ジョージ・マイケル入門:必聴アルバム&シングル7選と聴き方ガイド
はじめに — George Michaelというアーティストの魅力
George Michael(ジョージ・マイケル、1963–2016)は、1980年代のポップ/ダンス・シーンを牽引した存在でありながら、ソングライター/ヴォーカリストとしての深みと幅広い音楽的レンジを兼ね備えたアーティストでした。Wham!での軽快なポップ/ダンス路線から、ソロになってからのソウル、R&B、バラード、政治性や個人的告白を含む作品群へと変貌を遂げ、その一曲一曲が完成度の高い“歌”として評価されています。
おすすめレコード(アルバム・シングル)とその深掘り
1. Faith(1987)
ソロ第1作にして商業的・批評的成功を収めた傑作。ポップ、ファンク、ロック、ゴスペル的要素を巧みに織り交ぜたプロダクションと、ソングライティングの完成度が際立ちます。
- 代表曲:Faith、Father Figure、One More Try、I Want Your Sex
- ポイント:個人的な欲望と信念、成熟した男性像を描いた歌詞。ヴォーカルの表現力が全編で光るため、「歌を聴かせる」魅力が詰まっています。
- 聴きどころ:開幕の「Faith」からテンポとグルーヴで惹きつけ、静謐な「One More Try」での感情表現へと流れる構成美。
2. Listen Without Prejudice Vol. 1(1990)
商業的な派手さを抑え、よりアーティスティックで内省的な作風へ舵を切った作品。MTVやメディアのイメージを拒否する姿勢も話題となりました。
- 代表曲:Freedom! '90、Praying for Time、Heal the Pain
- ポイント:サウンドはストリングスやアコースティック楽器を取り入れた落ち着いたものが多く、歌詞は社会観察や個人的苦悩を扱います。ヴォーカルの抑制が曲の深みを増しています。
- 聴きどころ:シングル曲の力強さとアルバム全体の統一感。商業主義への反発を背景にした“静かな反骨”が感じられます。
3. Older(1996)
成熟した視点とメランコリックな美学が際立つアルバム。プライベートでの喪失や時間の経過をテーマに、深い表現を展開しています。
- 代表曲:Jesus to a Child、Fastlove(シングルとしては「Fastlove」はよりダンス寄り)
- ポイント:プロダクションは洗練され、R&Bやジャズの影響が見える曲も。歌詞は失恋や追憶、成熟した愛を描写します。
- 聴きどころ:「Jesus to a Child」の儚さや、「Older」的な静けさを味わうことでアーティストとしての成長が伝わります。
4. Patience(1999)
90年代終盤に出たオリジナル・スタジオ・アルバム。前作までの静謐さにポップさを取り戻しつつ、個人的な告白や社会への視線を含んだ作品集です。
- 代表曲:Outside(シングルとしての話題性が高い)、You Have Been Loved
- ポイント:ダンサブルなトラックとメランコリックなバラードの併存が自然で、ヴォーカルのバリエーションが楽しめる一枚。
- 聴きどころ:シングル曲だけでなく、中盤以降の落ち着いた曲に耳を傾けると深みが出ます。
5. Ladies & Gentlemen / Twenty Five(ベスト盤)
George Michaelのキャリアを俯瞰するにはベスト盤が最も取り組みやすいです。特に「Ladies & Gentlemen: The Best of George Michael」(1998)はソロ期の名曲を中心に編まれており、コアなバラードとヒット曲の両方を網羅します。「Twenty Five」(2006)はソロ+Wham!期の代表曲を含む二枚組のベストで、時系列的な変遷がわかりやすいです。
- 代表曲収録例:Careless Whisper、Faith、Freedom! '90、Don't Let the Sun Go Down on Me(with Elton John)など
- ポイント:初めて聴く人や幅広く押さえたいコレクションとして最適。ヒット曲中心ながらアルバム曲の名作も拾える構成です。
6. Symphonica(2014)
晩年のライヴ・アルバム(オーケストラとの共演)で、スタジオ作品とは異なる成熟した歌い回しが楽しめます。ライブならではの即興的な解釈や表現の幅を見ることができます。
- 代表曲(ライブでの解釈):Praying for Time、Father Figure、A Different Corner など
- ポイント:生の歌声の存在感、アレンジのリフレッシュぶりが魅力。スタジオ音源とは違う“今の声”と解釈を味わう価値があります。
7. Wham!関連の必須レコード — Make It Big(1984)とシングル「Careless Whisper」
Wham!時代のシンプルでキャッチーなポップは、George Michaelのメロディ・センスとポップ・プロダクションの基礎を示します。特に「Make It Big」は代表曲を多く含むため、彼のキャッチーな側面を知るには最適。
- 代表曲:Wake Me Up Before You Go-Go、Careless Whisper(ソロ名義として扱われることも多い)、Everything She Wants
- ポイント:80年代ポップの象徴的サウンドと、後のソロ作につながるソングライティングの萌芽を感じられます。
聴き方の提案 — 何を基準に選ぶか
- 「ポップで明るい作品が聴きたい」→ Wham!/Make It Big や Faith のポップ・ナンバー
- 「歌詞や表現の深さを味わいたい」→ Listen Without Prejudice Vol. 1、Older
- 「代表曲を一気に聴きたい」→ Ladies & Gentlemen、Twenty Five(ベスト盤)
- 「ライブでの歌唱力を楽しみたい」→ Symphonica などのライヴ盤
制作面・音楽性の特徴的ポイント
- ソングライティング:メロディの切れ味と歌詞の個人性・普遍性のバランスが高い。
- ヴォーカル:抑制的な歌い方から激情的な表現まで幅広く、フレージングで曲の感情を作るのが巧み。
- ジャンル横断性:ポップ、R&B、ソウル、ジャズ的要素、オーケストレーションまで自在に取り入れる。
- パブリックイメージと反発:大衆的人気と私生活、メディアへの批判や自己表現の葛藤が作品に影を落とすことが多い。
初めての1枚におすすめ(結論)
迷ったら「Faith」か「Ladies & Gentlemen」を推します。Faithはソロ初期の濃厚な魅力が詰まった一枚、Ladies & Gentlemenはキャリアのハイライトを網羅したベストで、どちらもGeorge Michaelの“魅力”を効率よく体験できます。
補足:リイシューや編集盤について
オリジナルのアルバム以外にも、デラックス・エディションやベスト盤、ライヴ盤には別テイクや未発表曲が収録されていることがあります。深掘りしたい場合はそれらをチェックすると、新たな発見があるでしょう。
代表的な推薦プレイリスト(曲ピックアップ)
- Careless Whisper
- Faith
- Father Figure
- One More Try
- Freedom! '90
- Praying for Time
- Jesus to a Child
- Fastlove
- Don't Let the Sun Go Down on Me(with Elton John)
おわりに
George Michaelはキャッチーなヒット曲の裏に深い感情表現や成熟した作家性を隠し持つアーティストです。まずは代表作を押さえ、その後でアルバムごとの世界観に浸る──という順序で聴くと、彼の音楽の多層性をより楽しめるはずです。
参考文献
- George Michael — Wikipedia
- George Michael — AllMusic
- George Michael — Discogs
- Rolling Stone — George Michael obituary / articles
- Official George Michael website
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