The 13th Floor Elevators徹底ガイド:初聴きから深掘りまでのおすすめアルバムと聴き方

はじめに — 13th Floor Elevatorsとは何者か

The 13th Floor Elevators(13th Floor Elevators、以下 "Elevators")は、1960年代半ばにテキサス州オースティンを拠点に活動したサイケデリック・ロックの先駆者です。Roky Erickson(ボーカル/ギター)とTommy Hall(エレクトリック・ジャグ)を中心に、ガレージ・ロックの粗さと宗教的・神秘主義的な詩世界を組み合わせた独特のサウンドで知られます。本稿では、彼らの主要レコードを「初めて聴く人」「コレクター」「より深く掘り下げたい人」それぞれの観点からおすすめし、各作品の特徴と聴きどころを解説します。

バンドの音楽的特徴と位置づけ

  • エレクトリック・ジャグ(Tommy Hall)の連続したリズムとエフェクト的効果がバンドの「主たる音色」を作っている点。

  • Roky Ericksonのシャウトに近いソウルフルなボーカルと、サイケデリック/神秘主義的な歌詞世界(宗教・幻覚体験・内省)が核心。

  • 粗削りで即興性を残す演奏と、時に長尺の瞑想的トラック(ジャム)を含む構成で、後続のサイケ・ガレージやプロト・パンク、ニュー・ウェーブに影響を与えた。

おすすめレコード(優先順位付き)

The Psychedelic Sounds of the 13th Floor Elevators(1966)

デビュー作にして代表作。シングル「You're Gonna Miss Me」を含む作品で、荒々しいガレージ感と衝動的なサイケデリアがストレートに詰まっています。

  • 聴きどころ:「You're Gonna Miss Me」──Rokyの原始的なボーカル、ハイテンションな演奏が詰まった名曲。初期の録音ならではの生々しさが魅力。
  • 楽曲の性格:短めで尖った曲が多く、サイケ入門として聴きやすい一方で、曲によっては反復的でトランス的な側面もある。
  • おすすめポイント:バンドの「顔」を知るには最良。エレクトリック・ジャグの効果、演奏の切迫感、地域的ヒットを生んだ歴史的価値。

Easter Everywhere(1967)

より実験的かつ精神性を強めた2作目。制作面での意図が明確になり、サウンドスケープも広がっています。

  • 聴きどころ:「Slip Inside This House」──バンドの代表的な長尺組曲的トラックで、反復と展開を通じて深い瞑想的体験を与える。
  • 楽曲の性格:詩的で抽象的な歌詞、リバーブやエコーを使ったサイケ表現、しばしばより「内省的」な雰囲気。
  • おすすめポイント:デビューより制作意図と表現の広がりが見えるため、バンドの進化を感じたい人に最適。

Bull of the Woods(1969)

バンドの終盤にあたるアルバムで、Roky Ericksonの活動低下やメンバー交代の影響が顕著。よりダークでまとまったトーンを持ち、スタジオ的なアプローチが強い作品です。

  • 聴きどころ:曲ごとに色合いが変わり、Stacy Sutherlandのギター主導の曲が増えている。全体として陰影の深いサウンド。
  • 楽曲の性格:断片的だが味わい深い楽曲が多く、初期の派手さとは別の「成熟した深み」を感じさせる。
  • おすすめポイント:バンドの後期作を好む向き、あるいはRokyの関与による変化を含めた歴史理解に必聴。

コンピレーション/ライブ音源(入門&深掘り向け)

オリジナル・アルバム以外にも、シングル集や未発表音源、ライブ録音を纏めたアンソロジーが多数存在します。初期のデモやBBC/ライヴ音源は、スタジオ盤では掴めない即興性や荒削りな魅力を伝えてくれます。

  • 初心者:代表曲を網羅したベスト盤や「expanded edition」は手早くバンド像を掴むのに便利。
  • コレクター/深掘り:未発表曲・デモ・ライブを収録したアンソロジーやボックスは、活動の変遷や制作過程の理解に役立つ。

どの順で聴くか(リスニングガイド)

  • まずは『The Psychedelic Sounds…』で衝撃を体感する。

  • 次に『Easter Everywhere』で霊的な拡張と長尺トラックを味わう。

  • 最後に『Bull of the Woods』で変化した後期の表情を確認する。

  • 興味が湧いたらコンピレーション/ライブで隠れた名演やデモを追いかける。

音楽的・文化的影響のメモ

  • 米国南部のガレージ/サイケの文脈から出発し、70年代以降のサイケ再評価期やガレージ・リヴァイヴァル、さらにはオルタナ/インディ・ロックの一部に影響を残しました。

  • Roky Erickson本人のドラッグ体験や精神疾患をめぐる悲劇的な人生史も、バンドの神話性を強め、アーティストとしての評価に複雑な色合いを付加しています。

購入・選盤の実務的なアドバイス(簡潔に)

  • 歴史的価値を求めるならオリジナルのInternational Artists盤は魅力的。ただしコンディションで音の印象は大きく変わる。

  • サウンドの安定性や解説を重視するなら、信頼できるリイシュー/アーカイヴシリーズ(一定のクオリティ管理があるレーベル)を選ぶのが無難です。

  • リイシューを選ぶ際は、マスターの出典(オリジナル・テープ使用かどうか)、モノ/ステレオの表記、ボーナストラックや解説の有無をチェックしてください。

おすすめの代表曲(入門用プレイリスト)

  • You're Gonna Miss Me(The Psychedelic Sounds…)

  • Reverberation (Doubt)(同)

  • Slip Inside This House(Easter Everywhere)

  • She Lives (In A Time Of Her Own)(Easter Everywhere)

  • Bull of the Woods(Bull of the Woods)

  • Barnyard Blues(Bull of the Woods / シングル)

まとめ

The 13th Floor Elevatorsは、短命でありながらもサイケデリック・ロック史に不滅の足跡を残したバンドです。初期の荒々しさと衝動性(『The Psychedelic Sounds…』)、精神性と拡張性(『Easter Everywhere』)、そして陰影ある成熟(『Bull of the Woods』)という三部作的な流れを辿ることで、彼らの魅力を段階的に、かつ深く味わえます。入門者は代表曲から、愛好家はアンソロジーやライブ音源で細部を追ってみてください。

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