ロベルト・メネスカル(Roberto Menescal)入門:ボサノヴァ名盤・編集盤のおすすめと聴きどころガイド
はじめに — Roberto Menescalとは
Roberto Menescal(ロベルト・メネスカル、1937年生)は、ボサノヴァ黎明期を支えたギタリスト、作曲家、プロデューサーの一人です。シンプルで洗練されたギター・アレンジ、軽やかなコード進行、都会と海を感じさせるメロディーセンスで知られ、「O Barquinho(小さな舟)」など多くの標準曲を生み出しました。本コラムでは、彼の音楽を深く味わうためのおすすめレコード(アルバム/編集盤)を紹介し、それぞれの聴きどころや背景を解説します。
選曲の視点 — なぜこれらをおすすめするか
- 彼自身のソロ作品でのギター表現(演奏家としての魅力)を味わえるもの
- 作曲家/アレンジャーとしての代表作がまとまっているもの
- 共演やプロデュースによって彼の音楽的影響が分かる作品群
- 入門者がボサノヴァ/メネスカルの世界へ自然に入っていける編成や曲順の良い編集盤
おすすめアルバムと深掘り解説
1. メネスカルの代表曲を聴く — 「O Barquinho」収録盤(各種編集盤/オリジナル音源)
「O Barquinho(小さな舟)」は、メネスカルの最も広く知られる楽曲の一つで、柔らかいメロディと繊細なリズムが特徴です。オリジナル録音は1960年代のボサノヴァ黄金期に位置づけられ、多くの歌手・楽器奏者にカバーされました。
- 聴きどころ:イントロのギターのチャッチャ(バッキング)から入るリズム感、メロディの空気感。歌とギターが対話するような配置に注目。
- なぜ重要か:メネスカルの作曲家としてのセンスが最も分かりやすく表れる代表曲であり、ボサノヴァの典型的なフォームを示します。
2. ソロ/リーダー作(ギター表現を楽しむ) — 初期のギター中心アルバム
メネスカルはギタリストとしても高く評価され、シンプルなコードワークと繊細なタッチで独自のサウンドを作りました。リーダー作では歌もの中心の録音から純粋なインストまで幅があります。
- 聴きどころ:アルペジオの間合い、和音の選び方、左手の抑揚が作る「海風のような」空気感。メロディを支える伴奏がどのように楽曲の情緒を作るかを意識して聴くと発見が多いです。
- おすすめの聞き方:ボーカル曲とインスト曲を交互に聴くと、彼の作曲と演奏が互いに補完し合っているのが分かります。
3. 共演・制作ワーク — Nara Leão、Carlos Lyra、その他ボサノヴァ歌手との協働作
メネスカルは自身でも録音を重ねながら、多くの歌手のプロデュースや共演でボサノヴァ普及に寄与しました。特にNara LeãoやCarlos Lyra、João Gilbertoにまつわる録音群の中で、彼のアレンジやギターがどのように楽曲に色を添えているか確認できます。
- 聴きどころ:歌手の声とギターの距離感、アレンジで挿入される管弦楽・パーカッション類の配置。彼の「引き算」の美学が分かります。
- 注目ポイント:同じ曲でも歌手によって表情が変わるため、複数バージョンを聴き比べると面白いです。
4. モダン/再解釈作品 — 再録音・現代的プロデュースによる作品群
近年、往年のボサノヴァ作品を現在の録音技術・アレンジで再解釈した作品やコンピレーションが出ています。メネスカル自身が再録したり、若手と共演したりしたリリースもあり、古い録音とは違う発見があります。
- 聴きどころ:オリジナルの空気感を保ちつつ、現代的なミックスや新しい楽器がどのように楽曲を更新しているか。
- 楽しみ方:古盤と並べて聴き、時代による演奏表現の変化を比較するのがおすすめです。
5. 編集盤・ベスト盤 — 入門に最適なまとめ盤
メネスカルの代表曲や重要な録音を時系列やテーマ別にまとめた編集盤は、初めて彼に触れる人に向いています。曲順によってはアルバムとしての流れが意識されており、短時間で彼の幅を掴めます。
- 選び方のコツ:クレジット(作曲者、録音年代、共演者)を確認し、オリジナル録音が収録されているかどうかを重視すると良いです。
- 注意点:編集盤によってはリマスターや編集が加わっているため、オリジナルLPとは音像が異なる場合があります(音質傾向の違いを楽しむ視点もあり)。
代表曲・名曲の紹介(聴きどころと背景)
- O Barquinho(小さな舟) — メネスカルの代表作のひとつ。軽やかな漂いと短いフレーズの中に詩情が凝縮されています。コード進行の転換点とリズムの抑揚に注目。
- 他の注目曲(作曲/共作) — メネスカルは他にも多数の名曲を残しており、楽曲ごとにジャズやサンバの要素をほどよく取り入れています。歌詞の叙情性とシンプルな伴奏のバランスを味わってください。
聴き比べの楽しみ方(実践)
- 同一曲のオリジナル音源→別歌手カバー→再録音の順で聴く:編曲や演奏の差が際立ちます。
- ギターのポジションに着目:リード・ギターとしてのメロディ、バッキングとしてのチャッチャ、どちらの役割でも彼の美意識がはっきり分かる。
- 歌詞(英訳/和訳)を読みながら聴く:ボサノヴァは歌詞の空気(海、都会、心象)と音楽が密に結びついているため、意味を把握すると感情移入しやすいです。
どの盤を買うか迷ったら(具体的な選び方)
- まずは編集盤で全体像をつかむ:代表曲や重要録音が網羅されているかチェック。
- 気に入った時期・演奏が見つかったらオリジナルLPや単独アルバムを探す:同じ曲でも演奏・録音品質で印象が変わります。
- クレジットを確認:共演者(ピアノ、ドラム、管楽器)が誰かによってアレンジの傾向がわかる。
まとめ — メネスカルの魅力をどう味わうか
Roberto Menescalの音楽は「節度ある簡潔さ」と「透明感のある情緒」が魅力です。作曲家としてのメロディセンス、ギタリストとしての繊細なタッチ、プロデューサー/アレンジャーとしての引き算の美学が一貫しており、ボサノヴァというジャンルの中で聴くたびに新たな発見があります。まずは代表曲を含む編集盤で入口を作り、気に入った録音のオリジナル盤や別テイクを掘っていく――そんな楽しみ方をおすすめします。
参考文献
Roberto Menescal — Wikipedia(英語)
Roberto Menescal — Discogs(ディスコグラフィ)
Roberto Menescal — AllMusic(英語)
エバープレイの中古レコード通販ショップ
エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っておりますので是非一度ご覧ください。
https://everplay.base.shop/
また、CDやレコードなど様々な商品の宅配買取も行っております。
ダンボールにCDやレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単に売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery


