コロガシ配管とは?基礎知識・用途・注意点をわかりやすく解説【建築・土木設備】

コロガシ配管とは

コロガシ配管とは、地面に埋設せず、地表面(床面)や地盤の上に直接這わせて設置する配管方法のことです。
主に仮設配管や排水・給水の一時的な設備として使用され、工事現場や災害復旧、工場ラインの暫定運用などでよく採用されます。

「転がすように配管する」という意味から「コロガシ配管」と呼ばれます。


コロガシ配管の特徴

1. 施工が非常に早い

掘削・埋設が不要のため、最短で配管ルートを確保できます。

2. 必要なときだけ使える

仮設・応急的・期間限定の設備として柔軟に設置可能。

3. 管のメンテナンスが容易

地表に露出しているため、破損・漏水箇所の点検や交換が簡単。

4. ルート変更がしやすい

現場の状況に合わせて配管の向きや長さをすぐ変更できます。


コロガシ配管が使われる主な現場例

● 建築現場(新築・改修)

  • 仮設給水・仮設排水
  • コンクリート打設時の給水ライン
  • 作業員休憩所の一時排水

● 土木工事

  • 仮設排水路
  • ポンプ圧送の吸水・吐出配管
  • 河川工事の仮排水

● 工場・プラント

  • 製造ライン停止時の一時バイパス配管
  • 緊急メンテナンス時の代替ライン

● 災害・非常時

  • 断水時の応急給水
  • 仮設トイレの排水
  • 洪水対策の排水ポンプライン

**「すぐ使える」「簡単に撤去できる」**という特性が最大の利点です。


コロガシ配管でよく使われる材質

コロガシ配管は耐久性よりも取り回しやすさを重視します。

  • 耐圧ホース(ブルーホース、消防ホース)
    ポンプ圧送や仮設排水で最も一般的。
  • VP管・HIVP管(塩ビ管)
    軽量で扱いやすく、短期仮設に適する。
  • ポリエチレン管(PE管)
    柔軟性と耐衝撃性に優れる。
  • 鋼管(SGP)
    高圧が必要な特殊用途。

状況に応じて最適な材質を選定します。


コロガシ配管の注意点(デメリット)

1. 破損リスクが高い

露出しているため、車両の通行や人の踏みつけで損傷しやすい。

2. 景観や動線の妨げになる

通路を横断する場合は安全対策が必要。

3. 冬季は凍結のリスク

屋外では凍結防止が必要。

4. 長期間の本設には不向き

仮設専用として考えるべきで、恒久設備には適さない。

5. 転倒・つまずき事故の恐れ

歩行者動線がある場合は養生や埋設が望ましい。


安全にコロガシ配管を行うためのポイント

  • 管を養生板や保護材(ラバー・鉄板)で覆う
  • 通路を横断する箇所はスロープや段差緩和材を設置
  • 車両通行がある場所では路盤下に一時埋設する
  • 連結部の漏れを定期点検する
  • 必要に応じてポンプと逆止弁を設置
  • 最短ルートより安全ルートを優先する

仮設だからこそ安全管理が重要です。


本設配管とコロガシ配管の比較

項目コロガシ配管本設配管(埋設・固定)
施工性非常に良いやや手間
耐久性低い高い
運用期間短期・仮設長期・恒久
トラブルリスク高い低い
コスト低い調整次第

必要な場面に応じて適切に使い分けることで、施工効率と安全性が向上します。


まとめ

コロガシ配管とは、地面に這わせて設置する仮設配管のことで、建築・土木の現場では欠かせない手法です。
特に、短期的な排水・給水、ポンプ圧送、災害時の応急措置など、素早い対応が必要な場面で大きな効果を発揮します。

一方で破損や転倒リスクがあるため、適切な養生と安全管理が非常に重要です。
現場状況をよく見極め、用途に応じた材質・保護方法を選定することがポイントです。