Lenny White(レニー・ホワイト)必聴ガイド:Return to Forever&ソロ名盤6選と聴きどころ
Lenny White — ジャズ/フュージョン界のリズム・マスターを深掘り
Lenny White(レニー・ホワイト)は、1970年代のジャズ・フュージョンを代表するドラマーの一人であり、パワフルかつ繊細なプレイで知られています。Chick Corea率いるReturn to Foreverにおける電化された初期〜中期の名作群や、自身のソロ作で見せたファンク/ロック的なアプローチは、多くの演奏家やレコード愛好家に影響を与えました。本稿では、Lenny Whiteの“聴くべき”レコードをピックアップし、それぞれの魅力、聴きどころ、楽しみ方を深掘りして解説します。
推薦の全体像(まず押さえるべき作品群)
- Return to Forever — Hymn of the Seventh Galaxy(1973)
- Return to Forever — Where Have I Known You Before(1974)
- Return to Forever — No Mystery(1975)
- Return to Forever — Romantic Warrior(1976)
- Lenny White — Venusian Summer(1975)
- Lenny White — Big City(1977)
1. Return to Forever — Hymn of the Seventh Galaxy(1973)
なぜ聴くべきか:Return to Foreverの音楽性がアコースティック志向からエレクトリック/ロック寄りのフュージョンへと大きく舵を切った象徴的なアルバムです。Lennyのドラミングはパワーとタイトなグルーヴでバンドの推進力になっており、フュージョンの“骨太さ”を体現しています。
聴きどころ:
- ドラムの存在感:キックの押し出し、タムの使い方、曲のキメでの強いアクセント。ロック由来のダイナミクスをジャズ的な解釈で取り入れています。
- バンドインタープレイ:キーボード(Chick Corea)やベースとのリズム的な掛け合い。複雑なリズム構造でもビートが失われない点に注目。
2. Return to Forever — Where Have I Known You Before(1974)
なぜ聴くべきか:メロディアスさと技巧性が高い次作で、よりジャズ的なソロ・パッセージと緻密なアンサンブルが両立しています。Lennyはテクニカルなフュージョンドラミングを発揮しつつ、楽曲全体の流れを熟知したプレイを見せます。
聴きどころ:
- ソロと伴奏のバランス:ソロで見せるドラミングの技巧だけでなく、ソロイストを支える“間”や推進力を作る点。
- 曲の構造理解:複雑なパート移行でもグルーヴを保つセンス。
3. Return to Forever — No Mystery(1975)
なぜ聴くべきか:バンドがさらに一体化し、フュージョンの多様な要素(ロック、ファンク、スウィングなど)を取り入れた作品。Lennyの多彩なフィーリングが活きるアルバムです。
聴きどころ:
- グルーヴの幅:中低域を効かせたグルーヴから、細かなスネアワーク、アクセントの付け方まで。
- アレンジ面での貢献:曲の色づけやダイナミクス作りにおけるドラマーとしての役割。
4. Return to Forever — Romantic Warrior(1976)
なぜ聴くべきか:技術性と作曲性が高度に融合した傑作で、プログレッシヴ/フュージョンの頂点のひとつと評されます。Lennyは構築的なリズム・アプローチで曲全体を牽引します。
聴きどころ:
- 複雑なテンポ構成やリズムチェンジをスムーズに繋ぐ“職人技”
- アンサンブルの中での細かな色付け(シンバルワーク、ゴーストノート等)
5. Lenny White — Venusian Summer(1975)
なぜ聴くべきか:Lennyのソロ作の代表作で、フュージョンに加えてサイケデリック/スペーシーな音世界やR&B的な感覚も取り入れた作品。ドラマー自身がリーダーの視点で楽曲の雰囲気作りをリードしています。
聴きどころ:
- プロデュース感覚:ドラムが楽曲の中心に据えられているだけでなく、アレンジや音響面でも個性が出ている点。
- ジャンルの横断性:ファンク、ロック、スペース・サウンドの融合を楽しむ。
6. Lenny White — Big City(1977)
なぜ聴くべきか:70年代後半のファンク/クロスオーバー色が強く出たアルバム。フュージョンの枠にとらわれないダンサブルなグルーヴが魅力です。
聴きどころ:
- グルーヴの推進力:ダンサブルなビート作りとドラミングのキレ。
- ソロ以外の表現:リーダーとして楽曲の世界観を作るアンサンブル志向。
聴き方のコツ — ドラマー目線で深掘りするポイント
- ビートの“押し引き”を感じる:Lennyは常にテンポを“押す”タイプではなく、楽曲ごとに微妙に前後するグルーヴを作ります。これを聴き分けると表現の豊かさが見えてきます。
- シンバルとタムの使い分け:曲の色づけにおけるシンバルワークの細やかさ、タムをメロディックに使う場面に注目。
- キメとポリリズム:Return to Foreverに象徴的な、複雑なキメ(リズミック・シンクロ)でバンドが一体となる瞬間を探すと面白いです。
- サウンドの変化:70年代前半と後半で録音やプロダクションの趣向が変わります。演奏そのものだけでなく音作りの違いも楽しんでください。
どの盤を買うか(初心者向けガイド)
- 入門:Return to Foreverの「Hymn of the Seventh Galaxy」または「Romantic Warrior」を1枚選べば、Lennyのエネルギーとフュージョンの魅力を同時に体験できます。
- ソロを聴くなら:まずは「Venusian Summer」でLenny個人の音楽的方向性(フュージョン+実験的要素)を味わうのがおすすめ。
- ファンク寄りが好きなら:「Big City」がその要求を満たします。
Lenny Whiteの影響と遺産
Lenny Whiteのドラミングは、フュージョン期のドラマー像を代表すると同時に、以降の多くのドラマーにとって基準となるグルーヴ感を示しました。単に速い・派手というだけでなく、アンサンブル全体の中で“いかに曲を支えるか”を重視するスタンスは、現在のセッションやバンド演奏でも学ぶべき要素です。
最後に:聴く順番の提案
以下の順で聴くとLennyの成長や音楽的変化が追いやすいです:
- Return to Forever(電化初期) → Hymn of the Seventh Galaxy
- 同バンドの中期作 → Where Have I Known You Before / No Mystery
- バンドの完成形 → Romantic Warrior
- ソロ作で個人の表現を見る → Venusian Summer → Big City
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参考文献
- Lenny White — Wikipedia (英語)
- Lenny White — AllMusic
- Lenny White — Discogs
- Return to Forever — Wikipedia (英語)


