Suicideの聴くべきレコード大全|デビュー盤からライヴ盤まで、コレクター必携の聴き方と選び方
イントロダクション — Suicideとは何か
ニューヨークのデュオ、Suicide(アラン・ベガ:ボーカル/マーティン・レヴ:キーボード/シーケンス)は、ポップ/パンクの枠を越えた電子即物主義と極端な表現で1970年代後半から活動した先駆者です。ドラムの代わりにリズムマシンやミニマルなシンセを用い、挑発的でしばしば暴力的と評された歌詞とパフォーマンスで観客を揺さぶりました。本稿では、コレクターやリスナーに向けて「持っておくべき/聴くべき」おすすめレコードを深堀りし、それぞれの作品が何を表し、どの盤を狙うべきかを解説します。
おすすめレコード一覧(深堀り)
Suicide — デビュー・アルバム(セルフタイトル)
なぜ必聴か:
- Suicideというサウンドと美学が最も純粋に表現された一枚。ミニマルな電子音とアラン・ベガの冷徹で狂気を孕んだヴォーカルが、パンク/ニュー・ウェイヴ以降の多くのアーティストに強い影響を与えました。
- 代表曲の多く(例:「Ghost Rider」「Frankie Teardrop」「Cheree」など)が収録されており、Suicideの全体像を知るための入門盤です。
聴きどころ:
- "Frankie Teardrop" — 10分近いトラック。極度の緊張感と反復が徐々に破綻していく構成は衝撃的で、アルバム全体のトーンを決定づけます。
- "Ghost Rider" — 作りはシンプルながら雄弁なモチーフが強く残る代表作。
盤の選び方(コレクター向け):
- オリジナルのファースト・プレスはコレクターズ・アイテム。状態が良ければ高額になりやすい一方、オリジナルならではの音像や質感が楽しめます。
- 公式リイシューや拡張盤(リマスター+デモ、ライヴ音源のボーナストラック付き)は、音質改善や解説ライナーが充実していることが多く、聴く目的なら実用的です。
23 Minutes Over Brussels(ライヴ盤)
なぜ必聴か:
- Suicideのライヴは伝説的で、しばしば観客の激しい反応を引き起こしました。このタイトルは1970年代後半のライヴの激烈さと即興性を伝える重要な記録です。
- スタジオ盤とは異なる荒削りなエネルギー、テンポの変化、アラン・ベガの生の叫びが残り、Suicideの「現場での力」を体感できます。
聴きどころ:
- スタジオ音源よりラフで予測不能な展開。曲構成が伸び縮みするため、アルバムごとに違った印象が得られます。
盤の選び方:
- 公認のリリースとブートレグが混在するタイトルなので、パッケージやクレジットを確認して公式音源かを見極めるのが重要です。
二作目(セカンド・アルバム) — 荒削りさからの拡張
なぜ注目か:
- デビュー以降、表現の幅が広がった作品群の代表。抑制された曲と叙情的なナンバーが混在し、後のアルバムへと繋がる変化を示します。
- 「Dream Baby Dream」など、後年になってカヴァーが多数生まれた曲を含む場合があり、Suicideのロマンティシズムが垣間見える点が興味深いです。
聴きどころ:
- デビューの衝撃性に比べると曲構成や音作りに余裕が出てきており、感情表現の幅が広がっています。
盤の選び方:
- 初期のプレスと後年のリマスターでは音のバランスが変わることがあるため、好みに応じて選ぶ(生々しさ重視ならオリジナル、解像度重視なら良質なリマスター)。
90s以降の作品(成熟期・再評価期)
なぜ聴くべきか:
- キャリア後半では、より多彩なアレンジや外部プロデューサー、ゲストを迎えることがあり、Suicideの核を残したまま別方向の提示を行っています。
- 批評的には賛否両論ありますが、バンドとしての幅と進化を知るには重要です。
聴きどころ:
- 古典的なミニマル路線と現代的なプロダクションが交差する点。曲ごとに異なるトーンを楽しめます。
コンピレーション/シングル/レア音源
おすすめ理由:
- シングルや初期のセッション音源には、アルバムとは異なるミックスや未収録曲、短い編集などが含まれ、歴史の断片として価値があります。
- 限定7インチや海外盤はジャケットや盤色が異なることがあり、コレクターズ・アイテムとして面白いです。
チェックポイント:
- シングル盤のB面や別ミックスはアルバム未収録のままのことが多いので、ディスコグラフィー(各リリースのクレジット)を丁寧に確認すると掘り出し物が見つかります。
購入・収集時の実用的アドバイス(音質や版をどう選ぶか)
オリジナル盤とリイシュー、それぞれのメリット:
- オリジナル盤:当時の音像や雰囲気、コレクター価値。状態次第でプレミアがつく。
- リイシュー/デラックス盤:リマスターやボーナストラック、詳しい解説や写真が付くことが多く、実用的に聴くには優れる。
選ぶ際の基準:
- 「聴くため」の購入なら信頼できるリイシュー(ライナーと音質チェック済み)を優先。
- 「コレクション性」を重視する場合は、マトリクス/ランアウト刻印やジャケットの表記、付属品の有無(インサート、ステッカー等)を確認。
作品ごとの“聴く順”の提案
Suicideの世界に初めて触れる人へ:
- まずはデビュー(セルフタイトル)で基本を掴む。
- その後、ライヴ音源(23 Minutes Over Brusselsなど)でステージの迫力を体感。
- 次にセカンド以降の作品で表現の広がりと成熟を追う、という流れが理解しやすいでしょう。
余談:Suicideの影響と現在の評価
Suicideはパンク/ニューウェイヴの文脈だけでなく、インダストリアル、テクノ、ポストパンク、エレクトロニカまで幅広いジャンルに影響を与えました。多くのミュージシャンや評論家が彼らの先見性を再評価しており、特に「ミニマリズム」と「パフォーマンスの過激さ」が後世に残る遺産です。
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参考文献
- Suicide (band) — Wikipedia
- Suicide (1977 album) — Wikipedia
- 23 Minutes Over Brussels — Wikipedia
- Suicide — AllMusic(バイオグラフィとディスコグラフィ)


