Delmore Brothersの軌跡—ツイン・ハーモニーとギターが描く南部カントリー&ブルースの名盤と聴き方ガイド

The Delmore Brothersとは

AltonとRabonの兄弟で結成されたThe Delmore Brothersは、1930年代〜1940年代のアメリカ南部カントリー/ブルース・シーンを代表するデュオです。アルバムという形がまだ一般的でない時代に78回転レコードで多くの名曲を残し、ブルース的要素を取り入れたハーモニーと技巧的なギター・プレイで後世のフォーク/カントリー系アーティストに強い影響を与えました。

サウンドの特徴と聴くポイント

  • ツイン・ハーモニー:兄弟ならではの密着した声の重なりが最大の魅力。ユニゾンから緩やかなハーモニーまで幅があります。
  • ギター・ワーク:ブルースやジャズの要素を取り入れた複雑なフィンガリングとアルバート・ピッキング的な響きを併せ持つ演奏が特徴です。
  • 曲の幅:単純なホンキー・トンクだけでなく、バラード、ブルース、ユーモラスな曲まで幅広いレパートリーを持っています。
  • 編曲の工夫:当時の国民楽曲の枠に収まらないリズム感や転調、楽器の導入(ハーモニカやスチールギター等)を行なっています。

おすすめレコード(聴き方別ガイド)

はじめて聴く人に(入門)

  • 「ベスト・オブ」的な単一ディスクのコンピレーション(国内流通のベスト盤やYazoo系の編集盤) — 代表曲を短時間で掴むのに最適。まずは名曲群のメロディとハーモニーに耳を慣らしましょう。
  • 注目トラック:特に「Blues Stay Away from Me」は彼らの音楽性と普遍的な魅力を象徴する1曲なので、最初に押さえておくと聴きどころが分かりやすいです。

ディープリスナー/研究者向け

  • Document RecordsやJSPなどの「Complete Sessions/Complete Recorded Works」系コンピレーション — セッション順に並んだ全集盤は成長や変化を俯瞰できます。アレンジの変遷、録音年代ごとの演奏スタイルの違いに注目すると発見が多いです。
  • Bear Familyのようなボックスセット(入手できれば) — 豊富なライナーノーツ、未発表曲、写真資料などが付くことが多く、歴史的背景を深掘りしたい人に最適です。

ギタリスト/作曲家志向の人に

  • 単曲の良い音源を多用しているCDやハイレゾ配信(リマスタリングの良い盤) — ギターのフレーズ、コード進行、フィンガリングを細かく追うなら、音質の良い再発盤を選ぶことをおすすめします。
  • 注目ポイント:親指でのベースラインと指弾きのメロディの融合、ツイン・ギター的アレンジ、ブルース感の出し方などをトランスクライブしてみると学びが多いです。

コレクター向け(オリジナル音源重視)

  • オリジナル78回転盤はコレクションとしての価値が高いですが、入手は難易度が高いです。オリジナルの盤面情報やラベル違いを調べた上で購入を検討してください(出品情報や専門店の説明を必ず確認)。
  • オリジナル音源と近い雰囲気で楽しみたい場合は、優れたリマスター盤や高品質なトランスファーを選ぶと良いでしょう。

代表曲ピックアップ(聴きどころ)

  • Blues Stay Away from Me — ブルースとカントリーの境界を曖昧にした傑作で、哀愁あるメロディとハーモニーが際立ちます。多くのカバーを生み、彼らの代表作として広く知られています。
  • Brown's Ferry Blues(同時代のブルース要素の強い曲) — 南部の情景と暮らしを反映したリリックと、ブルース的な演奏がミックスされた好例です。
  • その他の曲群 — バラード系、アップテンポのカントリー調、ユーモラスなトラックなど幅広いレパートリーがあり、曲ごとに異なる顔を見せてくれます。

聴きどころの具体的なポイント

  • ハーモニーの微妙な揺らぎ:完全にピッチが揃いすぎない自然なハーモニーが「生感」を生みます。そこに感情表現の深さがあります。
  • ギターの間奏と装飾:短い間奏でも音色の選び方やフレージングに個性が出ています。細部のフレーズを繰り返して聴くと工夫が見えてきます。
  • 歌詞の語り口:当時の生活や風景を反映した語り口が多く、歌詞を追いながら当時の社会文脈を想像すると楽曲理解が深まります。

影響と評価

The Delmore Brothersは、後のフォーク・リバイバルやロックンロール、カントリーのアーティストに影響を与えました。たとえばEverly Brothersのハーモニー志向や、Chet Atkinsなどギタリストのテクニック志向の一部は彼らの音楽からの影響が指摘されています。また、ルーツ音楽を掘るミュージシャンや研究者からは「原型的なツイン・ハーモニー」としてたびたび参照されます。

まとめ(買い方・聴き方の提案)

  • まずは入門的な「ベスト盤」で代表曲に親しみ、その後DocumentやBear Familyの全集系で時代を追って聴く──という順が理解を深めやすいです。
  • 音質は聴き方に影響します。ギターやハーモニーの細部を味わいたい場合は、信頼できるリマスター盤を選ぶと良いでしょう。
  • ライナーノーツや解説を読むと、曲ごとの背景や録音状況が分かり、聴取体験が一層豊かになります。

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参考文献