John Mayall & the Bluesbreakersの歴史と影響:英国ブルースを育てた伝説のバンド
John Mayall & the Bluesbreakers — プロフィール
John Mayall & the Bluesbreakers(以下、Bluesbreakers)は、イギリスのブルース/ブルースロックを代表するグループで、1963年にバンドリーダーであるジョン・メイオールによって結成されました。メイオール自身はボーカル、ハーモニカ、ピアノ/オルガン、時にはギターもこなすマルチ奏者であり、Bluesbreakersは彼の音楽的実験と若手ミュージシャン育成の場として機能しました。
歴史的背景と役割
1960年代の英国ではアメリカン・ブルースの再評価が進み、Bluesbreakersはその最前線に立ちました。彼らは単なるリバイバル・バンドにとどまらず、アメリカ南部のブルースを独自の解釈で再構築し、エレクトリック・ブルース、ブルースロック、ジャズ的要素を融合させることで次世代のロックへと橋渡ししました。
メンバーと“登竜門”としての功績
Bluesbreakersは固定メンバーが流動的で、これはむしろバンドの特徴でした。ここから巣立った若手ミュージシャンは後にロック史に大きな足跡を残しています。
- エリック・クラプトン(ギター):1965–1966。クラプトン在籍時のアルバム「Blues Breakers with Eric Clapton」は英国ブルースの金字塔とされる。
- ピーター・グリーン(ギター):1966–1967。後にFleetwood Macを結成し、独自の叙情的なギターワークを展開。
- ミック・テイラー(ギター):1967–1969。のちにローリング・ストーンズに参加し、彼のフレーズは名演を支えた。
- ジョン・マクヴィー、ミック・フリートウッド(リズム隊):後にFleetwood Macの中核となる人物たちもBluesbreakersに関与。
このようにBluesbreakersは「才能を育てる場」としての役割が強く、メイオールの下で多くの若手が試行錯誤し、独自性を磨いていきました。
音楽的特徴と魅力
- 多彩な編成と編曲:ギター中心のブルーストラッドから、サックスやブラスを取り入れた編成、さらにアコースティックやジャズ寄りのアプローチまで幅広く実験。これにより「ブルース」という枠の内外で表現の幅を広げた。
- メイオールのプロデュース力とリーダーシップ:単なる演奏者ではなく、音楽の方向性を示しながらメンバーの個性を引き出すことで、各メンバーが飛躍するための土台を作った。
- ギターの革新性:特にクラプトン、グリーン、テイラーといったギタリストたちの在籍は、ギターサウンドの多様化を促し、その後のロックギター像に大きな影響を与えた。
- 本場アメリカ・ブルースとの対話:メイオールはマディ・ウォーターズ、B.B.キングらのスタイルを尊重しつつ、英国流の解釈で再構築。結果として欧州・米国双方で共感を呼んだ。
代表作と聴きどころ(入門ガイド)
- Blues Breakers with Eric Clapton(1966) — 「ビーノ(Beano)」の通称でも知られる一枚。クラプトンのギターが際立ち、英国エレクトリック・ブルースの金字塔。ここから入るとBluesbreakersのエネルギーを直に感じられます。
- A Hard Road(1967) — ピーター・グリーン在籍期の作品。メロウでありながら鋭いギターワークと洗練されたソングライティングが光る。
- Bare Wires(1968) — アンサンブルの厚みやアレンジの妙があり、商業的にも成功したアルバム。ブラスやコンテンポラリーな要素が取り入れられている点に注目。
- The Turning Point(1969) — ドラムレスなどの編成でライブ感と即興性を強調した作品。ブルースにジャズやフォークの影響が混じり合う新鮮さがある(アプローチの変化を感じたいリスナーにおすすめ)。
ライブ活動とパフォーマンスの魅力
Bluesbreakersのライブは即興性とエネルギーが特徴で、メンバー交代が頻繁であるがゆえにセットリストや演奏の色合いがその都度変化するのが魅力です。若手がそこで腕を磨き、ソロの見せ場が生まれるため、ライブ録音や映像には“予測不能な名演”が多く残っています。
なぜ今聴くべきか — 現代への影響と魅力の再評価
- ルーツの再確認:現代ロック/ブルース/ジャズに通じる表現の起点を知ることで、現在の音楽理解が深まる。
- ギタリスト必聴の歴史教材:クラプトンやグリーン、テイラーらの初期の音像はその後のギター奏法やトーン形成に与えた影響が大きい。
- 異ジャンル融合の先駆け:ブルースにジャズやフォーク的アプローチを融合した試みは、ジャンルの境界を越える現在の音楽潮流にも通じる。
ファンや研究者が注目すべきポイント
- メンバー交代の経緯と各期の音楽的変化を追うことで、60年代ロックの進化を段階的に理解できる。
- メイオール自身の楽曲とカバー曲の並びやアレンジの違いを比較すると、彼の音楽観や時代ごとの志向が見えてくる。
- ライブ音源にはスタジオ録音とは異なるアプローチや名演が多く、コアなコレクション価値が高い。
まとめ
John Mayall & the Bluesbreakersは、単なるバンド以上に“人材育成の場”かつ“ブルース表現の実験場”でした。ジョン・メイオールの指導力と音楽的好奇心、そしてその場で育ったギタリストたちの鮮烈な個性が結びつき、英国ブルースの歴史とその後のロックに計り知れない影響を与えました。初めて彼らに触れるなら、まずは「Blues Breakers with Eric Clapton」から入って、その後「A Hard Road」「Bare Wires」「The Turning Point」あたりを辿ると、音楽的変遷と魅力がよく分かるはずです。
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参考文献
- John Mayall Official Site
- Wikipedia: John Mayall & the Bluesbreakers
- AllMusic: John Mayall & the Bluesbreakers Biography


