Barbra Streisandの名盤ガイド:代表作の背景と聴きどころを徹底解説
序章:Barbra Streisandという存在
Barbra Streisand(バーブラ・ストライサンド)は、シンガー/女優として半世紀以上にわたり第一線に立ち続ける稀有なアーティストです。その歌声は劇的で表現力に富み、ブロードウェイの影響を受けたレパートリーからポップ、映画音楽まで幅広くこなします。本コラムでは「名盤」を中心に、各作品が生まれた背景、音楽的特徴、代表曲、そしてその後のキャリアや音楽史への影響を深掘りしていきます。
キャリア概観と名盤に共通するポイント
ストライサンドのディスコグラフィーで一貫しているのは「声で物語る」姿勢です。解釈力の高さ、フレージングの自由さ、ドラマ性のある表現は、ポピュラー音楽の域を超えた“シンガー・インタープリター”としての地位を築きました。名盤はたいてい次の要素を備えています:卓越した選曲(スタンダード、ブロードウェイ、映画曲、当時のポップ曲の解釈)、強力なプロデューサー/アレンジャーとの協働、そして彼女自身の役者的な表現力。
代表的な名盤とその詳細
The Barbra Streisand Album(1963)
ポイント:デビュー作。若き日の瑞々しい表現力とクラシック寄りの選曲で注目を集めた作品。
- 特徴:ジャズ/シアトリカルな要素を織り交ぜた編曲。感情の起伏を声で作る技巧が明確に現れている。
- 代表曲:「Happy Days Are Here Again」「Cry Me a River」「My Coloring Book」など。
- 影響:歌手としての評価を確立し、以降のミュージカル作品や映画音楽への道を切り開いた。
People(1964)
ポイント:「People」はストライサンドの“顔”とも言えるナンバーを含むアルバム。より大きな商業的・批評的注目を集めた時期の作品です。
- 特徴:より洗練された音作りと、感情の表出に重点を置いた選曲。
- 代表曲:「People」──ミュージカル的なドラマと抒情性を併せ持つ一曲で、ライブでの定番にもなった。
- 影響:彼女のレパートリーがポップ・スタンダードとして定着する端緒となった。
Funny Girl(サウンドトラック、1968)
ポイント:映画版のサウンドトラック。ストライサンドの女優性と歌手性が一体となった代表作群。
- 特徴:ミュージカル映画のサウンドトラックとして、ドラマ性のあるナンバーが中心。演技と歌の融合が最大の聴きどころ。
- 代表曲:「Don't Rain on My Parade」「People」(ミュージカル・アレンジ)など。
- 影響:映画女優としての評価も高め、ステージからスクリーンへと活躍の幅を広げた。
A Star Is Born(サウンドトラック、1976)
ポイント:映画版の主題歌「Evergreen」を含む作品。商業的にも大きな成功を収め、映画音楽としての完成度も高い。
- 特徴:ポップ寄りのメロディと映画的なスケール感。情感豊かなバラードが中心。
- 代表曲:「Evergreen(Love Theme from A Star Is Born)」──ストライサンドと作詞家/作曲家の共同制作曲で、映画と切り離せない名バラード。
- 影響:映画音楽としての評価と共に、シンガーとしてのポップス路線の説得力を示した。
Guilty(1980)
ポイント:バリー・ギブ(Bee Gees)とのコラボレーションで生まれた、商業的に最大級のヒット作の一つ。
- 特徴:当時のAOR/サウンドプロダクション感を取り入れたモダンな仕上がり。ギブ流のメロディとハーモニーが生かされている。
- 代表曲:「Woman in Love」「Guilty」「What Kind of Fool」など。特に「Woman in Love」は大ヒットとなり、幅広い層に届いた。
- 影響:ストライサンドのポップ・スター性を更に押し上げ、国際的な大衆性を獲得した。
The Broadway Album(1985)
ポイント:原点回帰とも言えるブロードウェイ/ミュージカル曲のアルバムで、芸術性と成熟した歌唱を示した代表作。
- 特徴:シンプルかつドラマティックなアレンジ。ストライサンドの解釈力が際立つ作品で、聴き手を物語に引き込む。
- 代表曲:「Something's Coming」「I'm the Greatest Star」など、ミュージカル曲の新たな解釈が光る。
- 影響:批評的にも成功を収め、成熟したアーティストとしての評価を確固たるものにした。
その他の注目作と変遷
上記以外にも、初期のスタンダードやコンセプト作、映画音楽関連のサウンドトラック、さらにはデュエット集やベスト盤など多様な作品があります。重要なのは、どの時期にも“演者としての表現”が中心に据えられている点で、それがアルバムごとの一貫性と個性を生んでいます。
ストライサンドの歌唱の聴き方——深掘りポイント
- フレージングの細部を見る:語尾の処理やビブラート、呼吸の置き方で歌詞の意味が変化します。短いフレーズを何度も聴いて違いを探してみてください。
- ダイナミクスに注目:同じ曲でもクレッシェンドやデクレッシェンドの使い方で物語が動きます。静かなパートと大きなパートの対比を意識して聴くと発見があります。
- アレンジとの相互作用:アレンジャーやプロデューサーの選択が歌唱にどう影響しているかを見ると、曲の“作り”がよく分かります。ギブ兄弟や映画サウンドトラックでの楽器選択などに注目しましょう。
レガシー(遺産)と影響力
ストライサンドは単なる歌手ではなく、20世紀後半から21世紀にかけてのエンターテイメント界における重要人物です。女優業と歌手業を往還しながら、ポップ・スタンダードやミュージカル、映画音楽の解釈を刷新してきました。後続の女性ヴォーカリストに与えた影響は計り知れず、そのディスコグラフィーは「解釈の教科書」としても参照されます。
まとめ
Barbra Streisandの名盤群は、ヴォーカル表現、選曲眼、そしてコラボレーションの妙が結実したものです。デビュー期の瑞々しさから、映画音楽での感情表出、1980年代のポップな成功、そして成熟したブロードウェイ解釈まで、各アルバムはその時々の"彼女"をありのままに映し出しています。いずれの作品も「歌で物語る」力を学びたいリスナーにとって格好の教材となるでしょう。
参考文献
- Barbra Streisand Official Site
- AllMusic — Barbra Streisand
- Wikipedia — Barbra Streisand
- Rolling Stone — Barbra Streisand: Songs Ranked
- Billboard — Barbra Streisand Chart History
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