リック・ウェイクマンのLPおすすめガイド:1970年代プログレの名作をレコードで堪能する聴きどころと選び方
イントロダクション — リック・ウェイクマンという存在
Rick Wakeman(リック・ウェイクマン)は1970年代プログレッシブ・ロック期を象徴するキーボーディストの一人で、Yesの名手としての顔に加え、壮大なコンセプト・ソロ作で知られます。オーケストレーションやモダン鍵盤技術を用いたアルバムは、当時のLPフォーマットと親和性が高く、レコードで聴くとそのダイナミックさや音場感がより生き生きと感じられます。本コラムでは「レコードで聴くべき」おすすめアルバムを選び、それぞれの魅力・聴きどころ、レコード選びの実用的な観点からのアドバイスを紹介します。
おすすめアルバムとレコード選びのポイント
The Six Wives of Henry VIII(1973)
ソロ・デビュー作にして代表作。6人の王妃それぞれをイメージしたインストゥルメンタル曲で構成され、クラシカルなモチーフとシンセ/ピアノの華麗なプレイが同居します。
- 聴きどころ:アルバム全体の構成美、各曲におけるテーマの描写力。特に「Anne Boleyn」「Catherine of Aragon」が人気。
- レコード選び:オリジナル1973年盤は当時のサウンドバランスが魅力。リマスター盤は高域や低域の解像度が向上していることが多いので、音質重視なら最新リマスター/アナログ・リイシューも検討。
Journey to the Centre of the Earth(1974)
ジュール・ヴェルヌ原作を下敷きにした大規模コンセプト作。オーケストラや合唱を交えた劇的なサウンドはレコードのダイナミクスを活かしてこそ映えます。スタジオ録音および1974年のライブ盤(オリジナル・メンバー+オーケストラ)も重要です。
- 聴きどころ:オーケストラとの融合、ナレーションと楽曲の一体感。LPでのA/B面の流れが演劇性を高めます。
- レコード選び:フルオーケストラの厚みを楽しみたいならオリジナル・プレスや高品質リイシュー(180gなど)のステレオ感を確認。ライブ盤は会場音の空気感が魅力。
The Myths and Legends of King Arthur and the Knights of the Round Table(1975)
ケルト的要素・中世的モチーフを織り込んだ長大なコンセプト作品。物語性が強く、楽曲ごとに色彩豊かなアレンジが施されています。
- 聴きどころ:叙事詩的な展開、シンセとハモンド等の有機的な対比。
- レコード選び:ジャケットや歌詞インサート(当時の歌詞/解説)が充実したオリジナル盤はコレクター価値あり。リイシューは音像の修正やボーナスで価値が出ることも。
No Earthly Connection(1976)
より哲学的・抽象的なテーマを扱った作品で、前作群と比べてコンテンポラリーなサウンド設計が見られます。構築的なキーボード・ワークが多く、聴き手を突き放す独特の世界観があります。
- 聴きどころ:モダンなリズムとシンセ・テクスチャ、長尺曲の展開。
- レコード選び:音の детал(ディテール)を楽しみたいなら、ノイズ処理やマスター由来の差が出やすいので盤質の良い個体を優先。
White Rock(1977)/The Family Album(1977)
White Rockは冬季オリンピック映画のサウンドトラック的作品で、短く明快な楽曲が並びます。The Family Albumはよりプライベートで短いピース群の集まりで、称賛されることが少ないが聴くと人柄が伝わる一枚です。
- 聴きどころ:White Rockはテーマのキャッチーさ、The Family Albumは個人的な表情。
- レコード選び:サウンドトラック系はオリジナル盤の演奏順やミックスが異なることがあるため、当時の仕様を確認するとよい。
Rhapsodies(1979)/1984(1981)
Rhapsodiesは比較的短いインストゥルメンタル集で、ポップな側面が目立ちます。1984はジョージ・オーウェルの世界観をモチーフにしたコンセプト作で、シンセ・プログレとポップの中間に位置する挑戦作です。
- 聴きどころ:Rhapsodiesはメロディ志向、1984はテーマ性とキーボード/シンセの実験性。
- レコード選び:1980年前後のプレスはシンセの定位やアタック感が強く出ることがあり、好みが分かれるので試聴できる個体を優先。
近年作(Return to the Centre of the Earth/Piano Portraits ほか)
2000年代以降も旺盛に活動しており、原作の再構築やピアノ・ソロ集など多彩。レコード再発やアナログ新盤も増えているため、最新リイシューは音質面で優れることが多いです。
- 聴きどころ:原曲の再解釈やアコースティック寄りの表情。ピアノ中心の作品は録音品質がそのまま音楽体験に直結します。
- レコード選び:近年のアナログ再発はマスターやカッティングが改善されている例が多いので、値段とのバランスで選択。
レコード購入時の実務的アドバイス(選び方の観点)
以下は「レコードそのものの手入れ」ではなく、購入・選定に役立つ視点です。
- オリジナル盤 vs リイシュー:音色の趣(ヴィンテージ感)を重視するならオリジナル、解像度やノイズ低減を重視するなら新しいリマスターやアナログ・リイシュー。
- プレス品質:180gや高品質カッティングのリイシューは低歪み・安定したトーンを得やすい。ただしマスター次第で良し悪しが変わる。
- ジャケット/付属物:1970年代はインサートやライナーノートが充実していることが多く、コレクションとしての魅力が高い。コレクターはこれらも重視。
- 試聴の重要性:大きな劣化(スクラッチやワープ)がないか、帯域バランスや定位が好みに合うかを可能なら試聴して確認。
- 再発情報の確認:リイシューではボーナストラックや別テイクが付くことが多いので、収録内容をチェック。
収集の楽しみ方・聴きどころの提案
リック・ウェイクマン作品は「ドラマ性」「鍵盤の色彩」「オーケストレーション」が魅力。LPのA面〜B面を通しで聴き、曲間の流れやテーマの反復を追っていくとアルバム構成の妙が見えてきます。初めて聴く人は代表作である『The Six Wives...』『Journey to the Centre of the Earth』『The Myths and Legends...』の順に聴くとウェイクマンの作家的変遷をつかみやすいです。
特におすすめの1枚を選ぶなら?
迷ったら「Journey to the Centre of the Earth」を推します。スケール感、劇性、録音の壮大さが他に類を見ないため、リック・ウェイクマンの持ち味を最も直感的に味わえる一枚です(LPでの体験が特に強烈)。
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参考文献
- Rick Wakeman — Wikipedia
- The Six Wives of Henry VIII — Wikipedia
- Journey to the Centre of the Earth — Wikipedia
- The Myths and Legends of King Arthur... — Wikipedia
- No Earthly Connection — Wikipedia
- White Rock — Wikipedia
- The Family Album — Wikipedia
- 1984 — Wikipedia
- Rick Wakeman — AllMusic
- Rick Wakeman — Discogs
- Rick Wakeman — ProgArchives


