- Owner of a Lonely Heart — 90125(1983)。デジタル世代のヒット曲だが、12インチリミックスや初期アナログマスター盤には当時のプロダクションのエッセンスが残る。
Roundabout — 「ラウンドアバウト」をアナログで聴く
“Roundabout”はFragile(1971)収録のシグネチャー・トラックで、複雑なベースラインと印象的なアコースティックイントロ、そしてドラマティックなエンディングが特徴です。アルバム曲としての聴きどころは、イギリス盤/アメリカ盤のオリジナルLPでのマスタリング差異、そしてシングル(7インチ)に収められた「ラジオ編集ヴァージョン」です。
レコードでの注目点:
- オリジナルLP(英・米それぞれの初回プレス)はマスタリングやカッティングが微妙に異なり、低域の出方やステレオイメージに差が出ます。アナログでの音場感やダイナミクスを重視するなら初期プレスの状態が重要です。
- 7インチ・シングル(1972年リリースの編集版)は放送用に短縮され、イントロやフェード処理が異なるため、シングルでしか聴けない瞬間が存在します。プロモ盤やアセテートのエディットはコレクターズアイテムになっています。
I've Seen All Good People — ポップ性とアナログの相性
“I've Seen All Good People”(The Yes Album, 1971)は、フォーク寄りの導入から力強いギターとコーラスへ展開する曲で、イエスのポップな側面を象徴しています。シングルカットされた歴史があり、7インチでの流通がコアな存在感を持ちます。
レコードでの注目点:
- シングル盤(7インチ)はアルバムとミックスやフェード位置が異なる場合があり、特に初期のプレスや各国盤での違いは小さくないため、アナログで集める価値があります。
- ジャケット/スリーヴも国によって差があり、UK盤はアートワークやライナーノート表記が異なることがあります。物理的所有の喜びという点で重要です。
Close to the Edge — LPでこそ味わえる大作の迫力
“Close to the Edge”(1972)はプログレらしい長大組曲で、サイド全体を使う曲構成はLPという物理フォーマットと相性抜群です。レコードで聴く際は、カッティングのダイナミックレンジとトーンアーム、ターンテーブルの性能がそのまま体験に反映されます。
レコードでの注目点:
- オリジナル・アナログ盤(初回プレス)は音の立ち上がりや空間表現が生きており、後年のリマスターと比べて音の「勢い」が違うと感じるリスナーが多いです。
- 長尺トラックは溝幅やカッティング時のイコライズ処理に影響を受けやすく、後年の再発ではノイズや音像の解像感が改善されているものの、逆に当時のアナログ感が薄まる場合があります。両方を聞き比べるのが楽しい点です。
Heart of the Sunrise / Starship Trooper — 初期プレスの価値
“Heart of the Sunrise”(Fragile収録)や“Starship Trooper”(The Yes Album収録)など、初期70年代の名曲群はオリジナルLPの質が評価されます。これらの曲はドラマティックなダイナミクスと複雑なアンサンブルが特徴で、アナログ再生時の帯域バランスや位相感が楽曲の印象を強く左右します。
レコードでの注目点:
- 英盤初回プレスや米盤初回プレスはカッティングエンジニアやスタンパー差で音が異なります。盤質(ノイズ量、スリップの有無)も鑑賞体験に直結するため、状態の良いオリジナル盤は市場価値が高めです。
- 当時のプレスは厚紙ジャケット、ゲートフォールド仕様、インナー・スリーブ、歌詞カードやポスターが付属することがあり、それらの保存状態がコレクション価値に影響します。
Owner of a Lonely Heart — 1980年代のヒットをアナログで辿る
“Owner of a Lonely Heart”(90125, 1983)はYesのキャリアで最大の商業的成功を収めたシングルで、MTV世代に向けたプロダクションが特徴です。当時はデジタル録音技術が導入され始めた時期で、12インチのリミックスやプロモ盤でさまざまなヴァージョンが流通しました。
レコードでの注目点:
- 12インチシングルやプロモ盤には、ヴァージョン違いやリミックス(ダンス向け、エクステンデッド)が存在します。オリジナルのアナログ12インチで聴くと、当時のプロダクション処理(コンプレッションやEQのかかり方)がよく分かります。
- 1980年代初期のアナログ盤は、CD以前のマスター(テープ由来)をアナログに戻してカッティングしているケースもあり、デジタル・リマスターと比べて質感が異なります。好みは分かれますが、オリジナルの12インチは年代の空気感を伝える重要アイテムです。
オリジナル盤とリイシュー盤、どちらを選ぶか
レコードでYesを楽しむ際に悩ましいのは「オリジナル盤を追うか」「品質改善を期待してリイシュー(180gプレスやハイレゾマスターのアナログ化)を選ぶか」です。一般論として:
- オリジナル盤は当時の音作り(ミックスやカッティングの個性)をそのまま伝えるため、歴史的価値や音の「勢い」を重視するコレクター向け。
- リイシュー(Analogue Productions、Mobile Fidelity、Classic Records、リマスター盤など)は、ノイズ低減やラウドネスの調整、よりクリーンなカッティングを求めるオーディオファン向け。特にアナログ専用マスターや高品質プレスは音場感や解像度で有利な場合があります。
プレスの見分け方と購入時のチェックポイント
アナログ盤を購入する際の実務的チェックポイント:
- カタログ番号とマトリクス(ランアウト溝の刻印)を確認。これで初回プレスやプレス工場の差が分かります。
- ジャケットの印刷やライナーノーツ、付属物(インナー、ポスターなど)の有無で初回仕様かどうか判断できます。
- 盤の回転数・重量表示(180g表記など)、再発盤ならプレス元やリマスター情報のクレジットを確認。
- 試聴が可能ならノイズ、チリ・パチ音、チャンネルバランスをチェック。ネット購入時は写真や出品者の評価を確認しましょう。
おすすめの聴き比べ — 実践ガイド
具体的な聴き比べの方法:
- 同一曲のオリジナルLP(英/米盤)とリイシュー(180gやアナログ専用マスター)を用意。録音の温度感、低域の張り、スネアやボーカルの定位を比較する。
- シングル編集(7インチ)の存在する曲は、アルバム曲と編集盤でイントロ・エンディングの処理やミックスの違いを聴き分ける。ラジオカットの妙味が発見できる。
- 長尺曲(Close to the Edgeなど)は、サイドの末尾に向けての周波数特性の変化や針飛びのしやすさも体験として重要。安定したトーンアームとカートリッジで再生することを推奨します。
まとめ — レコードで巡るYesの世界
Yesの代表曲をレコードで聴くことは、単なる音源再生を超えた「時代・制作過程・物質性」を体験することです。オリジナル盤の個性、シングルの編集、12インチのリミックス、そして現代のオーディオファイル向けリイシュー。それぞれが異なる魅力を持ち、聴き比べを通して楽曲の別側面を発見できます。レコードという物理フォーマットを通じてYesの音とアートワーク、当時の制作背景に触れることは、ファンにとって格別の喜びを与えてくれるでしょう。
参考文献
- Yes (band) — Wikipedia
- Roundabout — Wikipedia
- Fragile (Yes album) — Wikipedia
- The Yes Album — Wikipedia
- Close to the Edge — Wikipedia
- Owner of a Lonely Heart — Wikipedia
- Yes — Discogs(ディスコグラフィおよび各プレスの詳細)
- Yes — AllMusic(バイオグラフィ/アルバム解説)
- Yesworld — 公式サイト
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