住宅の壁・天井に必ず使われる石膏ボードとは?特徴・種類・用途をわかりやすく解説

1. 石膏ボードとは?

石膏ボードとは、粉状の石膏を芯材とし、両面を厚紙(原紙)で挟んだ建築用下地材のことです。
住宅・マンション・店舗・オフィスなど、あらゆる建物の壁や天井に使われており、
現代の内装工事では欠かせない材料です。

石膏は自然素材で加工しやすく、施工性・防火性能・遮音性に優れているため、
建築基準法でも広く採用が推奨されています。


2. 石膏ボードの構造

石膏ボードは次の3層構造でできています。

  1. 芯材:石膏
    • 不燃性・調湿性を持つ
    • 加工しやすい柔らかい素材
  2. 表面の原紙
    • 仕上材(クロス、塗装、タイルなど)の下地となる
    • ボードとしての強度を確保
  3. 裏面の原紙
    • 反り・割れを防ぐ

「石膏の不燃性 × 紙の強度」で、内装材として最適な性能を発揮します。


3. 石膏ボードの主な特徴

3-1. 優れた防火性能

石膏には結晶水が含まれており、火災時に熱を受けると
水蒸気として放出され周囲の温度上昇を抑えます。
そのため石膏ボードは 不燃材料 として認められ、多くの建物で必須となっています。

3-2. 遮音性能が高い

密度の高い石膏は音を通しにくく、
防音室・マンション・ホテルの壁にも使用されます。

3-3. 調湿性がある

湿気を吸ったり吐いたりする特性があり、
室内の湿度変動を緩和します。

3-4. 施工性が良い

  • カッターで簡単に切れる
  • ビスで固定しやすい
  • 下地材として汎用性が高い

職人の作業性が高く、工期短縮にも貢献します。


4. 石膏ボードの種類

4-1. 一般石膏ボード(GB-R)

最も一般的なボード。住宅の壁・天井の下地の大半で使用。

4-2. 耐火石膏ボード(GB-F)

耐火性を強化したボード。
火災に弱い部位や、法規で指定される部分に使用。

4-3. 耐水石膏ボード(GB-W)

湿気に強いタイプ。
浴室周り・洗面脱衣室・トイレなどに用いられる。

4-4. 高強度石膏ボード

傷・衝撃に強く、学校・病院・商業施設などに採用。

4-5. 吸音・防音ボード

多孔質構造で音の吸収に優れたタイプ。
シアタールームやスタジオ向け。


5. 石膏ボードが使われる場所

■ 住宅の主な用途

  • 壁(クロス仕上げの下地)
  • 天井の下地
  • キッチン・洗面所・トイレなど水回り
  • 間仕切り壁(遮音目的)
  • 収納・クローゼット内部の壁

■ 店舗・施設の用途

  • 店舗内装の仕上げ下地
  • 事務所のパーテーション壁
  • 病院・学校の耐火間仕切り
  • 騒音対策の吸音壁

ほとんどの建物は、内装材の裏側に石膏ボードが使われています。


6. 石膏ボードのメリット

  • 不燃性が高い(消防・建築法規に適合)
  • 加工しやすく施工スピードが早い
  • 遮音・調湿・断熱効果に優れる
  • コストが比較的安い
  • 下地材として多様な仕上材に対応

7. 石膏ボードのデメリット

  • 水に濡れると弱いため、露出部や直水部には不向き
  • 打撃に弱く、強い衝撃で凹む可能性がある
  • ボードのみでは荷重に弱い(ビスが効きにくい)

必要に応じて合板下地や補強材を併用します。


8. 石膏ボードと仕上げ材との関係

石膏ボードは 「仕上げ材を美しく張るための下地」 です。

  • クロス(壁紙)
  • 塗装
  • タイル
  • パネル
  • 化粧ケイカル板

これらを施工するための土台として、石膏ボードが張られています。

石膏ボードが平滑に施工されていないと、
仕上げ材に凹凸が出たり割れの原因になります。


9. まとめ

石膏ボードとは、

  • 石膏を芯材にした内装下地材
  • 住宅・店舗の壁や天井に必ず使われる
  • 防火性能・遮音性能・施工性・コストのバランスが優秀
  • 種類が多く、用途に合わせた選択が必要

という、現代の建築に欠かせない内装材です。

クロスやタイルなどの「見える部分」を支える、
縁の下の力持ちのような存在といえます。


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