The Posies 入門から名盤まで:聴き方とLPレコード選びの完全ガイド

The Posies:まず押さえておきたい概要

The Posies はシアトル出身のポップ/パワー・ポップ・バンド。中心人物はジョン・アウアー(Jon Auer)とケン・ストリングフェロー(Ken Stringfellow)。メロディとハーモニーの完成度、ギターの推進力、時にビターな歌詞が同居するサウンドで1980〜90年代のオルタナ/パワー・ポップ・シーンで強い存在感を示しました。本コラムではレコード(LP)で聴く価値の高いおすすめ作品を選び、それぞれの魅力、聴きどころ、どの曲から入るべきかなどを深堀して解説します。

おすすめの聴き方(簡潔ガイド)

はじめてThe Posiesを聴くなら、まず「Frosting on the Beater」から。そこからデビュー周辺のインディー色が強い「Failure」や、メジャー期の「Dear 23」を遡ると、バンドの音楽的成長と振幅がよく分かります。以降の作品ではプロダクションや曲作りの方向性が変化しますので、年代順に聞くことで発見が増えます。

1. Frosting on the Beater(1993) — “代表作(入口)”

なぜ薦めるか:The Posies の知名度を広げた作品で、パワー・ポップの美メロとロックのダイナミズムが高次元で融合しています。ギターが前に出た音像と、二人のハーモニーが最大限に活かされた名盤。

  • 聴きどころ:ドライブ感のあるギター、張りのあるボーカル、キャッチーかつエッジのあるアレンジ。
  • 代表曲(LPではA/Bの流れで楽しむ):Dream All Day、Solar Sister、Flavor of the Month
  • レコードでのおすすめ:オリジナルのアナログ盤(1993年DGC盤)は当時のサウンド感をよく伝えます。再発盤も音圧やマスタリングが異なる場合があるため、作品の“荒々しさ”や“空気感”を重視するならオリジナルを探す価値があります。

2. Dear 23(1990) — “メジャー期へのステップ”

なぜ薦めるか:メロディセンスが開花したアルバム。ポップさと叙情性がより前面に出ており、ビルボード的な魅力とインディー由来の誠実さが混ざり合う一枚です。

  • 聴きどころ:洗練されたメロ、濃密なコーラスワーク、曲ごとに異なる表情。
  • 代表曲:Golden Blunders(※キャッチーで感情の揺れを感じる曲)、その他アルバム曲にも名曲が多い。
  • レコードでのおすすめ:初期のLPプレスは入手困難な場合がありますが、ジャケットやライナーノーツの雰囲気も含めコレクション価値が高いです。

3. Failure(1988) — “原点回帰/インディー時代の名作”

なぜ薦めるか:デビュー作にして彼らのルーツが色濃く出た作品。インディー的な荒々しさとDIY感、メロディの核がはっきりと確認でき、後の作品との比較で面白さが増します。

  • 聴きどころ:粗さの中に光るポップネス、初期のエネルギー。
  • 代表曲:アルバム通しての流れで評価されるタイプ。初期ファンならではの掘り出し物がある。
  • レコードでのおすすめ:オリジナルのインディープレスや初期カセットの雰囲気は一聴の価値あり。

4. Amazing Disgrace(1996) — “成熟と変化”

なぜ薦めるか:90年代中盤、シーンの変化と向き合いながらもThe Posies のソングライティングの確かさを示した作品。音作りや構成で新たな試みが見られ、バンドの幅が広がったことを感じさせます。

  • 聴きどころ:叙情的なメロとやや暗めのトーン、アレンジの工夫。
  • 代表曲:アルバム全体の完成度を評価して聴きたい一枚。
  • レコードでのおすすめ:90年代中盤のアナログはやや希少ですが、盤による音質差を比較するのも面白いです。

5. Every Kind of Light(2005)— “再結成後の洗練”

なぜ薦めるか:2000年代に入り再び活動を本格化させた彼らの到達点の一つ。成熟したソングライティングとプロダクションで、若い頃とは違う深みがあります。

  • 聴きどころ:メロディの落ち着き、細かなアレンジ、成熟したハーモニー。
  • 代表曲:シングル曲やアルバムを通しての統一感を楽しんでほしい。
  • レコードでのおすすめ:再結成以降のプレスは流通しやすく、ジャケットやライナーノーツを含め最新作の文脈で楽しめます。

6. Blood/Candy(2010) — “近年作の良質さ”

なぜ薦めるか:近年作の中でもポップな光とビターな側面が同居する好盤。長年の経験が反映された曲作りで、過去作のファンにも響く内容です。

  • 聴きどころ:洗練されたサウンドメイクと、ベテランならではの緩急の付け方。
  • 代表曲:アルバム全体でのまとまりを楽しめる作品。
  • レコードでのおすすめ:比較的入手しやすい再発盤が多く、現代的なプレス品質で楽しめます。

聴きどころ(楽曲面での視点)

The Posies の魅力は「メロディ」「コーラス(ハーモニー)」「歌とギターのバランス」に集約できます。ビートルズやパワー・ポップの伝統を受け継ぎつつ、90年代のロック的な重心も持ち合わせているため、ポップス好きもロック好きも刺さるポイントが多いです。歌詞は時に内省的で冷徹、時にウィットに富んでいます。

どの盤を探すべきか(コレクションの視点)

・入門:Frosting on the Beater(再発でも可) — まずこれ一枚でバンドの魅力が伝わります。
・コア・ファン/コレクター:Dear 23、Failure の初期プレスやオリジナルジャケット盤は価値があります。
・最近作を追う:Every Kind of Light、Blood/Candy は状態の良い再発で手軽に楽しめます。

最後に:レコードで聴く意味

The Posies はアレンジの微妙な音の重なりやハーモニーの余韻が重要なバンドです。LPで聴くと楽器の定位や雰囲気、曲間の空気感がより伝わりやすく、作品の“温度”をじっくり味わえます。まず一枚、Frosting on the Beaterを軸に、興味が湧いたらDear 23 → Failure と遡るのがおすすめの巡り方です。

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参考文献