Tortoise(トータス)とは?インストゥルメンタル・ポストロックの先駆者が紡ぐ音楽の旅と影響

プロフィール — Tortoiseとは

Tortoise(トータス)は、アメリカ・シカゴを拠点に1990年代初頭に結成されたインストゥルメンタル・バンドで、「ポストロック/実験音楽」の代表格として国際的な評価を受けています。ボーカルに依存しない楽曲構成、ジャズ、ダブ、ミニマル・ミュージック、クラウトロック、エレクトロニカなど多様な要素を融合させたサウンドが特徴です。レーベルは主にThrill Jockey(スリル・ジョッキー)に所属し、長年にわたり独創的な作品群を発表してきました。

  • 結成:1990年代初頭(シカゴ)
  • 音楽性:インストゥルメンタル、ポストロック、ジャズ/ダブ/アンビエントの融合
  • 代表的なレーベル:Thrill Jockey

メンバー(代表的な顔触れ)

  • Doug McCombs(ダグ・マコムズ) — ベース、ギターなど
  • John McEntire(ジョン・マックリント) — ドラム、エンジニア/プロデュース面でも中核
  • Dan Bitney(ダン・ビットニー) — パーカッション/ドラム類
  • John Herndon(ジョン・ハーンドン) — ドラム、プログラミング等
  • Jeff Parker(ジェフ・パーカー) — ギター(ジャズ系の活動でも著名)
  • Bundy K. Brown(バンディ・K・ブラウン) — 初期メンバー(1990年代前半に在籍)

サウンドの特徴と魅力(深堀り)

Tortoiseの音楽の核は「楽器間の対話」と「リズムの探究」にあります。以下、具体的なポイントで深掘りします。

  • インストゥルメンタルによる物語性
    歌詞やボーカルに頼らず、楽器アンサンブルだけで起伏や情景を描きます。これによりリスナーは音色、タイミング、配置の変化から能動的に意味を見出す体験が可能になります。
  • リズム・テクスチャの重層化
    ドラム/パーカッションが複数人で重なり合い、モータリズム(繰り返しの推進力)とポリリズムが生まれます。クラウトロック由来の「ドライブ感」と、ジャズ由来の「スイング/間合い」が同居するのが魅力です。
  • ジャンル横断の音響設計
    ジャズの即興性、ダブの低域処理とエコー、ミニマルの反復、エレクトロニカのサンプリング/シンセ処理を並列に用いることで、従来のロック/ジャズの枠に収まらない新しいテクスチャを作り上げます。
  • プロダクションへの意識の高さ
    John McEntireらによる録音・ミックスワークは、各要素の粒立ちを明確にしつつ有機的に融合させることで知られています。楽器の位相関係や余韻のコントロールにも非常に注意が払われています。
  • コラボレーション精神
    バンド外のミュージシャンや電子音楽/視覚アーティストとの協働を通じて、ライブやレコーディングで毎回新しい解釈を提示してきました。固定的な「ギターロック」フォーマットを拒否する姿勢が持ち味です。

代表曲・名盤の紹介(入門ガイド)

以下はTortoiseの代表的なアルバムと、その聴きどころのポイントです。

  • Tortoise(1994)
    デビュー作。実験的ながらもバンドの音楽的志向(ジャズ・エレクトロ・ミニマルの融合)が既に明確に示されている作品。インスト主体の矛盾なき出発点として聴く価値が高いです。
  • Millions Now Living Will Never Die(1996)
    バンドのブレイクスルー作。代表曲「Djed」を収録し、長尺曲・展開を重視した組曲的な構成でポストロックの重要作とされています。テクスチャの緻密さ、ダイナミクス、繰り返しの妙が堪能できます。
  • TNT(1998)
    ジャズ/フリー・インプロヴィゼーションの要素が強まった作品。アンサンブルとしての即興性やギター・ピアニッシモの扱いなど、より「楽器同士の会話」が前面に出ています。
  • Standards(2001)
    一部で“ジャズのスタンダード”を意識したかのような構成と演奏感を持つアルバム。より暖色で有機的な手触りが出てきます。
  • It's All Around You(2004)、The Catastrophist(2009)
    以降の作品群はサウンドの幅を保ちつつ、より歌心やメロディー志向を見せるトラックもあり、成熟を感じさせます。

ライブと制作スタイル

Tortoiseのライブは単なるアルバム再現ではなく、その場限りのアレンジや即興、サウンドチェック的な試行を取り入れる公演が多く見られます。複数のドラマー/パーカッショニストが互いにスペースを譲り合いながらグルーヴを作る様は、スタジオ録音では得難いダイナミックさを生み出します。

制作面では、アコースティック楽器と電子機器の間を行き来する作業が重要です。フィールド録音やテープ/サンプル処理、アンビエント的な残響の操作など、スタジオ・ワークが楽曲の半分以上を構成しているとも言えます。John McEntireのエンジニアリング/プロデュース能力が、バンドの独自性を支える大きな要素です。

Tortoiseが与えた影響と位置づけ

1990年代以降のインディ/ポストロックの潮流において、Tortoiseは「ジャンル横断でインスト曲を中心に据える」先駆者の一つとして位置づけられます。バンドのアプローチは以下のような影響を周囲に与えました。

  • インスト主体のバンドにおける物語性の提示方法を刷新した点。
  • ジャズ的な即興とロック的な構造を共存させるモデルを提示した点。
  • プロダクション面での細やかな音像設計が、後続の実験系バンドやプロデューサーに影響を与えた点。

聴きどころと楽しみ方(初心者向けガイド)

  • まずは「Millions Now Living Will Never Die」を通して聴き、長尺の展開に身を委ねる体験を。代表曲「Djed」はバンドの世界観を掴むのに最適です。
  • ヘッドホンで各パートの位置関係(左右の広がり/低域と高域のバランス)を確認すると、プロダクションの細部がより明瞭に聴こえます。
  • ライブ音源や映像を観ると、メンバー同士の相互作用や即興的な決断がどう音に反映されるかが分かりやすいです。
  • ジャンルのラベルにとらわれず、単純に“音の旅”として聴くこと。歌詞がなくても感情や風景が浮かぶはずです。

まとめ

Tortoiseは“ジャンルを横断する実験性”と“高い演奏・プロダクション技術”を両立させたバンドであり、1990年代以降のインディ/実験音楽シーンに多大な影響を与えてきました。インスト作品でありながら物語性とダイナミズムを備え、何度も聴き返すほどに新たな発見があるのが最大の魅力です。初めて触れる方は代表作を軸に、その後アルバム間の変化やライブ・パフォーマンスを追うことで、Tortoiseの奥行きを深く味わえるでしょう。

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参考文献