Wanda Jackson名盤ガイド:ロカビリーからカントリー・ゴスペルまでをレコードで辿るおすすめアルバム集
はじめに
Wanda Jackson(ワンダ・ジャクソン)は“Queen of Rockabilly”として知られるアメリカの歌手で、1950〜60年代にカントリーやロックンロール/ロカビリーを自由に横断した稀有な存在です。本稿では「レコード(アルバム/重要シングル収録盤)」という観点から、彼女の音楽性がよくわかるおすすめ作品をピックアップして深掘りします。各作品ごとに聴きどころ、背景、推薦理由を解説しますので、初めての方もコレクターも参考にしてください。
Wanda Jackson(初期シングル/コンピレーション群)
ワンダのキャリアはシングル中心で始まりました。ロカビリー寄りの初期シングル群(代表的には「Fujiyama Mama」「Let's Have a Party」など)は、彼女の荒々しくもエネルギッシュなボーカルと、性別によるステレオタイプを突き崩す挑発的な歌詞が特徴です。まとまった形で聴くなら初期シングルを集めた編集盤や60年代のコンピレーション盤が入り口として最適です。
- 代表曲: 「Fujiyama Mama」「Let's Have a Party」「Honey Bop」
- 聴きどころ: スラップ・ベースやギターのリズム感、ワンダのシャープなフレージングと気迫
- おすすめ理由: 彼女が“女性ロカビリー”の象徴として如何に異彩を放ったかが一聴で分かる
Rockin' with Wanda(ロカビリー寄りの名盤/編集盤)
この種のアルバムはワンダのロック寄り作品を幅広く収録しており、ロカビリー・サイドを知るには格好の一枚です。初期シングルの勢いを凝縮しており、ステージの熱量がそのままレコードに残っている感覚を味わえます。
- 代表曲: 「Baby Loves Him」「Mean Mean Man」など(編集盤により収録曲は版によって変動)
- 聴きどころ: テンポ感の強いナンバーと、コーラス/コール&レスポンスの楽しさ
- おすすめ理由: ロカビリーを手早く体験したいリスナーに最適。初期の情熱が凝縮されている
カントリー路線の傑作群(例:「Right or Wrong」「In the Middle of a Heartache」を含む作品)
ワンダはやがてカントリーに軸足を移し、ポップ寄りの編曲でヒットを出します。ここでの歌い方はロカビリーの豪気さを残しつつ、よりメロディックで感情表現が豊かになります。単なる「転向」ではなく、彼女の歌唱表現の幅が広がった重要な時期です。
- 代表曲: 「Right or Wrong」「In the Middle of a Heartache」など
- 聴きどころ: スムーズながらも芯のあるボーカル、ストーリーテリング性の強い歌詞
- おすすめ理由: ワンダの“もう一つの顔”を知るための必聴領域。カントリー好きにも刺さる作品群
Two Sides of Wanda(“二面性”を示すコンセプト作品)
そのタイトルが示すとおり、ロック/カントリーといった彼女の異なる音楽性を並列に聴かせる意図のある作品や編集盤があります。ワンダの多面性を一枚で理解したい場合に向きます。
- 聴きどころ: 曲ごとに変わるアレンジや歌い口、同一アーティストの多様な魅力を比較できる
- おすすめ理由: 初めてワンダに触れるリスナーが「どの側面から掘るか」を判断するのに役立つ
ゴスペル/宗教音楽期の作品(1970年代以降の作品群)
ワンダは1970年代にキリスト教に回心し、ゴスペル作品を多数発表しました。音楽的にはカントリー寄りの編曲が多く、歌詞のテーマは信仰や救済です。商業的なヒットとは違う方向性ですが、彼女の内面的な変化と成熟を感じられる重要な章です。
- 聴きどころ: 誠実さのある歌唱、宗教的情緒を帯びたメロディ
- おすすめ理由: アーティストとしての成長と価値観の変化を音で追いたい人に
The Party Ain't Over(2011年・復活作/Jack Whiteプロデュース)
2011年、Jack White(ザ・ホワイト・ストライプス)のプロデュースで制作されたアルバムは、ワンダのキャリアに新しい注目を集めました。現代の楽曲を彼女の歌でカバーする挑戦的な企画で、若いリスナー層にも届くサウンドに仕上がっています。原曲とは異なる解釈でワンダの歌い方がどのように生かされるかが見どころです。
- 聴きどころ: 異世代コラボならではのアレンジ、年輪を感じさせる声の魅力
- おすすめ理由: 新たなリスナー層への窓口かつ、往年のファンには“再発見”をもたらす作品
入門と深掘りの聴き方ガイド
どのアルバムから聴くか悩んだら、まずは初期のロカビリー系コンピレーションで“勢い”をつかみ、その後カントリー期の代表曲集→ゴスペル期→2011年の復活作へと辿ると、彼女の音楽的変遷が自然に理解できます。曲単位で言えば「Fujiyama Mama」「Let's Have a Party」「Right or Wrong」「In the Middle of a Heartache」「Mean Mean Man」「The Party Ain't Over(アルバム全体)」あたりを抑えると良いでしょう。
コレクター向けワンポイント(版の違いについて)
ワンダの初期音源はシングル中心でリリースされ、後年に編集盤やボックスセットとして再発されることが多いです。オリジナルのシングル盤と、音質補正やボーナストラックが加えられた再発盤では聴感が異なる場合があります。音質や曲順、未発表曲の有無などに着目すると、同じタイトルでも別物として楽しめます(具体的なメンテナンス方法や保管は今回は割愛します)。
まとめ
Wanda Jacksonはロカビリーの激烈さとカントリーの物語性、ゴスペルの誠実さを併せ持つ稀有なアーティストです。彼女の代表作群を追うことで、20世紀中盤のアメリカ音楽の交差点を音で体験できます。まずは初期のロカビリー曲群とカントリーのヒット曲、そしてJack Whiteとの復活作を押さえることをおすすめします。
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参考文献
- Wanda Jackson - Wikipedia
- Wanda Jackson | AllMusic
- Rolling Stone - Wanda Jackson obituary
- Third Man Records(Jack White関連情報)


