The White Stripesのレコード徹底ガイド:初期から後期までのおすすめアナログ盤と聴きどころ
はじめに
The White Stripes(ザ・ホワイト・ストライプス)は、ジャック・ホワイト(ギター/ヴォーカル)とメグ・ホワイト(ドラム)のデュオによって1997年に結成され、ガレージロック、ブルース、パンクの要素をシンプルかつ強烈にまとめ上げたサウンドで2000年代のロックシーンに大きな影響を与えました。本コラムでは「レコードで楽しむ」観点から、コレクションに加えるべきおすすめのアルバムをピックアップし、それぞれの聴きどころ、アルバムが持つ文脈、そしてヴィニールで買う際に知っておきたいポイント(版や音の特性、コレクター視点)を深掘りします。なお、レコードの再生・保管・メンテナンスの一般的な解説は含めません。
おすすめアルバムの選び方(簡単な指針)
- バンドの進化を追うなら:初期作 → 中期のブレイク作 → 実験的な後期作 の順に揃えると、音作りや作曲の変化を楽しめます。
- 音の「生っぽさ」を重視するなら:初期のローファイ作やオリジナルプレスに価値があります。
- 名盤・代表曲を中心に入手するなら:White Blood Cells と Elephant は必携。
- コレクション性を重視するなら:限定色盤、初回プレス、ジャケットの帯(日本盤)などをチェック。
White Blood Cells(2001) — ブレイクの原動力
概要:商業的・批評的に彼らを一躍注目させた3rdアルバム。ガレージ・ブルースの粗削りさとポップなメロディが同居し、シンプルだが耳に残る楽曲群が特徴。
- 代表曲:Fell in Love with a Girl、Dead Leaves and the Dirty Ground、Hotel Yorba、We're Going to Be Friends
- 聴きどころ:短く切れ味の良い曲構成と、ギターのトーン、メグのドラムの素朴さが生む緊張感。PV(特に「Fell in Love with a Girl」のレゴアニメ)と相まって一気に知名度を拡大しました。
- ヴィニールで買う際のポイント:初回プレスは当時の勢いを感じられる音像(やや前面に出た中域)を持つことが多く、再発ではマスタリング差が出る場合があります。ジャケットやインサートの有無も確認を。
Elephant(2003) — 代表作、そして「Seven Nation Army」
概要:バンドの最高傑作と位置づけられることが多いアルバム。ヘヴィでダイナミックなギターロックに加え、ポップセンスも磨かれており、世界的なヒット「Seven Nation Army」を生み出しました。
- 代表曲:Seven Nation Army、The Hardest Button to Button、I Just Don't Know What to Do with Myself(カバー)
- 聴きどころ:重心の低いギターサウンド、立ち上がりの良いドラム、そして楽曲ごとのアレンジの幅。アルバムとしての統一感が強く、ロック的な“厚み”を感じられます。
- ヴィニールで買う際のポイント:オリジナルプレスは音像のダイナミクスが魅力的と言われますが、サードマンや他のレーベルによるリイシューで色盤・限定盤が多数出回っています。音質重視なら重量盤(180gなど)のリイシューも検討を。
De Stijl(2000) — 初期のアート志向とミニマリズム
概要:バンドの第二作。タイトルはネオプラスティシズム(デ・ステイル)運動への言及で、ジャケットの赤・白・黒の配色やミニマルな美学が強調されています。ギターとドラムの二声によるシンプルさが魅力。
- 聴きどころ:ブルースやロックンロールのリファレンスを感じさせつつ、余白を活かしたアレンジ。バンドのヴィジュアル・コンセプト(赤×白)とも完全にシンクロした作品です。
- ヴィニールで買う際のポイント:初期作は流通量が限られるため、オリジナルプレスはコレクターズアイテムになりがち。ジャケットの色味や状態も評価に大きく影響します。
Get Behind Me Satan(2005) — 実験とアレンジの拡張
概要:それまでのギター主導のサウンドから一歩踏み出し、ピアノやマレット系打楽器、マリンバ的な音色などを取り入れた実験的な作品。ポップかつ内省的な側面が強く出ています。
- 代表曲:Blue Orchid、My Doorbell、The Denial Twist
