ジェフ・ポーカロとは?Toto名盤と“Rosanna”シャッフルに学ぶプレイの極意
プロフィール — ジェフ・ポーカロとは
ジェフ・ポーカロ(Jeff Porcaro、1954年4月1日 - 1992年8月5日)は、アメリカ出身のドラマー/パーカッショニスト。ロサンゼルスのトップ・セッション/ツアー・ドラマーとして70〜80年代のポップ、ロック、AOR、ソウル、ジャズ・ロックの名盤に数多く参加しました。自身が中心メンバーのバンド「Toto」ではコアメンバーとして活躍し、同バンドの代表作や世界的ヒット曲でそのプレイを遺しました。
キャリアの要点
- 幼少期から音楽一家に育ち、父ジョー・ポーカロら家族も音楽家。若くしてプロのセッションに参加。
- 1970年代半ば以降、ロサンゼルスのスタジオ・シーンでトップ・ファーストコールのドラマーとなる。
- 1977年以降はTotoの主要メンバーとして国際的成功を収める一方、他アーティストのレコーディングやツアーにも多く呼ばれた。
- 1992年に急逝(心臓発作)。亡くなった後も現在に至るまで多くのドラマーやプロデューサーに影響を与え続けている。
プレイの魅力・音楽的特徴
ジェフ・ポーカロの最大の魅力は「グルーヴの中にある精密さ」と「音楽的な“引き算”の美学」です。単に速く・派手に叩くのではなく、曲の中で最も効果的にリズムを支えるためのタッチ、ダイナミクス、間(ま)を重視しました。以下に主要なポイントを整理します。
- ポケット感(タイムの安定性):メトロノームに頼るだけでなく「スウィートスポット」を作る能力。歌や楽器に対して常に“座りが良い”タイムを刻む。
- ゴーストノートとタッチの繊細さ:スネアのごく小さな裏拍(ゴーストノート)を自在に使い、ビートの陰影を豊かにする。これがTotoやセッション曲の“いなたい”グルーヴを生んでいる。
- バリエーション豊かなシャッフル:「Rosanna shuffle」に代表されるようなハーフタイム・シャッフルでの独自解釈。Purdie shuffleなどの伝統を踏まえつつ、フィンガリングやハイハットの開閉、シンコペーションで自分の色を出した。
- ジャンル横断の柔軟性:ロック、AOR、ファンク、ソウル、ジャズ寄りのアレンジまで自然に対応できるサウンド選択とフィール。
- 音作りとダイナミクスのセンス:大きなワンショットよりも曲に合ったスティック位置、ヘッドのテンション、シンバルの種類・配置などで“音のキャラクター”を作り出した。
代表曲・名盤(抜粋)
以下はジェフ・ポーカロのプレイを知る上で特に聴くべき代表的な作品です。彼のフィール、音作り、グルーヴが強く現れるトラックを中心に挙げます。
- Toto — Toto IV(1982):「Rosanna」「Africa」など。バンドの代表作でポーカロのフィールが存分に味わえる。
- Boz Scaggs — Silk Degrees(1976):「Lowdown」「Lido Shuffle」など。AOR/ソウル色の濃いセッションでの名演。
- セッション参加作(抜粋) — スティーヴィー・ワンダー、ドン・ヘンリー、スティーリー・ダン、マイケル・ジャクソンなど多数。彼の柔軟性と楽曲への貢献が随所に見られる。
スタジオワークでの流儀・プロとしての姿勢
ジェフは単なる“良いドラマー”に留まらず、「レコーディングで何が曲のためになるか」を考えるミュージシャンでした。スタジオでの特徴的な姿勢は次の通りです。
- まず曲を聴く — スコアやコードを読む以前に、歌やアレンジの意図を把握してから最適なグルーヴを選ぶ。
- ワンテイクでの判断力 — 必ずしも最初の勢いを否定せず、良いアイデアは素早く採用する。
- 過度な自己主張を避ける — フィルや装飾は楽曲の「色」を強調するために用い、主張しすぎない。
- 楽器的な知識とコミュニケーション — プロデューサーやエンジニア、他のプレイヤーと音色やアンサンブルについて具体的にやりとりできる。これが録音での高い成果につながった。
テクニック解説(具体的に学ぶべき要素)
ジェフのドラミングを学ぶ時に注目すべき技術と練習法を簡潔に紹介します。
- ハーフタイム・シャッフルの習得:スウィング感の出し方、ハイハットの細かな開閉、スネアのゴーストノート配分をメトロノームの8分音符や16分音符で練習する。
- ゴーストノートのコントロール:スネアの弱打を意図的に遅らせたり早めたりして“グルーヴの溝”を作る練習。
- ダイナミクスの運用:同じフィルやパターンをスティックの持ち替えや位置(スネア中央→フープ付近)で音量と色がどう変わるかを試す。
- 「引き算」の美学を体得する:シンプルなビートで曲を支える練習。フレーズを削っていき、最小限の音で最大の効果を得る癖をつける。
影響と遺産
ジェフ・ポーカロは単一ジャンルのスターに留まらず、スタジオ・ドラミングの基準の一つとなりました。現代のセッションドラマーやポップ/ロック系のドラマーは彼のフレージングやサウンド作り、レコーディングでの立ち回りを教科書として参照しています。多くの後続ドラマーが「Rosanna shuffle」をコピーしたり、彼の録音テクニックを研究することでスキルを磨いています。
まとめ
ジェフ・ポーカロは、卓越したタイム感と音楽的判断力、そして繊細なタッチで「歌と演奏をつなぐ」役割を体現したドラマーです。彼のプレイは音楽の伴奏者としての理想形の一つであり、派手さに頼らない“グルーヴの深さ”は今なお学ぶ価値が高いと言えます。Totoでのフロントに立つ姿と、多くの名盤を支えた名セッションマンとしての両面が、彼のキャリアと魅力を形作っています。
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参考文献
- ジェフ・ポーカロ - Wikipedia(日本語)
- Jeff Porcaro - Wikipedia(English)
- Drummerworld — Jeff Porcaro
- AllMusic — Jeff Porcaro Credits


