スティーヴ・マリオットの音楽遍歴と名盤ガイド—Small FacesとHumble Pieを軸に聴きどころを徹底分析
はじめに — スティーヴ・マリオットとは何者か
スティーヴ・マリオット(Steve Marriott)は、1960年代後半から1970年代にかけてイギリスのロック/ソウル・シーンを牽引したシンガー兼ギタリスト/ソングライターです。Small Faces でのモッド/サイケデリック期、Humble Pie でのヘヴィなブルース・ロック期と、短いながらも濃密なキャリアを残しました。独特のシャウト感と柔らかいメロディラインを同時に操るボーカルは、同時代の多くのミュージシャンに強い影響を与えています。
おすすめレコードの選び方(簡潔に)
マリオットの魅力は「声」「歌心」「バンド音像」の三点に集約されます。アルバムを選ぶ際は、(1)ボーカルにフォーカスした曲が多いもの、(2)バンドのアンサンブルが前に出ている作品、(3)スタジオ盤とライヴ盤で違う顔が楽しめること、を基準にすると良いでしょう。以下でジャンルごとにおすすめ盤を深掘りします。
Small Faces 時代:ポップ/サイケと英国ソウルの融合
Small Faces(1966)
デビュー作。モッズ・シーンに直結した鋭いR&B感と、マリオットのエネルギッシュなボーカルが前面に出た作品です。当時のシングル群や初期のヒット曲をふんだんに含むため、彼の原点を知るには最適。
聴きどころ:若き日のシャウト、R&Bのノリ、ロックンロール的な勢い。
Ogden's Nut Gone Flake(1968)
Small Faces の名盤のひとつであり、サイケデリック・ポップの傑作。コンセプト的な構成や英国らしいメロディ、そしてマリオットの表現力が高い次元で結実しています。ポップだが深みのあるアレンジ、妖しさと温かさが同居した音世界が特徴です。
聴きどころ:「Lazy Sunday」などのシングル的な魅力と、アルバム全体を通しての物語性。歌詞やアレンジの遊び心も味わってください。
The Autumn Stone(1969)
バンド解散後に出た編集盤ですが、シングルの名曲や未発表トラック、ライブ音源が混在しており、Small Faces の多面的な魅力が一枚で把握できます。初期から後期までの流れを辿るには便利な一枚です。
Humble Pie 時代:ソウルを飲み込んだヘヴィ・ブルース・ロック
As Safe as Yesterday Is(1969)
Humble Pie のデビューにあたる作品で、古き良きR&B/ブルースのフィーリングと、マリオットのソウルフルな歌が直結しています。後のヘヴィ志向へ移行する前の“歌重視”の段階を示すまとまったアルバムです。
聴きどころ:アコースティック寄りの曲やハーモニーが目立ち、マリオットのテクスチャー豊かな声をじっくり聴けます。
Performance Rockin' the Fillmore(1971)
Humble Pie の代表的ライヴ盤。迫力あるバンド演奏とマリオットの圧倒的な歌唱力が記録されており、彼の“ロック・フロントマン”としての真骨頂が味わえます。ライヴならではの即興性、テンションの高さが魅力。
聴きどころ:ブルージーな伸び、バンドの厚み、そしてMCや間の取り方に表れるライブならではの“躍動感”。スタジオ盤と聴き比べると面白いです。
Smokin'(1972)
商業的にも成功したアルバムで、マリオット作の「30 Days in the Hole」など、ハードかつグルーヴィーなナンバーが並びます。ソウルとロックをミックスしたサウンドが前面に出た、聞き応えのある一枚です。
聴きどころ:曲の力強さ、リズム隊のグルーブ、マリオットのダイナミックなボーカル。ラジオ受けする一曲も含まれているため入門にも向きます。
ソロ/レア音源・編集盤で追いかける楽しみ
マリオットはソロ名義や様々な編集盤にも良質なトラックが散らばっています。公式スタジオアルバムに加え、シングルのB面、未発表曲、サイド・プロジェクトの音源などを集めたアンソロジー盤は、彼の全体像を補完するうえで有益です。特に Immediate 時代の音源や、Humble Pie 前後のコンテクストをまとめた編集盤は資料的価値も高いです。
各アルバムの「どこを聴くか」ガイド(入門〜深掘り)
- 入門者:
まずは「Ogden's Nut Gone Flake(Small Faces)」と「Smokin'(Humble Pie)」を聴いて、マリオットのポップ/ロック両面を比較してください。短時間で彼の振れ幅が掴めます。
- 中級者:
「Small Faces(1966)」と「As Safe as Yesterday Is(Humble Pie)」で楽曲の成り立ちや歌の表現を追い、歌曲ごとのアレンジの違いに注目します。
- 上級者(ファン向け):
ライヴ盤(特に Fillmore のライヴ)や編集盤で未発表曲や別テイクを聴き、マリオットの歌い回しの変化、即興性、バンドとの呼吸を細かく分析すると新たな発見があります。
推薦する聴き比べのポイント(具体的に)
- 同じ曲がスタジオ盤とライヴ盤でどう変わるか(テンポ、キー、フレージングの違い)を比較する。
- マリオット作の曲(高揚する歌メロ、短く切れるフレーズ)と、カバー曲での適応力(ブルースやソウルの解釈)を対比する。
- バンド形態によるサウンドの違い(Small Faces の緻密なアレンジ vs Humble Pie の生々しいグルーヴ)を意識する。
まとめ — マリオットの音楽を聴く価値
スティーヴ・マリオットは「声で曲を作り変えてしまう」稀有な実力者でした。Small Faces 時代のメロディックで即効性のあるポップ性、Humble Pie 時代の骨太で泥臭いブルース・ロック、どちらも彼の表現の一面に過ぎません。今回挙げたレコードを軸に聴き進めれば、マリオットというアーティストの全体像が自然に立ち上がってきます。
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参考文献
- Steve Marriott — Wikipedia
- Ogden's Nut Gone Flake — Wikipedia
- Small Faces (1966) — Wikipedia
- The Autumn Stone — Wikipedia
- Humble Pie — Wikipedia
- Performance Rockin' the Fillmore — Wikipedia
- Smokin' — Wikipedia
- Steve Marriott — AllMusic Biography