- 聴きどころ:ギター以外の楽器が曲ごとに効果的に使われ、作曲の幅が広がったことを実感させます。歌メロの魅力が前面に出た作品。
- ヴィニールで買う際のポイント:この作以降、アレンジの幅が広がるためスピーカーや針の特性によって聴こえ方が変わります。ピアノ、ハンドクラップなどのニュアンスを楽しむなら評判の良いプレスを選ぶと良いでしょう。
Icky Thump(2007) — 帰結と再解釈
概要:バンドの後期代表作であり、激しくダイナミックなロックとブルース、そして時にメタリックな重さを兼ね備えた一枚。アルバム題名曲「Icky Thump」はライヴでもアンセム化しました。
- 代表曲:Icky Thump、You Don't Know What Love Is (You Just Do as You're Told)、Rag and Bone
- 聴きどころ:リフ主導の曲と、リズムの斬新な使い方、エレクトロニックな要素の取り込みが目立ちます。全体としてバンドの表現の“集大成”的な側面があります。
- ヴィニールで買う際のポイント:限定色盤や特典付き盤が多くリリースされているため、コレクション性が高いです。初回プレスとリイシューで音色の差が出ることがあるため、試聴情報をチェックするのがおすすめ。
Under Great White Northern Lights(2010) — ライヴ盤/ドキュメント
概要:カナダ・ツアーを収めたライヴ・アルバム(およびドキュメンタリー)。スタジオ作とは違った即興の熱量やアレンジが楽しめ、ライヴでのバンドの魅力を存分に味わえます。
- 聴きどころ:スタジオ録音では見えにくい曲の解釈や、観客との応酬、アコースティック編成の曲など多様な面が収められています。ドキュメンタリー映像と合わせて楽しむとより深く理解できます。
- ヴィニールで買う際のポイント:ライヴ録音はプレスごとに音の鮮度が変わりやすいので、音質レポートやレビューを参照すると良いです。映像付きの限定パッケージも存在します。
どの盤を優先して買うべきか(所有優先度の目安)
- 初めて集めるなら:White Blood Cells、Elephant、Get Behind Me Satan の順で。代表曲とバンドの変化を効率よく体験できます。
- コレクター志向なら:オリジナルプレス+サードマンや限定色盤を補完。初期の自主制作的な雰囲気を残したプレスは希少価値が出ます。
- 音質重視なら:評判の良いリイシュー(180g 等)や、日本盤のアナログはパッケージやマスタリング品質が安定していることが多いので選択肢に入れましょう。
Listening Guide(初めてのレコード再生での楽しみ方)
具体的な再生方法は割愛しますが、アルバムごとの「聴きどころ」を踏まえ、以下を意識すると深掘りできます。
- アルバム1曲目とラストの関係性に注目:曲順のドラマ性がバンドのメッセージを強めます。
- 楽器の空間表現を聴き分ける:Elephant はギターの低域、White Blood Cells は中域の鋭さが魅力です。
- 曲ごとのアレンジの変化を比較:De Stijl のミニマルさ、Get Behind Me Satan の多彩な楽器使い、Icky Thump の集大成的アレンジなど。
コレクター向けの注意点(購入時チェックリスト)
- 盤のプレス情報(初回/再発、重量盤の有無)を確認する。
- ジャケットの状態やインサート、当時の帯(日本盤)など付属物の有無で価値が変わる。
- 限定色盤やプロモ盤は流通が少ないため、真贋やコンディションを慎重に見極める。
- 試聴可能なら必ず確認する:盤鳴きやスナップノイズの有無はコンディション評価に直結します。
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参考文献
- The White Stripes - Wikipedia
- The White Stripes - AllMusic(アーティスト総覧)
- White Blood Cells - AllMusic(アルバム解説)
- Elephant - AllMusic(アルバム解説)
- Elephant - Pitchfork レビュー
- The White Stripes - Discogs(ディスコグラフィ/プレス情報)
- Third Man Records(関連リイシューや限定盤情報)


