OceanLab(オーシャンラボ)徹底解説:代表曲&名盤『Sirens of the Sea』の聴きどころ
OceanLabとは — トランスシーンに咲いたボーカル・ユニット
OceanLab(オーシャンラボ)は、イギリスのトランス・シーンを代表するエレクトロニック・ユニットで、プロデューサーチーム Above & Beyond(Jono Grant、Paavo Siljamäki、Tony McGuinness)と女性ボーカリスト Justine Suissa による共同プロジェクトです。クラブ・トラックとしてのダンス性を保ちながら、叙情的でメロディックな要素とエモーショナルなボーカルが融合したサウンドは、2000年代のユーロ/プログレッシヴトランスにおける“ボーカル・アンセム”の一角を形成しました。
代表曲解説 — 楽曲ごとの深掘り
「Clear Blue Water」
OceanLab の初期を代表する楽曲。静かなイントロから暖かいパッドと爽やかなアルペジオが重なり、サビに向けて徐々にビルドアップしていく構成が印象的です。Justine Suissa の透明感あるボーカルは、メロディの持つエモーションを直接リスナーに伝える役割を担っており、トランス特有の“サビでの高揚感”を生み出します。
- 楽曲構造:穏やかなAメロ→ビルド→エモーショナルなサビ→インストルメンタルのブレイクダウン→再度サビでクライマックス、という典型的なトランスのダイナミクスを踏襲。
- サウンド設計:暖色系のパッド、スムーズなリードシンセ、クリアなハイエンドがヴォーカルを引き立てるミックス。
- 歌詞テーマ:喪失や再生、静かな希望といった情景を描くことで、トランスの高揚感と情緒性が同居する。
「Satellite」
OceanLab を代表するアンセムのひとつで、多くのリスナーに“彼女の声=Justine Suissa”の魅力を印象づけました。メロディはキャッチーでありながらも深みがあり、クラブでもフェスでも映えるアレンジです。ブレイクダウンで見せる余白と、サビで開放される感情のコントラストが楽曲の核です。
- グルーヴと空間:四つ打ちのドライブ感を確保しつつ、エフェクト処理や残響で“広がり”を作り出すミックス手法。
- 感情表現:サビのフックが強く、リスナーにとって“一緒に歌いたくなる”瞬間が作られている。
- リミックス文化:数多くのリミックスが存在し、オリジナルの持つ歌詞とメロディの強さが再解釈され続けている。
「On A Good Day」
曲名どおり“良い日”の光景を切り取るような、軽やかで明るいトーンの楽曲。テンポやビートはトランスのダンストラックとしての要件を満たしつつ、アコースティックっぽい温度感や柔らかいコード進行が前面に出ています。DJ プレイではイントロの使いやすさや、ブレイクのエモーショナルさが重宝されます。
- コード進行:メジャー基調のフレーズが多く、晴れやかな感情を誘導する。
- ヴォーカル表現:ムードを作るための語尾処理やコーラスの重ね方が丁寧。
- DJ ツールとして:ミックスのつなぎに使いやすい構成で、ハウス寄りのセットにも溶け込みやすい。
「Breaking Ties」
より内省的でダークなトーンを含むナンバー。別れや決断を主題にした歌詞と、浮遊感のあるシンセワークが特徴です。サウンド的には深みのあるローエンドと、切ないリードシンセが感情の緊張感を高めます。
- ドラマ性の構築:ビルド→ブレイク→再ビルドという「ドラマの作り方」が巧みで、物語性が強い。
- アレンジの巧さ:空間系エフェクトで感情の“間”を演出し、リスナーの想像力を刺激する。
アルバム「Sirens of the Sea」 — OceanLab の名盤性
2008年リリースのフルアルバム「Sirens of the Sea」は、シングル群の集積以上の“コンセプト作品”として評価されます。アンセミックなトラックとダウンテンポに近いインタールード的な曲を織り交ぜ、アルバム全体を通じて物語の起伏を作っています。トラックごとの流れが意識されており、単曲リスニングだけでなくアルバム体験としての完成度が高い作品です。
- トラック配置:序盤での導入、中央での高潮、終盤での余韻というアルバムとしての起伏。
- サウンドの幅:クラブ向けのアップテンポ曲から、ダウンテンポ寄りの感傷的な曲まで幅広い表現。
- 影響:ボーカル・トランスの標準点のひとつとして、多くの後続アーティストに影響を与えた。
OceanLab の音楽的特徴と影響
OceanLab の音楽的強みは、メロディックなコード進行、空間を活かしたサウンドメイキング、そして Justine Suissa の確かなボーカル表現の三点に集約されます。トランスというダンスミュージックの枠組みを超えて、ポップ的なメロディとエレクトロニックなアレンジを高次元で融合させた点が、クラブ文化外のリスナーをも惹きつけました。
- ボーカル・トランスの普及:クラブシーンだけでなくラジオやチャートに届くための橋渡しをした。
- DJ ツールとしての安定性:イントロやブレイクの作りがDJフレンドリーで、現場で長く使われる楽曲が多い。
- リミックス文化:多くのプロデューサーが OceanLab の楽曲をリミックスすることで、原曲の魅力が何度も再発見されてきた。
聴きどころ・おすすめの楽しみ方
OceanLab の楽曲は、単にテンポに乗るだけでなく“物語”を感じることが多いので、以下の楽しみ方をおすすめします。
- ヘッドフォンでボーカルと空間表現を丹念に聴く:リバーブやディレイ、ハーモニーの重なりが明確に聴き取れる。
- アルバム通しで聴く:曲間の流れやテーマの展開を味わうと、単曲リスニングでは得られない深みがある。
- ライブ/DJセット音源と比較する:クラブやフェスでのリミックス的な解釈を聴くと曲の別側面が見える。
まとめ
OceanLab は、トランスの持つ“高揚と感情”をボーカル中心に昇華させたプロジェクトで、楽曲の多くがアンセムとして長く愛されています。Justine Suissa のボーカルと Above & Beyond の緻密なプロダクションが合わさることで、クラブ的快楽とポップな親和性を両立したサウンドが生まれました。クラブでの体験はもちろん、ヘッドフォンでじっくり聴くことでも新たな発見が多いアーティストです。
参考文献
エバープレイの中古レコード通販ショップ
エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っておりますので是非一度ご覧ください。
https://everplay.base.shop/
また、CDやレコードなど様々な商品の宅配買取も行っております。
ダンボールにCDやレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単に売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery


