Michael Karoliのギターが紡ぐCanの名盤大全|聴きどころとおすすめレコード選び
はじめに — Michael Karoliという存在
Michael Karoli(ミヒャエル・カローリ)はドイツのバンドCanの創設メンバーで、ギターとヴァイオリンを主軸に、時折リード・ヴォーカルも務めたミュージシャンです。即興性と反復的なリフを核に、ヒップで前衛的なサウンドを築き上げたCanにおいて、Karoliのギターはメロディーの要所を担い、曲の温度や空間を決定づける重要な役割を果たしてきました。本稿では、Karoliのプレイや作曲的貢献がよく分かる“おすすめレコード”をピックアップし、それぞれの聴きどころ、Karoliの特徴、コレクション時に注目したいポイントを深掘りしていきます。
推薦基準について
以下で選んだ作品は、(1)Karoliのギター/ヴァイオリン/ヴォーカルが明確に示されること、(2)バンド史上の重要作品であること、(3)ライブ/コンピレーションで即興性や表現の幅が分かること、を基準にしています。代表曲だけでなく、アルバム全体を通してKaroliの存在感を感じられるものを中心に紹介します。
おすすめレコード一覧
Monster Movie(1969)
Canのデビュー作。まだバンドが実験を重ねつつロックの形式と出会っていく過程が生々しく残る1枚です。Karoliはここでの若々しいが要所を締めるギターやヴァイオリンを通じて、後のサウンドの基盤を築きます。
- 聴きどころ:長尺の「Yoo Doo Right」では反復するギターフレーズとリズムの変化が空間を作り、Karoliのプレイが曲の推進力になっています。
- Why collect:Canの“原点”としての価値が高く、後年の変化を聴き比べるのに最適。
Tago Mago(1971)
音響的冒険と構造化された即興のバランスが最高点に達した名盤。Karoliのギターはここでリフ的役割だけでなく、テクスチャーやノイズ的要素でも大きな存在感を示します。また「Halleluwah」などでの持続するグルーヴはKaroliとドラマーJaki Liebezeitの相互作用が鍵です。
- 聴きどころ:「Halleluhwah」「Paperhouse」「Aumgn」など、楽曲毎に異なるギター表現(反復リフ、歪みのテクスチャ、静寂と爆発の対比)が楽しめます。
- Why collect:プログレ/アヴァンロックの金字塔。Karoliの即興的な語り口を追いかけるのに必携。
Soundtracks(1970)
映画音楽集という体裁のコンピレーションですが、幅広いスタイルが詰まっておりKaroliの柔軟性が光る作品群です。短い断片的な曲にも強烈なフックやユニークなギター・アプローチが詰め込まれています。
- 聴きどころ:短い楽曲の中での即興性やサウンド・アイディアの発露が多く、Karoliの多面性を知るのに向いています。
- Why collect:映画音楽的なミニマムな楽想が多く、アルバム全体での起伏が面白い一枚。
Ege Bamyasi(1972)
より“曲”が明確になりつつ、実験精神を失わない傑作。Karoliのギターがポップなフックを生み出しつつも、前衛的な空間を保持する点が特徴です。
- 代表曲:「Spoon」「Vitamin C」など。特に「Vitamin C」のリフはKaroliのシンプルで決定的なフレーズ作りの好例です。
- Why collect:メロディと実験性のバランスが良く、Karoliの“歌うような”ギターを堪能できます。
Future Days(1973)
アンビエント/内省的な方向へ向かった名作。Karoliのギターはここでより繊細に、テクスチャーとメロディを両立させ、曲全体の浮遊感を支えます。バンドとしての成熟を感じられる一枚です。
- 聴きどころ:タイトル曲「Future Days」はKaroliの抑制されたフレーズと空間作りが美しく、感情的な余韻を残します。
- Why collect:インテリジェントで深い音像。Karoliの“間”の使い方が学べます。
Soon Over Babaluma(1974)
Damo Suzuki脱退後、各メンバーがより音楽的役割を広げた作品。Karoliはヴォーカル面でも存在感を示し、バンドの新たな局面を切り開きます。
- 聴きどころ:ヴォーカルや楽器の配置が変わったことで、Karoliの表現領域(ギターのみならず歌やメロディ作り)が際立ちます。
- Why collect:バンドの変遷を追ううえで重要。Karoliの多面的な貢献が聴ける。
ライブ盤とコンピレーション(Live in Stuttgart 1975 / Unlimited Edition / Delay 1968–1971 など)
Canは即興力が評価されるバンドです。ライブ音源や非アルバム曲を集めたコンピレーションには、Karoliの即興的応答力や長尺演奏での構築力がよく表れています。特に70年代中盤のライブは、スタジオ盤とは違うダイナミズムが聴けます。
- 聴きどころ:ライブではKaroliの即興ギターがより自由に伸び、長尺トラックでの微細な変化が楽しめます。
- Why collect:スタジオ録音だけでは見えない“その場”の演奏力を味わえる。
Rite Time(1989) — 再結成作
1980年代末の再結成的作品で、当時のメンバーシップによる新たな試みが詰まっています。Karoliの原点とその変化を確認する一枚として興味深い作品です。
- 聴きどころ:成熟した演奏感と過去の要素の再解釈が見られる点。
- Why collect:Karoliのキャリア全体を俯瞰するコレクションに加えると良い。
選び方のコツ(音質/エディション/ライナーノーツの見方)
レコード収集の際にKaroli/Can作品を選ぶポイントは以下です。
- オリジナル盤かリイシューか:オリジナルLPはコレクター価値が高い一方、近年のリマスターは音の明瞭さが改善されていることが多い。どちらを優先するかは“音”と“コレクション価値”のどちらを重視するかで判断します。
- マトリクス/ランアウト情報:オリジナルのマトリクス刻印は版の識別に有用。購入前にディスクユニオンやDiscogsの出品情報で確認すると安心です。
- ライナーノーツとクレジット:Karoliの寄与(作曲クレジット、リード楽器、ヴォーカル表記など)をチェックすると、そのアルバムでの役割が客観的にわかります。
- ライブ盤の出自:公式リリースかブートレッグかで音質や編集が大きく異なる。出所の確かな公式盤を優先することをおすすめします。
Karoliのギタースタイルを聴くための実践的“聴きどころ”ガイド
実際の聴取時に注目するとKaroliの表現がよく分かるポイントを列挙します。
- 反復フレーズの変化:短いリフを繰り返す中で微妙に変化する箇所(音色の変化、エフェクトの使用、タイミングの揺らぎ)を追ってみてください。
- リズム隊との対話:JakiのドラムとKaroliのギターが作る“間”や押し引きに注目すると、即興力と曲の構造把握力が見えます。
- テクスチャーの使い分け:歪み/クリーン/ヴァイオリン的な旋律的接続など、楽器の鳴り方が楽曲ごとにどう変わるかを比較してみてください。
- ヴォーカルをとった曲:Karoliが歌う曲はそのまま彼のメロディ感覚を知る手がかりになります。歌声のニュアンスとギターの関係を聴き比べてください。
コレクションを深めるための次の一歩
まずは上記の代表作を押さえたうえで、コンピレーションやライブ盤、シングル(B面含む)を掘るとKaroliの多様な顔が見えてきます。さらに、各アルバムのリリース時期や録音背景(メンバーの入退場、制作コンセプト)を併せて学ぶと、彼のプレイの文脈が立体的に理解できます。
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ここでは便宜的に「エバープレイ」と名付け、CanやMichael Karoli関連の良質な盤/情報を探す際に参照したい信頼できる情報源やショップを指すものとして紹介します。実際の購入や詳細な版情報の確認は、下の参考文献リンク(Discogs等)をご参照ください。
参考文献
- Michael Karoli — Wikipedia
- Can (band) — Wikipedia
- Can — AllMusic
- Michael Karoli — Discogs(ディスコグラフィ詳細・盤情報)
- Can — Discogs(バンド/リリースの詳細確認に便利)


