Steve Marriott(スティーヴ・マーリオット)— Small FacesとHumble Pieが刻んだ英国ロックの魂とソウルフルな歌声の軌跡
プロフィール
スティーヴ・マーリオット(Steve Marriott、1947年1月30日生〜1991年4月20日没)は、イギリス出身のシンガーソングライター、ギタリスト。1960年代にモッズ・ムーブメントと結びついて注目を浴びたバンド、Small Faces の中心人物として名を馳せ、その後ハードでソウルフルな路線に舵を切った Humble Pie を結成してロック史に強い印象を残しました。小柄ながらも圧倒的な声量と感情表現を持ち、英国ロックにおける「声の象徴」のひとりと見なされています。
キャリアの概略
- Small Faces(1965–1969):マーリオットのエネルギッシュな歌唱と、ロンニー・レーンとのソングライティングでヒットを重ね、モッズ文化の象徴的バンドとなる。ポップ/R&Bにサイケデリック要素を加えたサウンドで幅を広げた。
- Humble Pie(1969–1975ほか):ピーター・フランプトンとの共同で結成。当初はポップ寄りの面もあったが、ツインリードやブルース、ハードロック的な方向へ深化し、より粗削りで重量感のあるサウンドを確立した。
- ソロおよび晩年:グループ解体後も断続的に音楽活動を続けたが、私生活でのトラブルや健康問題もあり、1991年に不慮の火災で急逝した。
代表曲・名盤(推薦)
- Small Faces
- 「Itchycoo Park」— サイケデリック・ポップの名曲。スペーシーなエフェクトとキャッチーなメロディが特徴。
- 「Tin Soldier」— 劇的なアレンジとドラマチックな歌唱が際立つナンバー。
- アルバム「Ogden's Nut Gone Flake」— サイケデリック期の傑作として現在でも高く評価されるコンセプト色の強い作品。
- Humble Pie
- 「Natural Born Bugie」— Humble Pie のデビュー期を代表するロック・チューン。
- 「I Don't Need No Doctor」— R&Bカバーながらマーリオットのシャウトとバンドのハードなアプローチで名バージョンに。
- 「30 Days in the Hole」— 彼の作詞作曲の才が生きた、硬質で直球のロック・アンセム(アルバム「Smokin'」収録)。
- ライブ盤「Performance Rockin' the Fillmore」やスタジオ盤「Smokin'」は、彼らの重量感ある演奏と熱量を体感できる名盤です。
歌唱の魅力──ソウル、ロックの融合
マーリオットの最も際立つ魅力はその声です。小柄な体格からは想像しにくいほどの太く伸びるハイノート、ラフではっとさせられるグロウル、そしてメロウな語りかけるようなフレーズを自在に行き来します。R&Bやソウルに根ざしたフレージングと、ロックのエネルギーを混ぜ合わせた表現力は、聴き手の感情を直撃します。
ギターとアレンジ面での存在感
マーリオットは派手なソロイストではありませんが、リズム/コードで曲の骨格を作るタイプのギタリストでした。太く刻むストロークやチャンク感のあるカッティングで楽曲に推進力を与え、時に生々しいアコースティックの爪弾きで歌の表情を支えます。こうした「歌を引き立てるギター」というアプローチが彼の持ち味です。
ソングライティングの特徴
Small Faces 時代はメロディックでポップかつ時にサイケデリックな匂いを持つ曲を、Humble Pie 期にはより直球でブルース/R&B由来のロックを志向しました。歌詞は恋愛や内省、時にストリート的で生々しいイメージを織り交ぜ、シンプルながら印象的なフックを作るのが巧みです。
ステージパフォーマンスとカリスマ性
- 舞台上での存在感:小柄ながらファンを惹きつけるカリスマがあり、声のエネルギーとともに圧倒的なライブ力を見せました。
- 即興性と熱さ:スタジオ録音以上にライブでの爆発力が特徴で、即興的な叫びやチャット的な掛け合いで観客を引き込んだ点が魅力です。
人物像と問題点
マーリオットは天才肌でありながら感情の起伏が激しく、時に短気で自己破壊的な面も見せました。アルコールや人間関係のトラブルがキャリアに影を落とすこともありましたが、その「欠点」もまた生々しい音楽表現に結びついていた面があります。音楽的才能と人間的な脆さが併存していた人物です。
影響とレガシー
マーリオットの影響は直接的なフォロワーを数多く生み、モッズ再評価やブリティッシュ・ロックの流れの中で再評価されています。ソウルフルで骨太なロック・ボーカルを志向する多くのシンガーにとって、彼の唱法やステージングはひとつの参照点となっています。Small Faces のメロディセンス、Humble Pie のハードなグルーヴはいずれも後進に大きな影響を与えました。
聴きどころと入門のすすめ
- はじめて聴くなら、Small Faces の「Itchycoo Park」「Tin Soldier」、アルバムでは「Ogden's Nut Gone Flake」を。
- ロック寄りの熱量を味わいたければ、Humble Pie の「Performance Rockin' the Fillmore」や「Smokin'」をお勧めします。特にライブはマーリオットの真骨頂が出ます。
- ボーカルに注目して聴くと、同じフレーズでもスタジオとライブでの表情の違いが面白く、マーリオットの表現力がより深く理解できます。
まとめ
スティーヴ・マーリオットは、枠に収まらないエネルギーと深いソウルを持ったシンガーでした。Small Faces でのポップ/サイケデリックなセンスと、Humble Pie でのハードで泥臭いロックの両面は、彼がただの「一発屋」ではなく幅広い音楽性を持った表現者であったことを示しています。欠点や波乱に満ちた人生も含めて、聴く者の感情を揺さぶる力がマーリオットの最大の魅力です。
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