ラロ・シフリン徹底ガイド:代表作と聴きどころで紐解く映画音楽の編曲技術
はじめに — ラロ・シフリンとは
ラロ・シフリン(Lalo Schifrin)は、アルゼンチン生まれの作曲家/ピアニストで、ジャズ、ラテン音楽、クラシック、映画音楽を自在に横断する作風で知られます。特に映画・テレビのテーマやサウンドトラックでのメロディセンスとリズム感、斬新な編曲が高く評価されており、ポピュラー音楽史における重要人物の一人です。
おすすめレコードの選び方(聴きどころガイド)
「劇伴としての機能」と「レコードとしての音楽性」のどちらを重視するかを決める:シフリンは劇伴としての緊張感保持と、ジャズ/ラテン・アンサンブルとしての演奏性を両立させるのが得意です。
オリジナル・アナログ盤とリマスター盤の聴き比べ:オリジナルLPは当時の録音・ミックスの空気感が残り、リマスターはディテールや低域が整理されています。好みで選んでください。
サウンドトラックは「テーマ」と「サコラフィ(場面音楽)」の両方を味わうと深みが増します。シフリンは短いモチーフを効果的に使う達人なので、細かいフレーズに注目すると新しい発見があります。
おすすめレコード解説
Mission: Impossible(テレビ・テーマ集 / 1960年代)
なにより代表作。テレビシリーズのために書かれたメイン・テーマは、不規則な拍子感(7/4でのアクセント感)と、銃火器的で緊迫感あるホーン・リフが特徴です。テレビ劇伴としての即効性と、単独の楽曲としての完成度を兼ね備えています。
聴きどころ:メイン・テーマのリズムの刻み、ブラスの鋭さ、テーマが場面によって変奏される様子。
なぜ聴くか:シフリンの「短いモチーフで世界を作る」技術を最も分かりやすく体感できる一枚。
おすすめ盤:オリジナル・サウンドトラックLPで当時のミックスを楽しむか、トータルでクリアな音を求めるならリマスター盤。
Bullitt(サウンドトラック / 1968)
スティーヴ・マックィーン主演の人気映画『ブリット』のサウンドトラック。シフリンはジャズとファンク寄りのリズムを映画的サスペンスと結びつけ、走る車や追跡シーンにふさわしいダイナミックなスコアを提供しています。
聴きどころ:グルーヴ感のあるリズム隊、都会的でクールなサウンド、ホーン・アレンジの切れ味。
なぜ聴くか:映画スコアとしての機能美と、60年代末の黒いジャズ/ソウル感を同時に楽しめる。
おすすめ盤:映画ファンはオリジナル・サントラLPを、音質やボーナス曲を重視するなら再発CDやデジタル・リマスターを。
Dirty Harry(サウンドトラック / 1971)
クリント・イーストウッド主演の『ダーティハリー』での仕事。タイトルの持つ怒りや緊張感を的確に描くブラスとリズム構成が目立ちます。荒々しさと都会的クールさが同居するスコアです。
聴きどころ:テーマの反復によるプレッシャー感、ストリングスとブラスの対比。
なぜ聴くか:ハードボイルドな映画音楽の典型として、シフリンの作劇能力を堪能できる。
Enter the Dragon(サウンドトラック / 1973)
ブルース・リー主演のマーシャルアーツ映画のサウンドトラック。東洋的モチーフとファンク/ジャズのリズムを融合させ、異文化的な雰囲気を音楽で表現しています。映画音楽としての劇的効果と、単曲としてのダンス感覚が強い作品です。
聴きどころ:東洋風のスケールに西洋的オーケストレーションやファンク・グルーヴが混ざり合う点。
なぜ聴くか:シフリンが異文化表現をどう音楽化するかを学ぶ良い教材であり、70年代のサウンドトラック文化を象徴する一枚。
Jazz Meets the Symphony(シリーズ / 1990年代)
シフリンがジャズ・ソロイスト(トランペット、サックスなど)と交響楽団を組み合わせた企画シリーズ。編曲家/指揮者としての彼の力量がよく分かる作品群で、ジャズ的即興とオーケストラの構築力が両立しています。
聴きどころ:ソロとオーケストラの呼吸、シフリン自身のピアノや指揮によるバランス感。
なぜ聴くか:映画音楽家としての側面とは別に、アレンジャー/オーケストラ指揮者としての技術を深く味わえる。
注意点:複数作があるため、参加ソリストや録音オーケストラ(ロンドン系/チェコ系など)で好みの盤を選ぶと良い。
入門~深掘りリスニングのコツ
モチーフ追跡:シフリンは短いモチーフを細かく変奏します。Aメロやリフの反復と変化を追うと構造が見えてきます。
編曲の“間”を見る:余白や休符を効果的に使うタイプなので、音の入らない瞬間にも注目してください。
リズムの細部を聴く:ドラムやパーカッションのアタック、ベースラインの歩き方がサウンドの色を決定づけます。
映画と切り離して聴く:サウンドトラックは場面と結び付くと見落としがちな純音楽としての美点が多数あります。曲単位で切り出して聴いてみてください。
まとめ
ラロ・シフリンは「映画音楽家」以上に、編曲家/アレンジャーとしての技巧とジャズ的な即興性を持ち合わせたアーティストです。まずは代表的なサウンドトラック(Mission: Impossible、Bullitt、Dirty Harry、Enter the Dragon)でその色彩感とリズム感をつかみ、さらに「Jazz Meets the Symphony」などで編曲技術の深みを味わうのがおすすめです。
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