The Lemonheadsをヴァイナルで聴く名盤ガイド:初期衝動から90年代の名曲まで徹底解説
イントロダクション — The Lemonheads をヴァイナルで聴く理由
Evan Dando を中心に1980年代後半から活動する The Lemonheads は、パンク/インディーの土壌からメロディアスなオルタナ・ポップへと移行した経緯が魅力です。生々しい初期作の衝動性、ポップでありながら切なさを帯びた90年代の名曲群、そしてカバーを通じた再解釈──レコードで聴くと各作品の音像や時代感がより深く味わえます。本コラムでは「レコードで所有したいおすすめアルバム」をピックアップし、それぞれの聞きどころ、背景、どんなリスナーに響くかを深掘りして紹介します。
1. Hate Your Friends(初期衝動を聴くなら)
おすすめポイント:
- バンドの原点となるパンク/ハードコア寄りの衝動作。粗削りな演奏と短い曲が続くスピード感。
- Evan Dando のソングライティングの片鱗と、後のメロディ志向への過渡期が聴き取れる。
聞きどころ:
- 勢い重視のアレンジと、時折のポップメロディが混在する対比。
- 初期音源らしい録音の生々しさが、当時のシーン感を伝える。
こんな人に:パンク寄りの直球なロックが好きで、バンドのルーツを掘りたいリスナー。
2. Lick / Creator / Lovey(過渡期の名曲とカバーの発見)
おすすめポイント:
- 初期作群はシングル/EPも多く、オルタナ/インディの幅を見せる重要作。特に Lovey あたりからメロディの比重が高まる。
- カバー曲도多数あり、The Lemonheads が他アーティストの楽曲を自分たちのフィルターで変換する才能が見える。
聞きどころ:
- インディ期の様々なアプローチ(パンク、フォーク寄りの曲、ポップ)を順に聴ける。
- 後の名盤につながるメロディラインや、Evan の歌声の変化。
こんな人に:バンドの発展過程を年代順に追いたいコアなファンや、カバー曲の面白さを楽しみたい人。
3. It's a Shame About Ray(バンドの代表作)
おすすめポイント:
- The Lemonheads を広く知らしめた代表作。メロディの鮮やかさと疾走感が同居したアルバムで、90年代オルタナの名盤の一つとして位置づけられる作品です。
- キャッチーでありながらもどこか哀愁を含んだ楽曲群は、Evan Dando の魅力を凝縮しています。
代表曲・聞きどころ:
- タイトル曲はシンプルながら耳に残るフックを持ち、アルバム全体のトーンを決定づける。
- 全体としてアンサンブルはスリムで、メロディの良さが前面に出るプロダクション。
- この時期に共演・客演したミュージシャン(ツアー含む)や、シングル展開が多かったことも魅力。
こんな人に:メロディックなオルタナを求めるリスナー、90年代の名盤を揃えたい人。
4. Come On Feel the Lemonheads(シングルヒットとポップ性の開花)
おすすめポイント:
- 商業的成功を得た時期のアルバムで、よりポップで洗練されたサウンドが特徴。
- 「Into Your Arms」などのシングルは幅広い層に届きやすい曲調で、バンドの知名度を押し上げました。
聞きどころ:
- メロディのフック、コーラスの響き、シンプルだが完成度の高い楽曲構成。
- 大きなスピーカーや良い再生環境で聴くと、アレンジの隙間にある細かな音作りがわかります。
こんな人に:キャッチーなギターポップが好きな人、90年代のラジオヒットを中心にコレクションしたい人。
5. Car Button Cloth(深みが増した中期作)
おすすめポイント:
- 前作よりも内省的でダークな要素が強く、歌詞や音像に厚みが出ているアルバム。
- ポップ性を維持しつつ、よりロック寄り・骨太なアレンジが含まれる。
聞きどころ:
- 歌詞の暗さやメロディの渋さにフォーカスすると、Evan Dando の表現の幅を再評価できる。
- アルバム全体の統一感や曲間のダイナミクスに注目。
こんな人に:バンドのより深い、やや影のある側面に興味があるリスナー。
6. The Lemonheads(2006) & Varshons シリーズ(カバーでの再解釈)
おすすめポイント:
- 2000年代以降の作品は、過去作の延長線でありつつも成熟した解釈や趣味性の強いカバーが特徴。
- Varshons(2009)や Varshons 2(2019)はカバー集として、Evan の選曲眼と解釈力が楽しめる。
聞きどころ:
- カバー曲を通して The Lemonheads の音楽的ルーツや影響を辿れる。
- 近年作では録音やアレンジが落ち着いており、歌とメロディにフォーカスしやすい。
こんな人に:カバー曲の新しい解釈が好きな人、バンドの近年の活動を追いたい人。
レコードで聴くときの楽しみ方(音楽的側面に限定)
- 作風の変遷を年代順のLPで並べると、Evan Dando のソングライティングの進化とバンドの音楽的移行が視覚的・聴覚的に理解しやすくなります。
- シングル曲とアルバム曲の差異:シングル向けのポップ性が強い曲と、アルバムの統一感やB面曲の深さを比較して楽しむ。
- カバー曲を原曲と比較して聴くと、バンド独自のアレンジや感情表現(歌い回し、テンポ感、間のとり方)の特徴が際立ちます。
どの盤を選ぶか(初回盤・リイシューの見方)
ここではプレイや保管の細かい話は避けつつ、コレクションとしての指針を簡潔に:
- 初期のインディ時代のオリジナル盤は入手難度が高く、当時の粗さや迫力がそのまま残っています。音楽史的価値と“生の勢い”を求めるなら価値があります。
- 大手レーベルから出た90年代のアルバム(代表作群)は複数回リマスター/再発されていることが多く、ボーナストラックやリマスター版の音像の違いを楽しむのも一つの選択です。
- カバー集や近年作は、選曲自体に魅力があるため、原曲との比較やEvan の視点を重視するコレクションに向きます。
まとめ — まず何を買うべきか
初めてレコードで The Lemonheads を揃えるなら:
- 「It's a Shame About Ray」:バンドの代表作として最優先。
- 「Come On Feel the Lemonheads」:シングルヒットとよりポップな側面を体験するために。
- 初期作(Hate Your Friends / Lick / Lovey)いずれか:バンドのルーツやエネルギーを感じたい場合に。
これらを基準に、自分がどの側面(パンクな衝動、メロディックなポップ、カバーでの解釈)に惹かれるかで追加購入を決めると満足度が高いはずです。
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参考文献
- The Lemonheads - Wikipedia
- The Lemonheads | Biography & History - AllMusic
- The Lemonheads - Discogs
- The Lemonheads | Rolling Stone


