ラロ・シフリン(Lalo Schifrin)徹底解説:プロフィール・代表曲・映画音楽の魅力と影響

プロフィール:Lalo Schifrinってどんな人?

ラロ・シフリン(Lalo Schifrin、本名:ヘクター・ラロ・シフリン、1932年6月21日生まれ)は、アルゼンチン出身の作曲家・編曲家・ピアニスト。ジャズとクラシック、ラテン音楽、映画音楽を自在に横断する作風で知られ、テレビや映画のテーマ音楽からジャズのビッグ・バンド作品、コンサート作品まで幅広く手がけてきました。1960年代以降、アメリカを拠点に活動し、ディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie)との共演や映画・テレビ音楽の成功を通じて世界的に名声を得ました。

キャリアのハイライト

  • 1932年、ブエノスアイレス生まれ。音楽教育を受け、若いころからピアニスト/作曲家として頭角を現す。
  • 1950年代後半から60年代にかけて渡米し、ジャズ界の重鎮ディジー・ガレスピーのバンドでピアノと編曲を担当。「Gillespiana」などの重要な仕事を残す。
  • テレビ・映画音楽の作曲家としても大成功を収める。特に「Mission: Impossible(邦題:スパイ大作戦)」のテーマ(5/4拍子)は世界的な代表作。
  • 映画『Bullitt』(1968)や『Dirty Harry(ダーティハリー)』などのサウンドトラックも高く評価され、映画音楽シーンに不可欠な存在となる。
  • グラミー受賞やアカデミー賞ノミネート等、数々の賞や栄誉を受け、ジャンルを越えた影響力を持つ。

音楽的特徴と魅力—何が人々を惹きつけるのか?

シフリンの音楽は、以下の要素が複合的に絡み合うことで独特の魅力を放ちます。

  • リズム感の鋭さと拍子の遊び:「Mission: Impossible」の5/4拍子をはじめ、不規則な拍子やポリリズムを自然に取り入れ、緊張感や推進力を生み出します。
  • ジャズとオーケストレーションの融合:ジャズ的な即興やハーモニー感覚を、大編成オーケストラやビッグバンドのテクスチャで描写します。ブラスや打楽器を効果的に配し、映画的なスケール感を演出します。
  • ラテン/アルゼンチン的要素:出身地のリズムやメロディー感覚(タンゴやラテンの影響)をさりげなく取り入れ、独特の「歌心」と躍動感を与えます。
  • モダンな和声感:テンション・コードやモード的な響き、和声の転位を活かしたスリリングな和声進行が特徴で、映像の情景や心理を的確に描き出します。
  • モチーフの巧みな扱い:短いリズム・モチーフやオスティナートを反復・発展させて筋道を作る手法に長けており、聴き手の記憶に残るフックを生みます。

代表曲・名盤の紹介(聴きどころ付き)

  • Mission: Impossible(テレビ・テーマ)

    5/4拍子の有名なテーマ。スリリングなリズムとシンプルなモチーフの反復が特徴で、シフリンの名前を世界に知らしめた作品です。緊迫感の出し方やピッチの揺らぎ、ブラスの使い方を注目して聴くと学びが多い。

  • Gillespiana(ディジー・ガレスピーとの共作)

    シフリンがジャズ・オーケストレーションで見せた代表作。ジャズの即興精神を大編成で構築する技巧とドラマ性が光ります。アレンジの妙とジャズ的ソロの対比を楽しんでください。

  • Jazz Impressions of Argentina(1963)

    母国アルゼンチンへのオマージュ的なジャズ作品群。タンゴや南米のリズムをジャズの言語で再解釈した点が特徴で、シフリンのルーツとジャズ感覚がよく表れています。

  • Bullitt(サウンドトラック、1968)

    カーチェイスで有名な映画のサウンドトラック。クールで都会的なジャズ感、テンションのあるブラスおよびリズム・セクションの使い方から、シフリンの“クライム/サスペンス音楽”のセンスがわかります。

  • Dirty Harry(サウンドトラック、1971)

    シフリンのスリリングでダークな映画音楽の好例。緊張と不安を煽る和声、断片的なモチーフの反復、打楽器の巧妙な利用など映画音楽の教科書的要素が詰まっています。

  • Enter the Dragon(サウンドトラック)

    アクション性の高い映画音楽で、エキゾティックな色彩と強烈なリズムが交錯します(※作品によってクレジットのバリエーションがあるため、リリース情報は盤ごとに確認するとよい)。

聴くときのポイント(理解を深めるために)

  • まずはテーマやリズムの「骨格」に注目する。短いモチーフやリフが曲全体を牽引することが多い。
  • 拍子感を体で取ってみる(特に5/4などの非定型)。アクセントの置き方が曲の緊張を作る鍵。
  • 和声のテンションと解決を追う。シフリンは典型的な「ジャズ・テンション」をオーケストラに応用するのが巧み。
  • 編曲のレイヤー(ブラス、ストリングス、リズム・セクション、打楽器)がどのように役割分担しているかを確認する。映画的な「場面作り」が見えてくる。

作曲家としてのレガシーと影響

シフリンはジャズ界と映画音楽界の架け橋的存在で、以降の多くの作曲家や編曲家に影響を与えました。映画音楽では映像感覚に富んだリズム処理やモチーフの使い方が参照され、ジャズの世界ではビッグバンド編曲の新しい可能性を示しました。また、ポピュラーミュージックやテレビ音楽の一部のサウンドにも彼の影響が散見されます。

聴き始めのおすすめプレイリスト(入門)

  • Mission: Impossible(テーマ) — まず誰もが知る代表曲。
  • Gillespiana(抜粋) — ジャズ編曲の豪華さを体感。
  • Jazz Impressions of Argentina(代表曲) — ルーツとジャズの融合。
  • Bullitt(サントラのハイライト) — シフリン流の都会的クールさ。
  • Dirty Harry(サントラのハイライト) — 映画音楽としての圧力とドラマ。

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