Grouper(グルーパー)おすすめレコード徹底解説|聴き方・雰囲気・入手ポイントまで
Grouper(グルーパー)おすすめレコード深掘りガイド
Liz Harris が主宰するプロジェクト、Grouper(グルーパー)は、ドローン、アンビエント、フォークの境界を曖昧に横断する独特の音世界で知られています。本稿では、初めてGrouperを聴く人からコレクションを深めたい人まで役立つ「おすすめレコード」を中心に、各作品の特徴、聴きどころ、入手時のチェックポイントや聴くときのコンテクスト(雰囲気作り)を詳しく解説します。
Grouperとは:簡単なイントロダクション
Grouperは、声を楽器のように加工し、リヴァーブやテープ劣化感、ミニマルなギターやピアノの断片を重ねることで、非常に個人的かつ瞑想的な音像を作り上げます。歌詞が明瞭に伝わることを必ずしも目的とせず、音の「間」や空気感、記憶の断片を呼び起こすような作品が多いのが特徴です。
おすすめレコード(概観)
- Dragging a Dead Deer Up a Hill — メロディとフォークの要素が強く、歌ものとしての親しみやすさがある代表作
- A I A(Dream Loss / Alien Observer)— 2枚組で提示される異なる空気感、実験性と抒情性のバランス
- The Man Who Died in His Boat — 初期音源や未発表曲が持つ、朧げで静かな魅力
- Ruins — より生々しい録音と生声の近さ、欠落と回想をテーマにした濃密な短篇集
- Grid of Points — ミニマルさを極めた近作。構造の洗練と空間表現が印象的
Dragging a Dead Deer Up a Hill
概要:歌とメロディをより前面に押し出した作風で、Grouperのエントリーポイントとして薦められる名盤の一つ。ハーモニーやメロウなギターが、漂うようなリヴァーブに溶け込みつつも、曲ごとの輪郭ははっきりしているため、まず「歌もの」を求めるリスナーにも馴染みやすいです。
聴きどころ:声の処理は穏やかで、メロディが脳内に残りやすい。夜明けや薄暗い午後のような時間帯に合う曲が多いです。初めてのGrouper体験として、楽曲の構造を感じ取りやすい点が魅力。
入手時のチェックポイント:多くはKrankyなどのインディーレーベルから流通しています。初回プレス/再発の有無は盤の価値や流通価格に影響しますので、購入前にディスクユニオンやDiscogsでプレス情報を確認すると良いでしょう。
A I A(Dream Loss / Alien Observer)
概要:二部作として提示されたこの作品群は、互いに補完し合うような対照的な空気を持ちます。片方はより抽象的でテクスチャ中心、もう片方は旋律や短いフレーズが立ち上がるような構成で、Grouperの実験性と詩情の両面を味わえます。
聴きどころ:長めのトラックにおける微細な音の変化、残響の尾、時折立ち現れるメロディの片鱗。通して聴くことで、作品世界の起伏と静かな物語性が浮かび上がります。
入手時のチェックポイント:2枚組や別々のディスクでリリースされている場合があります。アルバム間の関係性を体験したいなら、セットでの入手を検討してください。
The Man Who Died in His Boat
概要:過去の未発表曲や初期の録音から編まれたアルバムで、Grouperの原初的な感性や断片的なアイデアを垣間見ることができます。やや朧げで古びた記憶めいたサウンドが魅力。
聴きどころ:荒削りな録音の味わいが、逆に親密さやノスタルジアを強めます。断片的なメロディが断続的に顔を見せるため、リスナーは想像力を働かせながら聴くことになります。
入手時のチェックポイント:コンピレーション的性質が強いため、収録源に関する注記(録音年やオリジナルのフォーマット)がある盤を選ぶと、コレクション性が高まります。
Ruins
概要:より生々しいボーカル録音と、空間の表現に重点を置いた短めの作品集。楽器の断片や残響があたかも手元で鳴っているかのように近接して聴こえる場面があり、内省的な感覚が強く出ています。
聴きどころ:歌と呼吸、静寂の間の間合い。曲の短さと凝縮された表現が特徴で、アルバム全体を通して集中して聴くと強い印象を残します。
入手時のチェックポイント:作品の性質上、プレスの音像(マスターやラッキング)によって印象が変わりやすいです。試聴や信頼できるレビューを確認してから購入するのがおすすめです。
Grid of Points
概要:近年の作品で、さらにミニマルさを追求したアルバム。音の余白を大切にし、非常に抑制の効いた演奏と音響処理で構成されています。繊細で研ぎ澄まされた美学が感じられる一枚です。
聴きどころ:音の配置と空白が創る緊張感。繊細な音像をじっくりと聴くことで、表層の静けさの下にある感情の動きが見えてきます。
入手時のチェックポイント:小規模リリースや限定仕様があることもあるため、コレクターズアイテムとしてのチェックも忘れずに。公式サイトやBandcampで最新情報を追うと確実です。
聴き方・文脈の提案(プレイリスト作りや時間帯)
- 夜〜深夜:Grouperの音像は夜間の静寂と相性が良いです。照明を落として、1枚を通して没入する聴き方を推奨します。
- 孤独で内省的な時間:作業の合間の休憩、散歩の前後、読書の背景など、意識を少し内側に向けたいときに合います。
- 選曲のコツ:歌が聞き取りやすい盤(例:Dragging a Dead Deer Up a Hill)と、テクスチャ中心の盤(例:A I AシリーズやGrid of Points)を交互に並べると緩急が出て飽きにくいです。
入手・購入のアドバイス
- 公式ルートを優先:Krankyなどのレーベル、またはGrouperのBandcampページ(ある場合)での購入が、正規の音源を入手する最短ルートです。
- 中古市場のチェック:初回プレスが欲しい場合はDiscogsや国内中古レコード店をチェック。ただし再発と初回で音色や付属物(歌詞カード、アートワークの差)が違うことがあるので要確認。
- 試聴の重要性:Grouperの作品はマスタリングやプレスの差で印象が変わることがあるため、可能なら試聴してから購入することをおすすめします。
まとめ:何から聴けばいいか
最初の一枚は「Dragging a Dead Deer Up a Hill」を推します。歌ものとしての親しみやすさがありながら、Grouper特有の幽玄な空気も体験できます。そこからA I AやRuinsで実験的/内省的な面へと掘り下げ、The Man Who Died in His BoatやGrid of Pointsでより深い静けさへと入っていく流れが自然でしょう。
エバープレイの中古レコード通販ショップ
エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っております。
是非一度ご覧ください。

また、レコードの宅配買取も行っております。
ダンボールにレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単にレコードが売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery
エバープレイは、インディー〜実験音楽のレコードを中心にセレクトしたキュレーション/販売プロジェクト(またはショップ)の想定紹介文です。Grouperのようなアーティストの音源や関連作品の入荷情報、試聴会やコラム等のコンテンツを提供しています。詳細は公式サイトやSNSでご確認ください。
参考文献
- Grouper — Bandcamp
- Kranky — Grouper artist page
- Grouper (musician) — Wikipedia
- Pitchfork — search: Grouper
- Discogs — search: Grouper


