ジャズドラマー ブライアン・ブレイド(Brian Blade)— 歌心と間を極める演奏とBrian Blade Fellowshipの魅力と来歴
ブライアン・ブレイド(Brian Blade)——概略と来歴
ブライアン・ブレイドはアメリカのジャズドラマー、作曲家、バンドリーダーで、その繊細かつ表現力豊かなプレイで世界中のミュージシャンから高く評価されています。ルイジアナ州の音楽的な環境で育ち、ゴスペルやR&B、ニューオーリンズの息づかいに触れながら育った背景が、彼の“歌うような”ドラミングに色濃く反映されています。
ドラマーとしては、単にビートを刻む存在に留まらず、メロディやハーモニーに対して即物的に反応し、楽曲全体を導く“共演者”としての役割を果たします。自身のグループ「Brian Blade Fellowship」を率いる一方で、ウォルト・ショーター(Wayne Shorter)やジョシュア・レッドマン(Joshua Redman)ら一流のリーダーと長年にわたって共演してきたことでも知られています。
ブレイドの魅力:何が特別なのか
- 歌心のあるドラミング:ブレイドの最大の魅力は「歌うように」叩くことです。単純なリズムの補強を超えて、フレーズの輪郭をなぞり、楽曲の感情曲線をつくる。
- ダイナミクスと間の使い方:小さなタッチから爆発的なクレッシェンドまでのレンジを巧みに操り、音量や強弱で物語を紡ぐ能力に長けています。とくに“間”を活かした表現は非常に印象的です。
- 色彩感のあるシンバル/ブラシワーク:シンバルの響きやブラシのスウィープで独特のテクスチャを作り出し、アンサンブルの空気感を変化させます。
- リスニング重視のアプローチ:即興セッションでの反応力が高く、他のソロイストの意図を敏感に汲み取り、補完・強調することができます。
- 作曲家/バンドリーダーとしての側面:Fellowshipではドラム以外に作曲やアレンジの中心を担い、フォーク、ブルース、現代ジャズが混ざり合った独自の音世界を提示します。
演奏スタイルの詳細(テクニックと音楽的指向)
テクニカルな面では、ブレイドは速いフレーズで目立つタイプではなく、むしろ「タッチ」「音色」「間」を重視します。手と足の独立性を背景に、スネアのゴーストノート、ハイハットやライドの変化、ブラシのスウィープなどで繊細なリズム整形を行い、結果としてソロやコンピングがメロディと同等の表現力を持ちます。
リズム面では伝統的なジャズのタイム感を土台に持ちながら、ゴスペル/R&B由来の強いグルーヴ感や、ワールドミュージック的なポリリズムの要素を取り入れることがあります。特にダイナミクスの扱いに長けており、同じフレーズでも強弱で全く異なる意味合いを持たせることができます。
作曲とバンド運営:Brian Blade Fellowship の特色
Brian Blade Fellowship は、リーダーであるブレイドの作曲・編曲が中核となったバンドプロジェクトです。ジャズの即興性を保持しつつ、フォークやブルース、抒情的なメロディラインを前面に出すことが多く、聞き手に物語性や情景を想起させる楽曲が多いのが特徴です。
- アレンジは余白を生かす方向で設計され、各楽器に“語る”スペースを残す。
- 曲の構成は明確で、ドラムは求心力を持ちながらも過度に突出しない。
- ステージでも録音でも、即興の瞬間を大切にするためメンバー間の“聴き合い”が強く意識される。
代表作・おすすめの録音(リーダー作と共演作)
以下は入門〜深掘りに適した代表的な録音です。リーダー作は彼の音楽観をストレートに反映しており、共演作は彼の多彩な顔を示します。
- Brian Blade Fellowship(デビュー作) — リーダーとしての基盤が詰まった作品。叙情的で人間味のある作風が聞ける(デビュー作は自身の作曲・アレンジが中心)。
- Season of Changes(Brian Blade Fellowship) — より成熟した作風、ダイナミクスと色彩感が深化したアルバム。バンドとしての一体感が際立つ。
- Without a Net(Wayne Shorter Quartet) — ブレイドが参加することで生まれる緊張感と繊細な推進力を堪能できるライブ録音。大物リーダーとの相互作用を知る上で必聴。
- Joshua Redman の録音群 — ブレイドのサイドマンとしての側面がよく出ている。モダンジャズの文脈での柔軟性と推進力が光る。
上記以外にも、彼は多くの著名ミュージシャンのレコーディングやツアーに参加しています。サイドマンとしての参加作を追うことで、彼の多様な表現と適応力を体系的に知ることができます。
聴き方の提案:ブライアン・ブレイドを深く味わうために
- まずはリーダー作を通して“作曲家”としての顔を把握する。曲の構造、メロディとドラミングの関係に注目。
- 次に共演作(特にライブ録音)で“即興応答力”やアンサンブル内での役割の変化を聴き比べる。
- 個別のフレーズではなく、曲全体の流れとブレイドが担う“空気の変化”を感じ取る。小さなシンバルの変化やブラシの動きが曲のムードを決定づけることが多い。
- 映像資料があれば、その体の使い方や視線、バンドメイトとのやり取りを観ると理解が深まる。
影響とレガシー
ブライアン・ブレイドの影響は、技術的な革新というより「表現の幅」と「音楽の在り方」にあります。多くの若手ドラマーは彼の“歌うようなタッチ”や、楽曲全体を大切にする姿勢を参照し、機能的かつ感情豊かなアプローチを学んでいます。
また、ジャズの枠を越えてフォーク〜ロック〜ワールドミュージックの要素を自然に取り込む姿勢は、現代のクロスオーバー的音楽観の一端を体現しています。彼の作品は“聴く人の時間”を尊重し、リスナーに物語を提示する点で独自性を持っています。
まとめ
ブライアン・ブレイドは、技巧や速度だけで測れない「音楽性」を体現するドラマーです。歌心、間、ダイナミクス、そして深いリスニング力によって、彼は単なるリズムキーパーを超えた音楽的パートナーとして多くのアーティストと共演してきました。彼の作品を通して、“何を叩くか”よりも“何を語るか”を重視するドラミングの美しさを感じ取ってください。
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