再生密粒度アスコンとは?環境配慮型舗装材の特徴・メリット・用途をわかりやすく解説
道路舗装工事で一般的に使用されるアスファルト混合物のひとつに密粒度アスコンがあります。
その中でも、近年注目されているのが環境負荷を低減できる再生密粒度アスコンです。
アスファルト舗装のリサイクル率が非常に高い日本では、再生材の活用が進んでおり、その中心に位置するのが再生密粒度アスコンです。
本記事では、再生密粒度アスコンの特徴、製造方法、メリット、使用用途、施工時の注意点まで、分かりやすく徹底解説します。
再生密粒度アスコンとは?
再生密粒度アスコンとは、既存舗装から回収した再生骨材(RAP:Reclaimed Asphalt Pavement)を一定割合で使用して製造される密粒度アスファルト混合物のことです。
基本構成は通常の密粒度アスコンと同じですが、
- 再生骨材
- 新規骨材
- アスファルトバインダー(再生用添加剤を含む場合あり)
を適切に配合して作られます。
密粒度アスコンは最も一般的な表層・基層材であり、再生材を使用することで環境負荷を大幅に低減した舗装が可能になります。
再生密粒度アスコンが普及している理由
日本のアスファルト舗装は世界でもトップクラスのリサイクル率を誇っています。
その背景には次のような理由があります。
● 1. 資源の有効活用
アスファルト骨材は再利用が容易で、品質確保も可能。
● 2. CO₂排出量の削減
原料採取・加熱工程を削減できるため環境負荷が小さい。
● 3. コスト削減
新材を全量使用するよりも材料費を抑えられる。
● 4. 国や自治体の推進
公共工事の多くで再生材使用が標準仕様化されている。
これらの理由により、再生密粒度アスコンは公共工事でも民間工事でも広く採用されています。
再生密粒度アスコンの一般的な配合
再生骨材(RAP)の使用割合は仕様書により異なりますが、一般例としては:
- RAP:30〜70%
- 新規骨材:残りの割合
- 新規アスファルト+添加剤(リジュベネーター)
再生骨材の品質に応じて配合設計が行われ、安定した品質を確保します。
再生密粒度アスコンのメリット
● 1. 環境負荷の大幅な低減
採石・アスファルト製造に伴うCO₂排出量削減に貢献する。
● 2. コストが抑えられる
新規骨材より安価な再生骨材を使用するため経済的。
● 3. 舗装性能は通常の密粒度アスコンと同等
配合設計・製造管理により、十分な耐久性・強度を確保できる。
● 4. 国・自治体工事で採用しやすい
標準仕様書に再生材の使用割合が定められている場合が多い。
再生密粒度アスコンの用途
再生密粒度アスコンは、一般の密粒度アスコンとほぼ同様の箇所に使用されます。
● 道路の表層・基層
特に交通量が中程度までの道路で広く使用。
● 駐車場舗装
コストを抑えつつ耐久性を確保したい場合に最適。
● 造成地内の舗装
開発道路や団地内道路に多く採用。
● 歩道・生活道路
交通荷重が比較的軽い場所で効果的。
再生密粒度アスコンの施工方法(基本)
施工工程は通常のアスコンとほぼ同じです。
- 路盤・既設舗装の清掃
- 乳剤散布(タックコート)
- 再生密粒度アスコンの敷均し
- ローラーによる転圧
- 仕上げ転圧
- 養生後、交通開放
品質確保のため、温度管理や転圧条件を満たすことが重要です。
再生密粒度アスコンの注意点
● 再生骨材の品質管理
粒度分布やアスファルト量を正確に把握する必要がある。
● 配合設計の適合性
用途に合わせた適切な再生材割合を設定する。
● 高交通量道路には不向きな場合も
舗装機能上、要求性能が高い場所では新材中心の混合物が選ばれることもある。
● 施工時の温度低下に注意
再生材を含むため、均一性を確保するには製造から施工までの温度管理が重要。
まとめ
再生密粒度アスコンは、回収した舗装材を再利用して作られる環境配慮型のアスファルト混合物です。
道路の耐久性を損なうことなく、コスト削減・資源保護・CO₂削減を同時に実現できることから、
公共工事から民間工事まで非常に広く活用されています。
今後も持続可能なインフラ整備の要として、さらに普及していく舗装材料といえるでしょう。
参考文献(クリック可能リンク)
- https://www.japa.or.jp/(日本アスファルト協会)
- https://www.jsce.or.jp/(土木学会)
- https://www.mlit.go.jp/(国土交通省 道路局)
- https://www.nilim.go.jp/(国土技術政策総合研究所)
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