ジェームス・ブラウン必聴おすすめレコード:原点からファンク名盤まで押さえる聴きどころガイド
はじめに — ジェームス・ブラウンとは
「ソウルのゴッドファーザー」ことジェームス・ブラウン(James Brown, 1933–2006)は、リズムの強調とホーンアレンジ、そしてボーカルの打撃的なフレージングでソウルからファンクへと音楽を革新した存在です。本稿では、キャリアを通じて特に聴くべきおすすめレコード(アルバム/シングル)を厳選して深掘りします。代表曲や名盤を通して、彼の音楽的進化と聴きどころを解説します。
Please Please Please(シングル/初期アルバム) — 原点を聴く
リリース年:1956(シングル)、アルバムは1959年頃の編集盤が存在。レーベル:Kingなど。
- なぜ聴くべきか:ジェームス・ブラウンのキャリアの出発点。ブルース・ゴスペル由来のエモーショナルなシャウトとステージング感が詰まっている。
- 注目ポイント:ヴォーカルのダイナミクス(囁きから叫びまで)、初期のフレームが見えるコール&レスポンス。
- おすすめトラック:Please, Please, Please(タイトル曲)。初期のシングル・テイクを聴くと、後の熱量の源泉がわかる。
Live at the Apollo(1963) — 圧倒的なライヴ・アルバム
リリース年:1963年(録音は1962年)。レーベル:King。
- なぜ聴くべきか:スタジオ録音だけでは伝わらない、観客との掛け合いやジェームスのリード力を体感できる。「ライヴ盤の金字塔」と評される1枚。
- 注目ポイント:セットの構成力、テンポの緩急、バンドとの緊張感。音の生々しさと会場の熱気が記録されている。
- おすすめトラック:Medleyでのヒット曲集、"Night Train" など。LPでの流れをそのまま味わってほしい。
Papa's Got a Brand New Bag / 60年代中盤のシングル群 — ファンクの芽生え
リリース年:1965(シングル)。レーベル:King。
- なぜ聴くべきか:"Papa's Got a Brand New Bag"はR&Bからファンクへ向かう決定的な端緒になった曲。ビートの前打ち、ホーンのカッティング、リズムの間の強調が顕著。
- 注目ポイント:ギターとホーンの短いリフ、ドラムのシンプルだが鋭いパターン。ダンスフロアを意識したグルーヴの形成。
- おすすめトラック:Papa's Got a Brand New Bag / I Got You (I Feel Good) などの45回転シングルでのアタック感を重視。
Cold Sweat(シングル:1967) — ファンク成立の象徴
リリース年:1967(シングル)。レーベル:King。
- なぜ聴くべきか:"Cold Sweat"は多くの音楽史家がファンク成立の象徴とする1曲。ワン・フレーズのリフとリズム重視の編曲が革新的。
- 注目ポイント:和音の使い方(テンションをかけた単純な和音)、弦外れのようなホーンの使い方、ワン・ビートへの注目を促すリズム設計。
- おすすめトラック:"Cold Sweat (Part 1/Part 2)"を続けて聴き、曲がどのように「溜め」と「解放」を作るかを体感する。
Say It Loud — I'm Black and I'm Proud(1968) — 社会性と音楽の結節点
リリース年:1968(シングル)。レーベル:King。
- なぜ聴くべきか:政治的・社会的メッセージを前面に出した重要曲。60年代後半の黒人運動の文脈で評価される。
- 注目ポイント:シャープなホーンアレンジとコーラスの掛け合い、リズムの力強さ。歌詞のストレートな訴えが印象的。
- おすすめトラック:シングル本体と当時のラジオ編集版を比較すると、ミックスの違いから曲のインパクトの出し方がわかる。
Sex Machine(1970) — ジェームス・ブラウン・ファンクの完成形(ライブ/スタジオ混合)
リリース年:1970年。レーベル:King(後にPolydor)。
- なぜ聴くべきか:JBの1970年代初期のグルーヴを象徴するアルバム。The J.B.'s(新たなバンド)による抜群のリズムが炸裂する。
- 注目ポイント:"Get Up (I Feel Like Being a) Sex Machine"をはじめ、長尺で繰り返されるファンク・ジャムが持つ陶酔性。リフとヴォーカルの掛け合いが音楽としての「即時性」を生む。
- おすすめトラック:"Sex Machine"(タイトル曲)やアルバム中のインストのパワーを比較して聴く。
The Payback(1973) — 70年代ファンクの深淵
リリース年:1973年。レーベル:Polydor。
- なぜ聴くべきか:重厚でダークなファンク・サウンドの代表作。映画音楽的なストリングやリズムの陰影感があり、サンプリングソースとしても人気。
- 注目ポイント:タイトル曲"The Payback"はスローモーションのグルーヴと、繰り返すベースラインの力強さが特徴。アルバム全体に統一感がある構成。
- おすすめトラック:"The Payback"、"Make It Funky" など。LPで最初から最後まで通すと世界観が伝わる。
その他の注目作・シングル
- It's a Man's Man's Man's World(1966) — バラード面の深さとシンプルな伴奏の威力。
- I Got You (I Feel Good)(1965) — もっとも広く知られるヒット曲の一つ、ライブでのエネルギーが際立つ。
- Get on the Good Foot(1972) — 70年代初期のダンス寄りファンクを代表する一曲。
聴くときのポイント(楽曲の聴きどころ)
- リズムの「間」を意識する:ジェームス・ブラウンの音楽は「何が鳴っているか」よりも「どこで鳴らないか」に重要性があることが多い。スネアやベースの休符にも注目。
- ホーンのカッティング:短く切るホーンリフが曲の推進力を作っている。繰り返しで生まれるグルーヴ感を堪能する。
- ヴォーカルのニュアンス:シャウトだけでなく「合いの手」「囁き」「呻き」など多彩な表現がある。ヴォーカルがリズム楽器的に機能している場面も多い。
- バンド編成の変化に注目:60年代初頭のFamous Flames期から、後のThe J.B.'sへと移る過程で音の重心が変わる。
どの盤を買うべきか(バージョン選びのヒント)
- 初期シングル群(45回転)は「アタック感」が強いため、シングル音源で聴く価値が高い。
- Live at the ApolloはオリジナルLPの流れが優れているので、アルバム通しで聴くことをおすすめする(リマスター盤も音の明瞭さで魅力的)。
- 70年代のファンク期(Sex Machine、The Payback)はPolydor期のオリジナルLPや公式リイシューの評価が高いので、リマスターやボーナストラックの有無を確認するとよい。
聴き比べて広がる発見
ジェームス・ブラウンは同じ曲でもライヴ/スタジオ/別テイクで表情が大きく変わります。まずは上で挙げた代表作を押さえた上で、シングルA面/B面やライヴ盤、編集盤での違いを比較すると、彼の音楽的アイデアの反復と変化がよく見えてきます。
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