LA Phil(ロサンゼルス・フィルハーモニック)おすすめレコード完全ガイド:サロネン〜ドゥダメルの名盤と現代曲の聴きどころ
ロサンゼルス・フィルハーモニック(LA Phil)を聴く──おすすめレコード深掘りコラム
ロサンゼルス・フィルハーモニック(Los Angeles Philharmonic、以下 LA Phil)は、20世紀中盤から現代にかけてアメリカ西海岸を代表するオーケストラとしての地位を築いてきました。ウォルト・ディズニー・コンサートホールを本拠に据えた現在は、その音響と芸術監督・音楽監督の個性が結びつき、録音・ライヴ両面で強い存在感を放っています。本稿では「聴く価値のあるレコード」を中心に、各時代の推薦盤や聴きどころを深掘りして紹介します。レコードの再生・保管・メンテナンスに関する説明は省略します。
コラムの読みどころ(概要)
- LA Phil の時代別のカラーと、それを象徴する録音を紹介
- 指揮者ごと(サロネン、ドゥダメル、ミータ等)のおすすめ盤と聴きどころ解説
- 現代音楽/委嘱作品に強いオーケストラとしての魅力を盤でたどる
- 初めてLA Philを聴く人、既にファンの人双方に役立つ視点提供
1. LA Phil を知るための「時代分け」とその特徴
LA Phil を語るとき、指揮者(音楽監督)の影響は大きいです。以下に代表的な時代を簡潔に整理します。
- 初期〜中期(20世紀中盤):地域オーケストラから国際舞台へと成長。レパートリーは伝統的な欧米クラシックが中心。
- ザビン・メータ(Zubin Mehta)時代などの拡張:より国際的な活動が増え、録音も充実。
- エサ=ペッカ・サロネン(Esa-Pekka Salonen)期(1992–2009):現代音楽、委嘱、新作上演に大きく舵を切った転機。LA Philの個性=“創造性”が鮮やかに出た時代です。
- グスターボ・ドゥダメル(Gustavo Dudamel)期(2009–2022):情熱的なロマンティック/大編成レパートリーを得意とし、レガシー録音を多数残しました。若い聴衆の取り込みにも成功。
- 現代(ポスト=ドゥダメル):多様な客演指揮者や委嘱作品を通じた「継続的革新」の局面。
2. 指揮者別おすすめレコードと聴きどころ
エサ=ペッカ・サロネン期のおすすめ
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おすすめ盤(代表例):サロネン指揮/LA Phil によるストラヴィンスキー作品集(「春の祭典」「ペトルーシュカ」など)
なぜ聴くか:サロネンは現代音楽の理解者であり、リズムやオーケストレーションの輪郭を鮮明に描きます。LA Phil の機敏で色彩感あるアンサンブルがストラヴィンスキーの「荒々しさ」と「透明感」を両立させる好例です。
聴きどころ:打楽器と低弦の瞬発力、管楽器のソロの定位感。現代譜面に強いサロネン時代のアンサンブル能力がよく表れます。
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おすすめ盤(代表例):サロネン作品(自身のオーケストラ曲)を含む演奏集
なぜ聴くか:サロネン自身の作曲は、LA のサウンドと親和性が高く、指揮者としての微妙なニュアンスが作曲表現に反映されています。オーケストラの“顔”が見える録音です。
グスターボ・ドゥダメル期のおすすめ
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おすすめ盤(代表例):ドゥダメル指揮/LA Phil によるマーラーや大交響曲レパートリー
なぜ聴くか:ドゥダメルはスケール感、躍動感に優れ、オーケストラ全体を一体化して鳴らすのが得意です。大編成のダイナミクスやクライマックス処理を楽しみたい向きに最適。
聴きどころ:フォルテでの横の厚み、弦の推進力、管楽器のブレンド。現場のエネルギーがそのまま録音に反映されていることが多いです。
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おすすめ盤(代表例):ドゥダメル/LA Phil によるラテン系レパートリーやチャイコフスキーなど情緒的な曲集
なぜ聴くか:彼の熱気ある解釈は映画音楽やロマン派の劇的側面と相性が良く、聴衆に訴えかける「物語性」があります。
ザビン・ミータ(Zubin Mehta)期のおすすめ
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おすすめ盤(代表例):ミータ指揮/LA Phil によるラヴェル、ホルスト、ロマン派の名曲集
なぜ聴くか:ミータ在任期の録音は“古典的”なスタイルを色濃く残し、オーケストラの基礎体力を示しています。温度感のある音色と堅実なアンサンブルが魅力です。
3. 現代音楽/委嘱作品──LA Phil の「圧倒的な強み」
LA Phil は20世紀末以降、委嘱・初演を積極的に行ってきたことで知られます。特にジョン・アダムズ(John Adams)をはじめ、多くの現代作曲家と密接に関わっており、現代作品の「標準的な解釈」を提示してきました。
- ジョン・アダムズ作品:LA Phil は「Short Ride in a Fast Machine」などの演奏で知られ、ライブ録音やコンサート盤でその躍動感を確認できます。アダムズ作品はリズムの切れとオーケストラの色彩が鍵です。
- 委嘱初演盤:LA Phil が関わった初演録音は、作品の“基礎版”と考えて良いものが多く、現代作曲の入口として最適です。
4. 盤選びの実践アドバイス(何を基準に買うか)
- 指揮者と時期をチェック:同じオーケストラでも指揮者で音楽性が大きく変わります。現代曲はサロネン期、ロマン派や大曲はドゥダメル期が向くことが多いです。
- ライブ録音 vs スタジオ録音:ライブは演奏のエネルギーが魅力。スタジオ録音は細部の均整や音の整いを重視する傾向があります。目的に合わせて選びましょう。
- ディスコグラフィ/解説を読む:初出の楽曲や改訂版、録音の日付などを解説で確認すると理解が深まります。
5. 聴きどころを具体的に示す“トラック・ガイド”風の視点
ここでは代表曲での「耳を傾けるポイント」を示します。これにより同じ盤でも聴く焦点が定まり、発見が増えます。
- 「春の祭典」:リズムの推進力(低打楽器と低弦)、木管群のソロの定位、フォルティッシモでの層の重なりを意識して聴く。
- マーラー(交響曲):弦セクションの推進力、ホルンやトロンボーンなど金管の色、テンポの柔軟性(アゴーギク)に注目。
- ジョン・アダムズ作品:リズムパターンの反復(ミニマル要素)、打楽器群の焦点、和声の変化点を追う。
6. 最後に──レコードでLA Philを楽しむために
LA Phil の魅力は、時代と指揮者によって様々に顔を変える“多面性”にあります。はじめは代表的な録音数枚から入って、気に入った指揮者や時代を深掘りするのがおすすめです。現代音楽の斬新さ、ロマン派の熱、そしてアメリカ的なスケール感──これらが一枚の盤の中で交差することが多いのがLA Philの醍醐味です。
参考文献
- Los Angeles Philharmonic(公式サイト)
- Los Angeles Philharmonic — Wikipedia
- Esa-Pekka Salonen — Wikipedia
- Gustavo Dudamel — Wikipedia
- Deutsche Grammophon(レーベル情報)
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