Focus(フォーカス)— オランダ発プログレッシブ・ロックの黄金期と名盤を徹底解説
Focus — プロフィールと概略
Focus はオランダ出身のプログレッシブ・ロック/インストゥルメンタル・バンドで、1969年にアムステルダムで結成されました。代表的な中心人物はフルート/キーボード/ボーカルのThijs van LeerとギターのJan Akkermanで、両者を軸にした初期のラインナップがバンドの“黄金期”を築き上げました。ロックのエネルギー、クラシックやジャズの要素、そしてユーモアや即興性を取り入れた演奏で国際的な評価を獲得しました。
簡潔な年表(主要ポイント)
- 1969年:結成。
- 1970年〜1974年:初期〜黄金期。代表作を多数発表。
- 1973年頃:「Hocus Pocus」が国際的なヒットとなり、知名度が急上昇。
- その後、メンバー交代や方向性の変化を経ながらも、断続的に活動と再結成を続ける。
音楽的特徴と魅力の深掘り
Focus の音楽は一聴して「個性的」と感じられる要素が複数混ざり合っています。以下に主要なポイントを挙げ、どうして聴き手の心を掴むのかを解説します。
- 対比と融合(技巧とユーモア)
卓越した演奏技術(特にギターとフルート)を基盤に、ジャズやクラシックの難解さと、バンドが好む“遊び心”を同時に提示します。激しいリフや複雑なフレーズの直後に、コミカルなヴォーカルパート(ヴォイス・エフェクトやヨーデル風叫びなど)が入ることで、硬軟のコントラストが生まれ、聴覚的な飽きが来ません。
- 器楽中心のドラマティックな展開
多くの楽曲はインストゥルメンタルを基調にしており、メロディの語りかけ方が映画的です。セクションごとの転換、ソロの取り合い、テンポ/ダイナミクスの変化で「物語」を紡ぎます。これがプログレ好きだけでなく、インスト曲を好むリスナーにも刺さる理由です。
- 楽器間の対話(特にフルートとギター)
Thijs van Leer のフルート/ハモンド系サウンドと、Jan Akkerman のギターが応酬する様はバンドの“顔”。旋律を取り合うだけでなく、和声感やリズム感のズレを利用した緊張感の演出が巧みです。
- ジャンル横断性
ロック、クラシック、ジャズ、フォーク的な要素や即興演奏、そしてユーモアあるヴォーカル・パートを同居させることで、固定的なジャンル枠を超えた豊かな表現を実現しています。
代表曲・名盤の紹介と聴きどころ
- Moving Waves(別名 Focus II、1971) — 代表曲「Hocus Pocus」収録
“Hocus Pocus” は強烈なギターリフと、Thijs の身体表現的なヴォーカル(スキャットやヨーデルのようなパート)が交互に現れる構成が特徴。簡潔なリフ・フレーズが楽曲を牽引し、即興的なソロが続くことでロックとしての高揚感とプログレ的な技巧が両立します。初めてFocusを聴くなら必聴曲です。
- In and Out of Focus / Focus Plays Focus(1970) — デビュー期の魅力
バンドの原点が詰まったアルバム。短めのインストや小品(例:「House of the King」)も収録されており、プリミティブなエネルギーとクラシカルな匂いが混在します。演奏の緊張感と親しみやすいメロディのバランスが秀逸です。
- Focus 3(1972)
初期の技巧的・構築的な側面を継承しつつ、さらに楽曲の幅を広げた作品。ポップな要素と大作志向が同居しており、バンドの多面性を理解するのに向いています。
- Hamburger Concerto(1974) — 大作志向の象徴
複数のセクションから成る組曲形式の楽曲を中心に据えたアルバムで、クラシック的なモチーフとロックの推進力を組み合わせた名盤として評価されています。長めの曲を聴き通す集中力と、展開の微細な違いを楽しむ余裕があるリスナーに強く勧められます。
演奏面・技術面の見どころ
- ギター:Jan Akkerman のフレージングはテクニカルでありつつ歌心があり、ロック的な攻めとジャズ的なアプローチが自然に同居します。
- フルート/鍵盤:Thijs は単なる伴奏役にとどまらず、メロディの主体を担い、楽曲に独特の色合いを与えます。
- リズム:ドラムとベースは複雑な構成を支えると同時に、グルーヴを失わずに曲を前へ進めます。
- アレンジ:管弦楽的な要素や対位法的なパートが散りばめられており、1曲の中で多様な表情が次々と現れます。
なぜ今聴くべきか(現代的な魅力)
- ジャンルの垣根を超える「クロスオーバー音楽」としての先駆性:現代クロスオーバー/ポストロックなどの音楽に興味がある人にも新鮮に響く要素が多い。
- 演奏の生々しさ:デジタル制作では得にくい、ライブ演奏的な躍動感が随所に残っている。
- 楽曲のエンタテインメント性:テクニカルでありつつ聴いて楽しい構成が多く、敷居が高すぎない。
聴き方の提案:入門ルートと深掘りルート
- 入門(まずは一曲で掴む)
「Hocus Pocus」または「House of the King」をまず聴いて、バンドのエッセンス(リフ/ヴォーカルのユーモア/インストの迫力)を掴むのが良いでしょう。
- 中級(アルバム単位で理解する)
Moving Waves と In and Out of Focus を聴き比べると、初期の多様性と名曲の成り立ちがよく分かります。その後で Hamburger Concerto のような組曲的作品に進むと、より深い構造理解が得られます。
- 上級(ライブや細部の分析)
ライブ音源や別テイクを比較して、即興の差異や演奏上の決断を追うと、バンドがどのように楽曲を“生きたもの”にしているかが見えてきます。
ライブとその魅力
Focus のライブはアルバム以上に即興性が強く出ます。スタジオ盤で聴く構成が、ライブではソロの延長やセクションの反復で大きく変化することが多く、同じ曲でも各公演で異なる魅力を示します。観客との掛け合いやメンバーの機微が表れるため、ライブ録音や映像でのチェックを強く勧めます。
影響と評価
Focus はヨーロッパのプログレ系バンドの中で独自の地位を築き、特に楽器奏者やマニアックな音楽ファンからの評価が高いです。ポップなヒット(例:「Hocus Pocus」)を持ちながらも、アルバム作りでは意欲的な構築を続け、後続のクロスオーバー系やテクニカル志向のバンドに対しても影響を与えました。
まとめ
Focus は「技巧と遊び心」「構築美と即興性」を両立させた稀有なバンドです。プログレッシブ・ロックの枠を超えて、メロディやエンタテインメント性を大切にしているため、初めてのリスナーにも親しみやすい一方、音楽的な深掘りをする価値も大いにあります。まずは代表曲で興味を持ち、名盤アルバムを順に辿ることで、Focus の多面的な魅力を存分に味わえるはずです。
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